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落合尚之『罪と罰』5巻 2009.7.17

 
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4巻までの感想はこちらです。
4巻読了から5巻を読むまで間があいてしまったのもあるかもしれないんですが、う~~ん、5巻はイマイチな感じでした。^^;
とにかく何が嫌って、マルメラードフ。
ソーニャもなんか違うし、話の展開も、かなり嫌な感じでした。
うーーん10年後ぐらいに期待の漫画家かな。

以下のラズミーヒンこと矢住のセリフは確信ついていて良かったです。これを引用してサラッと終わります。^^;
句読点テキトーに入れちゃいます。

「なあ、ミロク、この世の不幸をひとりでしょいこんだような顔をして…自分を憐れむのが、そんなに楽しいか?
お前みたいな秀才によくありがちな勘違いだ。
小さな悩みをああでもないこうでもないって、こねくり回すのを偉いことだとでも思ってるんだろう。
繊細で誠実で、ちょっと陰のある若き哲学者だ。
そんな自分がかっこいいって心のどこかで酔ってるんだ。
バカバカしい!そんなのは昔の文学者の猿真似じゃないか!
他人がみんなバカに見えるのか。
でもひとりで閉じこもって、浮世離れした空想にふけっても、そんなことは何の身にもならないぞ。
世の中のことなんか何も知らないクセに、他人を見下して高みに立ったつもりでいるなんて……
そういう奴こそ本当の大バカだ」


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落合尚之 罪と罰

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テーマ : 漫画の感想
ジャンル : 本・雑誌

清水正『手塚治虫版『罪と罰』を読む』その5 2009.7.14

まずは引用から。

 106[113]、107[114]、108頁[115]の三頁にわたってランプの火に飛び込んでいくガの映像化は、漫画ならではの効果を発揮している。ガを擬人化し、〈艶めかしい女性〉(踊り子) として表現したことと、ランプの炎を〈誘惑する男〉(ポルフィーリイ判事) として描いたことは、ラスコルニコフと判事の〈戦い〉を実に象徴的に描いていて効果的である。

と評されているのですが、私には実に不可解なシーンでした。
犯人が犯行現場に吸い寄せられていくのとは、意味あいが違ってしまうのではないか、と。
これは悪者につかまるヒロインってな感じに描かれていて、女性に擬人化された蝶は、とても犯罪者には思えず、これでいくと、ラスコーリニコフはヒーロー (善人) で、ポルフィーリイが悪者のようです。
それからこの、スビドリガイロフとの出会いのシーン。以下引用です。

この下水の地下道で彼ら二人は初めて言葉を交わすことになった。この出会いの場所は極めて暗示的だ。つまり〈地下道〉はラスコルニコフの無意識層を意味しており、彼自身が未だ明晰に認識できない闇の心理領域を示している。

この地下道のシーンはもしかしたら、単に『第三の男』を見て影響され、カッコイイと思って入れたかったのかも、なんて事を思いました。(『第三の男』の感想書いてます。)



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

清水正『手塚治虫版『罪と罰』を読む』その4 2009.7.12

実におもしろいと思った箇所を。
同じ本を読んで印象に残る箇所、重点をおきたい箇所は人それぞれですが、にゃるほど手塚治虫はそこですか。
かな~~り短い漫画化ですから、とんでもなく重要なところまで省略しちゃってる訳ですが、そんな中これだけの頁をさいているのですから、そうなのでしょう。
以下引用です。

原作『罪と罰』を読んだ者の多くは、ラスコーリニコフの非凡人の思想や、その犯罪に関心を持つ。若い時に『罪と罰』を読んで、マルメラードフの通夜の場面に多大の興味と関心を寄せた者は少ないだろう。日本の小説家や文芸評論家にしても、ドストエフスキーの文学を観念的、思想的に深刻に受け止め、人物たちと議論するようなかたちでエッセイを書く者が大半であって、通夜の場面のドンチャン騒ぎなどに、敢えて言及する者などはいなかった。手塚治虫が『罪と罰』を漫画化するにあたって、ルージンとラスコーリニコフ一家の会食の場面や、マルメラードフの通夜の場面に多くの頁を費やしたことは注目に値する。ドストエフスキーの文学を深刻に受け止めてきた小説家や批評家が見落としてしまった、ドストエフスキー文学における <笑い> の側面を手塚治虫は漫画化によって鋭くクローズアップして見せたとも言えようか。

まあ、もしかしたら、自分やお友達を登場させるのにちょうど良い場面だったからかもしれないとも思うんですが。
ちなみに手塚版『罪と罰』のあとがきに、以下のように書かれています。

 ソーニャの家でのランチキ騒ぎに招かれるアパートの住人たちは、福井英一、馬場のぼる、山根一二三、それにぼくなど、当時 (昭和三十年以前) の児童漫画家メンバーの特別出演です。みんな、よく新宿や池袋、大塚あたりで飲んだくれていたものです。なつかしい仲間です。

多分、次回で最終回です。



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

清水正『手塚治虫版『罪と罰』を読む』その3 2009.7.9

清水さんの素晴らしい所は、実に客観的な見方が出来る点です。
アリョーナ婆さんみたいな、ほとんど顧みられないけど考えてみりゃあ大変気の毒な脇役にまでスポットをあてているんです。
彼女が金貸しばーさんになるに至るまでの彼女の人生はどんなものだったのだろう、と考え巡らすことが出来る点が素晴らしいんです。
また、リザヴェータに関しても謎がいっぱいでして、ドストエフスキーが書いていない部分の謎って、すんごい多いんだ、と気付かされます。
以下引用です。

ラスコーリニコフは老婆アリョーナ・イワーノヴナに対して、愛のまなざしも向けることは微塵もなかった。アリョーナ・イワーノヴナにはアリョーナ・イワーノヴナの人生があり喜怒哀楽があったはずだが、そういったことに対してラスコーリニコフは何の想像力も働かせることはなかった。ついでに殺してしまったリザヴェータに関しても同じである。 ―中略― 作者がその子どもたちに関して何ら具体的に書いていないにせよ、彼女に子どもがいたことは事実である。ラスコーリニコフはリザヴェータを殺した。リザヴェータの子どもたちにとってラスコーリニコフは鬼畜でしかあるまい。―中略― こんな男が、こんな殺人者がルージンを卑劣漢と言って非難している。このことを読者は決して忘れてはいけない。

こういう見方というのは、普段から大切なものだと私は思うんです。
一方的な視点でしか語られないマスコミなどにコロッと騙される人が多いのは、多方面から、客観的に物事を見るという事が出来ていないからではないかと思うんです。
入ってくる言葉や映像等を表面的に、ろくに考えもせずに受け入れるだけじゃ、簡単に間違った方向に流れていってしまうと思うんです。

*清水さんが、このブログを紹介してくださいました!こちらです。ありがとうございます。<(_ _)>
清水さんの著書の感想こちらからどうぞ。最近のは、まだリンク貼れてないんですが。時間のある時に貼っておきます。
ドストエフスキー関連はこちらです。



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

清水正『手塚治虫版『罪と罰』を読む』その2 2009.7.8

この本でもルージンについて多く言及されています。以下引用です。

 おまえの前にラスコーリニコフとルージンが現れ、そのうちの一人を友人として選べと言われたとき、おまえはいったい誰を選ぶか、こんな問いを自らに発してしばし沈黙する。ルージンも嫌だがラスコーリニコフはもっと嫌だという感じがする。

いやはや、全く同感です。
ラスコーリニコフと友達になりたいか、他の読者に聞いてみたいです。
それにしても、ルージンを腹の出たオッサンに描いている手塚治虫、よくわからんです。ポルフィーリイに関しては、その気持ちはわかる、と思うんですけど。
以下の文も全く同感。

ラスコーリニコフは経済的に自立できていない子どもであり、年金生活者の母親から仕送ってもらわなければ屋根裏部屋の生活さえおぼつかない状況に置かれている。彼は屈辱恥辱を生きてマルメラードフのような道化になることはできない。家庭教師や翻訳のアルバイトで学費を稼ぎ学生生活を続けることもできない。ナポレオンのような青銅でできた英雄になることもできない。母と妹の打算に乗ってルージンをたてることもできない。要するに彼は生活者としては徹底的な落伍者である。よくもこういった男にラズミーヒンのような友達ができたものだと思う。

もう、ほんと、タダのだめ男なんすよね、ラスコーリニコフって。
仕事して稼ぐことも出来ないくせして、何人を見下してんの?カッコつけてんじゃねーよっつー感じ。
こんな男にラズミーヒンのような友達は勿体ないです。しかも感じ悪いですからね。何故ラズミーヒンが、こうまで世話を焼き親切にするのか謎です。

つづきます。

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Author:吉乃黄櫻
ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
峰不二子、デボラ・ハリー、ウエンディー・O・ウィリアムスが憧れの人!

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