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今年読んだ本2004【下半期】 2004.12.31

竹内久美子『賭博と国家と男と女』
バルザック『知られざる傑作』
ダンテ・アリギエーリ『神曲』
竹内久美子『男と女の進化論』(再)
竹内久美子『パラサイト日本人論』
夢野久作全集1
(あやかしの鼓、夫人探索、いなかのじけん、人の顔、死後の恋、瓶詰の地獄、涙のアリバイ、押絵の奇跡、微笑、支那米の袋、鉄鎚、空飛ぶパラソル、復讐、卵、童貞、一足お先に、冗談に殺す、霊感)
江戸川乱歩長編全集20『十字路・盲獣』
江戸川乱歩『黒蜥蜴』
江戸川乱歩『蜘蛛男』
養老孟司/森毅『寄り道して考える』
日本推理小説全集2 江戸川乱歩集
(二銭胴貨、心理試験、屋根裏の散歩者、人間椅子、鏡地獄、パノラマ島奇談、陰獣、芋虫、押絵と旅する男、目羅博士、化人幻戯、掘越捜査一課長殿)
江戸川乱歩『孤島の鬼』
江戸川乱歩『一寸法師』(創作探偵小説集 復刻版 春陽堂書店)
江戸川乱歩『D坂の殺人事件 他六篇』
(何者、D坂の殺人事件、一人二役、算盤が恋を語る話、恐ろしき錯誤、赤い部屋、黒手組)
夏目漱石『坊っちゃん』
江戸川乱歩『双生児』
日本探偵小説全集6 小栗虫太郎
(完全犯罪、後光殺人事件、聖アレキセイ寺院の惨劇、黒死館殺人事件、オフェリァ殺し)
ゲーテ『ファウスト』
沼正三『家畜人ヤプー』
中野独人『電車男』
中井英夫『虚無への供物』
エドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人事件』
(モルグ街の殺人事件、落穴と振子、マリー・ロジェエの怪事件、早すぎる埋葬、盗まれた手紙)
ジョルジョ・バタイユ『文学と悪』
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(再)
エドガー・アラン・ポー『ポオ 詩と詩論』
オルダス・ハクスリー『知覚の扉』

いやはや、もう乱歩オンパレードな下半期でした。
新文芸坐の江戸川乱歩映画祭をきっかけに、乱歩読みまくり、そこからミステリ三大奇書制覇も果たし(ドグマグは既に読了済み)、エドガー・アラン・ポーに辿り着いたとゆー感じでしょうか。
最後の方は、たまたま図書館で見かけて借りたバタイユの『文学と悪』をきっかけに、またいろいろ読書が広がっている最中で今年も終わり~てな感じです。
中でも小栗虫太郎が強烈に印象深かったんですが、哲さんに薦めていただいたのがきっかけでした。ありがとうございました。(^^)

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今年読んだ本2004【上半期】 2004.12.30

マルセル・プルースト『失われた時を求めて』
谷崎潤一郎『細雪』
シェイクスピア『ハムレット』
シェイクスピア『十二夜』
シェイクスピア『お気に召すまま』
ホメロス『オデュッセイア』
ジェイムズ・ジョイス『ダブリンの市民』
ジェイムズ・ジョイス『若い芸術家の肖像』
シェイクスピア『リア王』
シェイクスピア『夏の夜の夢』
シエイクスピア『ヴェニスの商人』
内田百聞『ノラや』
ホメロス『イリアス』
シェイクスピア『オセロウ』
シェイクスピア『マクベス』
オウィディウス『変身物語』
シェイクスピア『リチャード三世』
ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』
プリニエ『醜女の日記』
アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』
ソポクレス『コロノスのオイディプス』
ソポクレス『アンティゴネー』(再)
バルザック『純愛ウジェニー・グランデ』

2004年前半は、偉大なるパロディー本『ユリシーズ』の為の読書がメインだったようです。
私、今迄シェイクスピアって特に読もうと言う気が起こらなかったんです。これだけあらすじが知れ渡っていると、別に読まなくてもいっかなって気になってまして。
ところが『ユリシーズ』をきっかけに読んでみたら、すごくおもしろいぢゃないの! シェイクスピアの読書は大きな収穫でした!
『ユリシーズ』をより楽しむ為に、いろいろ準備をして再読しようと思っていたのだけど…再読は果たせずに今年終わります。もう次々読む本が出てきちゃうんだもん~。いや、あれ読みにくいからなかなか覚悟が出来なかったってのが本当か・・・訳注読んでるようなもんですから。でもおもしろいの。

『失われた時を求めて』は、予想外に読みやすかったです。集英社、鈴木道彦・訳です。
楽しかったですよん♪

『ユリシーズ』と『失われた時を求めて』を読んだと言うのはでかいかも~。ちと嬉しっす♪

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またモーホー小説で年明けか・・・ 2004.12.29

去年から今年にかけて、あのプルーストの『失われた時を求めて』を読んだんです。つまり『失われた…』で年越しでした。
この小説、同性愛がかなりメインなテーマになってるのをご存じでしょうか?
プルースト自身モーホーだそうだし、アルベルチーヌのモデルとなっているのは、実はプルーストの恋人だった男性だそうですね。

んで、この日の日記に書きましたが、この前図書館で、『嵐が丘』『知覚の扉』『魔女』『薔薇の奇蹟』を借りてきたんです。
まず、すぐに読み終わりそうな『知覚の扉』を読み終え、次は『嵐が丘』を即読みたいと思ってました。が、しかし、借りてきた『薔薇の奇蹟』のあまりの汚さに・・・(爆)これはとっとと読んで返してしまいたいと思ったのです。
・・・な訳でして、濃~~~いモーホー小説、ジュネの『薔薇の奇蹟』を現在読んでいて、まだ半分よりちょい手前ぐらいの所でして、おそらく来年に持ち越しになるでしょう。(今年は多分もう読書できないし)
2年連続モーホーで年越しとは・・・

それにしても、ゲイの人達ってまぢで才能ある人多いんですよね。
オスカー・ワイルドとかもそうだし、作家に限らず、フレディー・マーキュリーとかエルトン・ジョンとか…バレエのジョルジュ・ドンとか、写真家のメイプルソープも確かゲイでしたよね。あとはパゾリーニとか…
ゲイの持つ性質と、芸術家として必要な繊細な感性とは、共通するものがあるのでしょうか。ゲイの方達ってデリケートな感じがしますね。

ウイリアム・ブレイク



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オルダス・ハクスリー『知覚の扉』The Doors of Perception 2004.12.26

知覚の扉澄みたれば、人の眼に
ものみなすべて永遠の実相を顕わさん
----ウィリアム・ブレイク


あのドアーズのバンド名の語源にもなっている、オルダス・ハクスリーの『知覚の扉』。
この前読んだ『虚無への供物』の中でも、確か紅司が読んだんでしたっけ?この書物の事がちらっとだけ出てたり…そのタイトルにも惹かれ、少し期待して読みました。

・・・・・・のですが、う~ん、なんで?どうって事なかったのです。(^^;)
上のブレイクの詩だけで充分って感じが・・・(^^;)
よーするに作者自らの人体実験の記録なんですね。メスカリン服用の。
しかし、この手の物って、おそらく人によって症状の出方が様々だと思うし、作者一人の実験のみでは…
ちなみに、西洋で最初にメスカリン人体実験を、しかも自分の体で行なったのはハヴェロック・エリスと言う人だそうです。
この人は「赤と緑の石がちりばめられた一面の金の宝石」が見え、時が経つと宝石のちりばめられた花やきらびやかな昆虫が現れたそうです。

ただ、私が読んでつまんなかったのは、今この時代に読んだからであって、当時はすごく衝撃的だったんではないかな~と思います。
今となっては、いろんな事わかっちゃってるし。

メスカリンは危険がないよーな事も書いていますが、このように脳の状態を無理矢理変える事は、ハクスリーの実験中の状態読むと、極めて危険なよーな気もします。
(ちなみに誤解なきように書いておきますが、私マリファナ推称派ですんで。)
絵を見ても、人物やメインになる物よりも、例えばスカートの襞がやたらと気になったり、椅子が人が座る用途をなす椅子には見えず、実用的要素の一切ない芸術作品としか見えなかったり…まあ一時的ではありますし、依存性もないとか何とか書いてあった気もしますが。
普段気のつかない、芸術的な素晴らしい部分に気付くと言う利点はわかるんですけどね。

メスカリン服用時の脳の状態は、統合失調症 (精神分裂病) の症状に極めて近いようです。
本文にハクスリーの旧友の分裂病の夫人の言葉が出てきます。以下引用。

「いまこの場で本当に重要なものはあなたが腕を動かす度にその茶色のツィードのジャケットにできる言うにいわれぬさまざまな模様の美しさだというのに、いったいなぜこの場にいない子供たちのことに平気で時間を浪費することができるの」

おそらく、この辺の薬物に手を出す人達は、ハクスリーのように冷静に服用する人よりも、現実逃避、あるいは変身願望のある人達の方が多いんじゃないかと思います。ハクスリーは薬が切れても普通の生活に戻れるのでしょうが、そのような人達はどうなのでしょう。

これは、100年200年後も読みつがれる名作ではぜんぜんなく、リアルタイムで読まなければ、あまり意味のない本のように思えました。
しかし、訳者 (河村錠一郎) あとがきを見ると
<<本書がもつ社会的な意味は、むしろ今日のほうが大きいといえるだろう。>>
とか書いてあるし、アマゾンのレビュー見ても (またもや楽天にはないのであった) いい事しか書いてないし、私の感性の方が鈍いのでしょうか・・・?

本文の後に出ていた8編の付録の方がおもしろかったです。花火の所など特に。

ちなみに、こんな箇所があるんですが・・・
<<「ヴィーナスの誕生」----私には好きになれたためしのない絵の一つである。>>

ボッティチェルリのです。なんで~?私大好きです。ハクスリーとは趣味が合いましぇん。(笑)

ドアーズは好きです。





ウイリアム・ブレイク

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『不思議の国のアリス』再読 2004.12.24

昨日書いたポーと同じく『虚無への供物』を読んでから、再び読みたくなって『不思議の国のアリス』再読しました。
いやー、名作再認識!!
1人1人のキャラがとにかく最高っすね! チェシャ猫昔から大好きなんですが、姿が消えて「にやにや笑い」だけが残るとゆー発想がまたすごいし。ネーミングのセンスがもう凄いっすよね。ウミガメモドキとか三月うさぎとか・・・名前の付け方の発想がいいんです。

ラストは「夢であった」と言うお決まりの終わり方だけど、それでも何か夢のある終わり方をしていていいんですよね~。アリスが後々この物語を語るであろうと言う。

それと、なにげに教訓がつまっていて、子供が読む本としては本当にお薦めですね。うまいんですよね~。弱肉強食が全体のテーマとしてあり、相手の立場を考えて発言する事の大事さがさりげなく語られてる。

それと思ったのは、ジョイスの言葉遊びもアリスから来ているのではないか、と言う事。
昔読んだ本を再読する事により、その後読んだ本についての新たな発見をしたり、これだから読書はおもしろいっす。
『鏡の国のアリス』も再読したくなってもーた。

  



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ポオ『詩と詩論』 2004.12.23

『虚無への供物』ポーの「大鴉」と言う詩の事が出てくるんで、読みたくてしょうがなくなり、『詩と詩論』を読みました。
いやあ、びっくらこきましたよ。ポーの詩のいい事!! ミステリだけの人じゃないんですね。
やはり「大鴉」(この本では「鴉」と言うタイトル) これはほんと、最高傑作ですね。なんつーか、まるで「ボレロ」のように盛り上がっていく感じ。
そして「構成の原理」でポー自身がこの「鴉」を解説してるんです。これ読んでまたまたビックリ!! 物凄く計算されつくされて創られている詩なんですよ。
詩をこういう風に計算して考えて書くとゆーのが想像できんかった・・・いやあ、すごすぎる、ポー。
ミステリ作家は、数学的能力がかなり必要なんではないかと思うのですが、ポーの数学的能力たるや、とんでもない怪物だと思うんですよ。めちゃめちゃ頭いい。
小栗虫太郎も、ずば抜けて数学ができたらしいっすよね。

まるで数学の才能がない私・・・・・・_| ̄|○

ラストの「ユリイカ」は、もう何がなんだかサッパリわかんなくて、読むのかなり辛かったっす。orz




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ジョルジュ・バタイユ『文学と悪』●ジュネ● 2004.12.19

これもサルトルの『聖ジュネ』に対するバタイユ評です。
『聖ジュネ』は読もうと思って、ず~~っと前に購入したんだけど・・・長いんで、後回しにしたまま、ずっと後回しになってます。(汗)
んで、これは、バタイユったら、皮肉たっぷりにサルトルをコケにしていて笑えます。
例えばこの辺。

<<知的制覇を確信しているサルトルは、この『聖ジュネ』を発表することによって、ついに彼の本心をさらけ出してみせるような作品を書いたことになる。それというのも、彼の諸欠点が、これほど顕著にあらわれたことはいままでになかったからである。>>

<<わたしは、このいつ果てるともしれない論文を、当世のもっとも豊饒な作品のひとつと見るだけでなく、さらに、サルトルの最高傑作とも見なしたい。それというのも、彼はこれくらいはめをはずした作品を書いたことはなかったし、また、これほどひどく思想の日常の徹 ensablement からはみ出した作品を書いたこともなかったからである。>>

とまあ、随所に出てくる皮肉がなかなかおもろいっす。 『聖ジュネ』も読まなきゃね。
私サルトルの小説好きなんですが、政治活動に取り組んでからのサルトルはよくわからんっつー所があります。カミュとの闘争もありましたし・・・
サルトルは、セリーヌにも痛烈にコケにされてますね。

私、以前こちらに、ジュネの読者を突き放す書き方について書きましたが、バタイユは<<霊的交通>>という言葉を使い、繰り返しこれについて書いています。
そして「文学とは霊的交通 communication である」とさえ言いきってしまいます。

<<サルトルは、かなり独善的に、祝聖式的もしくは詩的な霊的交通の一形態を語って、そこでは、列席者もしくは読者が「事物にかえられてゆくのを感ずる」と言っている。>>

とバタイユは書いているのですが、この「読者の事物化」とは、作者に否定される事によって感じると言う事なのでしょうか? 私はジュネを読んだ時に、そういう感覚には陥りませんでした。それはサルトルよりは客観的に読んだという事なのかもしれないのですが。
まあ、そもそも物語に入り込まなければ、読書の楽しみが損なわれる、半減する、という事もそれほどないと思います。
是非こちらを読んでみて頂きたいのですが、自分にとっては、そういうジュネの書き方は、斬新でおもしろいとさえ思いました。ジュネ作品のいい所だとさえ思えます。
ところがバタイユは、この <<霊的交通>> に執拗にこだわっているようで、<<成功の衣装に飾られてはいるものの、やはりひとつの失敗でしかなかった>> だとか、<<ジュネの作品とは、猜疑心のつよいひとりの男の喧噪でしかない>> 等と書いているのには、賛成しかねます。

<<文学のたわむれが霊的交通を前提とするものであるからには、このとらえることのできない霊的交通は、なんとしても不快の感情をのこすのであり、もの足りない思いにさそわれるままに、当然わたしたちは、真正の霊的交通にほかならない電光の意識の方へと、さしむけられるのである。>>

<<霊的交通を拒否したために、ジュネは、志高の瞬間にまでは到達しえないことになる--ものその瞬間にまで到達することができたなら、いくら彼でも、孤立した存在--もしくは、サルトルのいうように短く「存在」 etre --への彼の執着に、すべてを還元しようとすることはやめただろうに。>>

う~~ん・・・ちと私にはわからないっす。



*その後『聖ジュネ』読みましたが、工エエェェ(´д`)ェェエエ工 それは違うんでねーの? ってな所が多かったよーな記憶が。



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ジョルジュ・バタイユ『文学と悪』●プルースト●カフカ● 2004.12.18

●プルースト●

前半は『ジャン・サントゥイユ』について語られるのだが、これは私は読んでいないし、苦手な政治的な話ばかりで退屈極まりなかったです。

『失われた時を求めて』は、去年から今年にかけて読んでいたので、この小説に出てくる、奇妙で不幸なすごい嫉妬の感情や、全体的なテーマとしてある<<同性愛>>の事など思い出して、後半は楽しく読めました。
ヴァントゥイユ嬢の話などは、誰しもが持っている、人間の中に巣くっている<悪>そのものではないでしょうか。
『失われた…』には、親に対する子の残酷さが随所に出てくるのだけど、私はあの『北の国から』を思い出したのでありました。(笑)

そして、お互いを必要とする相反する関係というコントラストがテーマとなってきます。以下引用。

<<悪は把握可能なものであるようにも思える。しかしそのためには、あくまでも善がその鍵となるのでなければならない。それというのも、善の強烈な光のおかげで、悪の暗闇がますます濃いものとなるのでなければ、悪はもうその魅力をもたないことになるからである。>>

<<黒があるからこそ、ばら色は感受性に強い印象をあたえるだけの価値をもつことになるのではなかろうか。影が光に添うように、不幸が幸福に添うのでなければ、幸福はたちまち無関心の対象とされるだろう。>>

ちょっと関係ないかもしれないけど、私、動物写真家の岩合光昭さんの言葉を思い出したのでした。写真もまさしく光と影のコントラストだから。

<<写真はいいよね、光と影だから、太陽とは切っても切れない関係がある。>>

そして <<真理--と正義と--は、冷静な心を必要とするものだけれども、しかしそれらは、ただ荒々しい人間たちにしか属さないものなのである。>> には、ああ、そうかもしれない、と思いました。

プルースト

●カフカ●

<<彼は、自分の作品を焚刑に処したいという欲望にかられながら生きつづけた、というよりはむしろ、すくなくともその欲望にかられながら死んだのである。>>(本文より)

「自分ののこしたものは是非とも火にくべてもらいたい」と言っていたというカフカ。サドとの共通点に驚きますよね。
また、バタイユは、カフカ作品について、<<まさに燃やされることだけが欠けている諸客体>><<消滅するためにそこにあるのだ。>> と書いています。

カノンの地にはいることができなかったモーゼを例に出し、<<目的という目的は、すべて一様に意味のないものである>> <<モーゼがカナンの地にはいることができなかったのも、彼の生があまりにも短かったからではなく、それこそ人間の生だからである>>と言うのは、なる程カフカ作品の不条理をよく表わしていると思います。

そして、カフカがこんな一文を残しているのは、おもしろいです。

「夜、ひどくおもしろい物語に熱中している少年にむかって、彼だけ読むのをやめて寝に行かなければならないということを、論理的に証明して理解させようとすることは、とてもできないことだろう」。

まさにカフカ文学そのものではないですか!

<<自分がいまそれであるところの無責任な子供のままでいつづけること>>を望んだカフカ。
エミリ・ブロンテの所で書かれた、または、サド、ブレイクにも全く同じ事が言えると思える<<子どもらしさ>>がまたここで出てくるのであります。

また、カフカは、『日記』にこんなおもしろい事を書いています。

<<わたしが満足を味わっていた時分には、わたしは、不満を味わいたいと思っていた。そして、自分の自由になる同時代の、また昔からのあらゆる手段を用いて、がむしゃらに不満のなかに突き入ろうとした。ところが、いまでは、はじめの頃の状態に復帰することができたらと思うのだ。--中略-- わたしの精神的な失権は、実は意識的にそうしたのだが、子供らしいひとつのたわむれからはじまったのである。たとえば、顔の筋の痙攣をよそおってみるとか、両手を頭のうしろに組んだままあるいてみるとか、まったく唾棄すべき子供らしさだが、それはそれなりに成功したのだ。--後略-->>

そして、カフカの短編『死刑宣告』の青年の自殺の場面の描写は、くらくらする程美しい。

「彼は、門からとび出し、電車路線をこえ、川の方へと、どうしようもない力に押されて行った。そして、まるで飢えたひとが食物にとびつくようにして、すでに欄干にとりついていた。彼は、少年の頃には親たちの自慢のたねだった持ち前の身軽な体操家の身ごなしで、手すりをとびこえた。それでも彼はまだしばらくのあいだ、だんだんと力のぬけてゆくのを感じる片方の手でつかまりながら、手すりの棒のあいだから、自分の落ちる音を簡単に消してくれそうなバスがくるのをうかがっていたが、低く『なつかしいお父さん、お母さん、それでもぼくは、いつもあなたがたを愛していたんですよ』と叫ぶなり、虚空のなかに落ちてゆくのにまかせた。
 その瞬間に、橋の上には、文字どおりに雑踏をきわめた車馬の往来があった」。


そしてカフカ自身、敬虔なマックス・ブロートにむかって、こう言ってるのです。

「きみは、この最後の文章がなにを意味するか、知っているかい。ぼくはこれを書きながら、猛烈な射精のことを考えたんだよ」

カフカ



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ジョルジュ・バタイユ『文学と悪』●サド● 2004.12.17

★やはりサドはサドであった! ★

もうなんつーか、ブレイクとかサドって、作家、詩人としては勿論の事、人間として特別変わってておもろいんだと思います。

サドの作品の本質とは破壊することだとバタイユは書いています。
サド自身、消滅する事を望んだ事が、次の遺言書からわかるのであります。

「墓穴を埋めたあとは、その上に樫の実をまき、やがてその墓穴の場所が旧態に復し、そこに茂みが生いしげると、わたしの墓のあとすら地球の表面から消え失せてしまうようにとりはからってほしい。それというのも、わたしは、自分の思い出など人間どもの記憶から消え失せてしまうことを、心ひそかに期しているからである」

バタイユは、サド作品の単調さについて繰り返し述べています。

<<ただはてしない退屈な枚挙だけが、彼の激情の目ざしている空無 vide もしくは砂漠を、彼の目の前に展開して見せる徳性をもっていたのである。>>

また、クロソウスキーもこう言っています。

<<そこには、いやになるくらいに一律な鋭い緊張がたえず支配し、はじめから、人間を限界づけている諸関心から超脱してしまっているのである。>>

抑揚のない、単調さの連続だからこそ、サドは恐いんですよね。

おそらくサドは、作品のようなとほうもない残忍さはなかったであろうが、次のようなエピソードもあるのである。

<<彼が年若い乞食女ローズ・ケレルを小刀で切りさいなみ、その傷のなかに熱い蝋を流しこんだという事件もある。>>

ひゃー。

また、そのローズ・ケレルの証言では、快楽のきわみに到達した時の彼の口からほとばしり出る酷薄無惨な叫び声のことを物語っているそうです。

そのサドの最高傑作と言ってもいいかもしれない『ソドム百二十日』
これ、サドのバスティーユ獄房の移動で、草稿が失われた事があるんです。後にこの草稿は発見され、だからこそ出版もされ私達に知れ渡っているのですが、サドは永久に失われてしまったと思いこみ、すっかりうちのめされてしまったそうです。
「天から割りふられたもののなかでも最大の不幸」と述壊し、「血の涙」を流したと言い、そしてそのまま彼は死んだそうです。

サド作品の映画化で、これ以上の出来は絶対にないでしょう!!↓ この映画、サドに観せてみたかったという声は良く聞きますが、バタイユも観たら何て言ったでしょうかね。観せてみたかったです。



また、今まで観た映画の中でも、これ以上恐い映画には出会ってないんではないか、と思います。
とこみんさん、トラバさせていただきますね!
こちらです。

ちょっとうろ覚えですが、この映画を観て事件起こした人いましたよね?その時に澁澤龍彦が「この犯人は原作を読んだのだろうか」と言ったと言うエピソードがあったと思います。

こちらは、確かDVD『ソドムの市』の監修もやっている、ぎろさんの、めちゃめちゃ詳しいすごいパゾHPです。
そこからソドムの市のページに飛べます。心臓の弱い方はやめといた方が・・・
それと、食事中、食事前の方もやめといた方がいいっす。(^^;)

こーゆー所もありますぜ。

マルキ・ド・サド



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ジョルジュ・バタイユ『文学と悪』●ボードレール●ミシュレ●ブレイク● 2004.12.16

●ボードレール●

ボードレールは特別好きな偉大な詩人なのでありますが、このバタイユの論文は、サルトルのボードレール評に対してのサルトル批判なんですね。
全体的にこれは私おもしろくなかったです。こんなんどーでもえーやん!! て言いたくなったですよ。(笑)
尤もバタイユ自身も

<<サルトルの情熱的な批評に対しては、あげ足とりの議論しかできないのだ。もっとも、彼が単にとるに足りない混同を犯しているだけなら、なにもこんなくだくだしい究明などには手をつけない。わたしはこの種の論争にはなんの興味も感じないのだ。しかし、ここでわたしの意図していることは、個人的な攻撃を加えることではなく、詩を援護することなのである。>>

と書いているように、こりゃしょうがねーなと、しかたなく書いてる感じではあります。
途中から退屈な哲学談義になってしまうのだけど、これもバタイユは「はなはだ残念だが、ここでしばらく退屈な哲学論議にはいらなければならない。」なんて書いてるんですよ。
バタイユにこれだけの労力を使わせるサルトルっていったい・・・

ここでは<善と悪><自由>等がテーマみたいな感じでして、<<自由とは、厳密には子供の能力なのではないだろうか。>>との記述には、なるほど、と思いました。
また、<<自由とは、神には欠けている能力ではなかろうか。>>にもにゃるほど~です。
細かい事は読んで頂くとして、サルトルの批判している1つ1つは、これは詩の本質的なものを批判してるのではないか、と言うのが、バタイユのサルトル批判を読んで思った事です。

●ミシュレ●

初版は発禁処分も受けたという『魔女』は私も是非読んでみたいです。黒ミサとかサバトとか、そういう内容みたいですよん。
呪術と供犠との対立関係とか、<死>について哲学的に書かれています。ページ数少なめ。

 

●ウィリアム・ブレイク●

ここに来るとこの本も俄然おもしろくなってきます。バタイユはブレイクが特別好きみたいっすね。ページ数もぐーんと多くなってます。
しかし私、この人も読んでないんですが (汗) ダンテの『神曲』の挿絵を見て、力強い絵、その壮大なエネルギーに興味持ってたんですよ。
ダンテの本の挿絵なのに、ダンテの思想に反撥して、自分の解釈で描いちゃうんだから、最高おもしろいっす。
確かヒッピーの間でも流行りましたよね?
その迸るエネルギーは、一生貧民階級に属していた事も、おそらく大きな要素の1つではないかと思います。

この人、セックスの自由を唱えて、ひとりの娼婦をおなじ屋根の下に住まわせることを妻に強要したという話もあるらしっす。そのまま映画や小説になりそうな話だ・・・

ミルトンのことを「すべての詩人たちとおなじく、それとは知らずに悪魔の側に与して」いたと言っているのは興味深いっす。詩人は悪の側って、解る気がします。

気に入った言葉を2つ。
「牡山羊の淫乱は、神の慈愛である」
「女の裸は、神の傑作である」

ブレイクの章の最後に出ていた詩が、私かなり好きです。

 クロプシュトックが イギリスを見くびったとき
 ウィリアム・ブレイクは ほこらかにたち上った。
 それというのも 天上で 年寄りのノーボダディが
 屁をひり げっぷと おくびを出し 咳ばらいをしたあとで
 大地をふるわす悪態をはきながら
 大声で イギリス人のブレイクに よびかけたからだ
 折しもブレイクはランベスのポプラの下で
 野糞をたれている最中
 あわてて 彼は たち上り
 三遍三回 くるりとまわった
 これを見た月は 真赤になり
 星々は 杯盤狼藉 にげ出すありさま……


ウイリアム・ブレイク



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ジョルジュ・バタイユ『文学と悪』●エミリ・ブロンテ● 2004.12.15

バタイユの『文学と悪』を読了しました。
バタイユ作品と言うと、特に『眼球譚』は、あらゆる変態エロ小説の中でも、私が最も好きな小説なのでありますが、



他の小説も大好きなんですが、バタイユの哲学系、論文系は、おばかな私の頭では、とてもとても難しくて…脳味噌疲れてもうイヤ! て感じなのだけど、この『文学と悪』もその系統かと恐れおののきつつ…タイトルと、とりあげている作家陣 (エミリ・ブロンテ、ボードレール、ミシュレ、ウィリアム・ブレイク、サド、プルースト、カフカ、ジュネ) に惹かれて読んでみました。
まあ、『エロティシズム』みたいに全部が全部むずかすぃ~て訳でもなく、そーゆー部分はありましたが、わりに楽しく読めました。特にサドの所は特別おもろい!!

※ちなみに、<悪>だとか<死><暴力>等々について、深く考えるのが趣旨みたいな物なんですが、そこからしてめんどくさいこの頃なので(^^;) まるで理解もしてなきゃーとんちんかんな感想文になってる事と思います。

●エミリ・ブロンテ●

<<彼女ほどに志操堅固で、勇気もあり、またまっすぐな心をもったひとはすくないだろうに、その彼女が、悪についての認識を極限にまでおしすすめていったのである。>>
(本文より)


嵐が丘でおなじみのエミリ・ブロンテです。読んでないんですが…

母親ははやくに死に、厳格な父親によって、禁欲的な生涯を終えたらしいエミリ・ブロンテ。30歳と言うのはあまりにも短いですね。
圧迫された性から迸り溢れたありあまるエネルギーが作品となったのでしょうか?
そうした環境から、自らを傷つけずにはいられない感情が生まれるのは、解るような気がします。

冒頭に上げた引用文を見ると、私なんぞはヘッセの『デミアン』マックス・デミアンの言葉を思い出します。

「人々はカインの子どもたちに恐れをいだいていた。そこでカインの子どもたちは<しるし>を持っているということになった。それで人々はそのしるしを本来のもの、すなわち表彰だと説明しないで、反対なものだと説明した。このしるしを持っている連中は無気味だと、人々は言った。実際そのとおりだった。勇気と特色を持っている人々はほかの人々にとって常にすこぶる無気味なものだ。恐れを知らぬ無気味なものの一族がそこらをうろついているのは、非情にぐあいがわるい。そこで人々は、その一族に対し復習し、受けた恐怖に対し少しばかり埋め合わせをするため、あだ名と作り話を一族にくっつけたのさ。」(前後略)

ジャック・ブロンデルと言う人がこう言っています。

<<「キャサリンとヒースクリッフとの生涯のあいだ、彼等の諸感情は少年時代に固定されたままになっている」ことに注意しなければならない。>>

<子どもっぽさ>とか<暴力><死><情熱>は、この本の全体的なキーワードになってる気がします。
次の本文など。

<<エミリ・ブロンテの態度において突然にあらわれるものとは、犯しがたい強固な道徳に寄生しながらも、組織づけられている社会とどんなに和合し協調しようとしても弱まることのない、聖なる暴力への夢想だったのである。>>

<<あたらしい個体存在が生れてくる瞬間とは、消え去りゆくものたちの死を前提とするものなのだ。-中略- 生殖と死があるからこそ、生の不滅の復活があり、つねにあらたな瞬間があることになる。>>

<<死が生の条件であるからには、本質的に死と結びついている悪もまた、両義的な意味でだが、存在の基礎にほかならないことになる>>

バタイユ曰く「特権的な呪いの対象であったように見える」エミリ・ブロンテ。『嵐が丘』は読んでおかねば。

今宵はケイト・ブッシュの『嵐が丘』でも聴いて眠りにつきますか。







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中・高校生に薦めたい名作、薦めたくない名作/史上最高の文学百選 2004.12.11

この前☆☆子供に薦めたい名作、薦めたくない名作☆☆とゆーのを書きましたが、中高校生編いってみたいと思います。
この辺の年頃にお薦めとゆーと、ちと難しいかもですね。性格によって薦める本も違ってくるかも。
若い人達に薦めたいのは、ヘルマン・ヘッセとかドストエフスキーとかカミュとかトーマス・マンとか漱石とか、いろいろ出てきますが、この当たりの名作も、薦める人によっては危険な本に成り得るんですよ。例えばドスト『罪と罰』とかですね。下手に薦められましぇん。
中高校生なら、ヘッセなら『車輪の下』あたりでしょうか?アウトサイダーな若者には絶対『デミアン』『荒野のおおかみ』を薦めます。大学生とか社会人ぐらいの方がいいかもね。
カミュの『ペスト』なら小中高生にお薦めできるかも。
以前、漱石の『こころ』の感想文を小学生に書かせている所があるのを聞きましたが、これはいくらなんでも早すぎですよね?『坊っちゃん』あたりがいいでしょうかね。
あと、私は高校生ぐらいで澁澤にハマッたのですが、果たしてお薦めできるかどうか。(^^;)

あと、私が自信を持ってお薦めしたいのは、「聖書」と「ギリシャ神話」です。この2つは早いうちに読んでおくと、後々何かを読んだり、絵や芸術を観る際にも、絶対に楽しいはずです。
「ギリシャ神話」は、とりあえずは岩波あたりの大雑把なやつでイイと思いますが、ホメロスやソフォクレスやオウィディウス等を読まれれば、さらにいいでしょう。


あと、そうそう、2002年に発表された、史上最高の文学百選と言うのがありましたが、堂々1位の『ドン・キホーテ』は是非お薦めしたいです。(某激安ショップの事じゃないっすよ)
この百選からどんどん読んでいくのも便利ですね。20才前後ぐらいになればって感じですが・・・
私、ここ2年ぐらいでこのランキングにある本結構読んだかも。これ見て選んだ訳じゃないんですが。

チヌア・アチェベ 『部族分解』
ハンス・クリスチャン・アナセン 『アンデルセン童話集』
ジェイン・オースティン 『高慢と偏見』
オノレ・ド・バルザック 『ゴリオ爺さん』
サミュエル・ベケット 『モロイ』
サミュエル・ベケット 『マロウンは死ぬ』
サミュエル・ベケット 『名づけえぬもの』
ジョヴァンニ・ボッカッチョ 『デカメロン』
ホルヘ・ルイス・ボルヘス 『伝奇集』
エミリー・ブロンテ 『嵐が丘』
アルベール・カミュ 『異邦人』
パウル・ツェラーン 『詩集』
ルイス・フェルナンド・セリーヌ 『夜の果てへの旅』
ミゲル・デ・セルバンテス 『ドン・キホーテ』
ジェフリー・チョーサー 『カンタベリー物語』
ジョーゼフ・コンラッド 『ノストローモ』
ダンテ・アリギエーリ 『神曲』
チャールズ・ディケンズ 『大いなる遺産』
ドニ・ディドロ 『運命論者ジャックとその主人』
アルフレート・デーブリーン 『ベルリン・アレクサンダー広場──フランツ・ビーバーコップフの物語』
フョードル・ドストエフスキー 『罪と罰』
フョードル・ドストエフスキー 『白痴』
フョードル・ドストエフスキー 『悪霊』
フョードル・ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』
ジョージ・エリオット 『ミドルマーチ』
ラルフ・エリソン 『見えない人間』
エウリピデス 『メディア』
ウィリアム・フォークナー 『アブサロム、アブサロム!』
ウィリアム・フォークナー 『響きと怒り』
ギュスターヴ・フロベール 『ボヴァリー夫人』
ギュスターヴ・フロベール 『感情教育』
フェデリコ・ガルシア=ロルカ 『ジプシー歌集』
ガブリエル・ガルシア=マルケス 『百年の孤独』
ガブリエル・ガルシア=マルケス 『コレラの時代の愛』
『ギルガメシュ叙事詩』
ヨーハン・ヴォルフガング・ゲーテ 『ファウスト』
ニコライ・ゴーゴリ 『死せる魂』
ギュンター・グラス 『ブリキの太鼓』
ジョアン・ギマランイス・ローザ 『大いなる奥地』
クヌート・ハムスン 『飢え』
アーネスト・ヘミングウェイ 『老人と海』
ホメロス 『イリアスとオデュッセイア』
ヘンリック・イプセン 『人形の家』
『ヨブ記』
ジェイムズ・ジョイス 『ユリシーズ』
フランツ・カフカ 『短篇集』
フランツ・カフカ 『審判』
フランツ・カフカ 『城』
カーリダーサ 『シャクンタラー』
川端康成 『山の音』
ニコス・カザンザキス 『アレクシス・ゾルバスの生活と行状』
ディック・ハーバート・ロレンス 『息子と恋人』
ハルドゥル・キリヤン・ラックスネス 『独立の民』
ジャーコモ・レオパルディ 『詩集』
ドリス・レッシング 『黄金のノート』
アストリッド・リンドグレン 『長くつ下のピッピ』
魯迅 『狂人日記』
『マハーバーラタ』
ナジーブ・マハフーズ 『わが界隈の子供たち』
トーマス・マン 『ブデンブローク家の人々』
トーマス・マン 『魔の山』
ハーマン・メルヴィル 『白鯨』
ミシェル・ド・モンテーニュ 『エセー』
エルサ・モランテ 『歴史』
トニ・モリソン 『ビラヴド』
紫式部 『源氏物語』
ローベルト・ムージル 『特性のない男』
ウラジーミル・ナボコフ 『ロリータ』
《サガ》
ジョージ・オーウェル 『1984年』
プブリウス・オウィディウス・ナソ 『変身物語』
フェルナンド・ペソア 『不穏の書』
エドガー・アラン・ポー 『作品集』
マルセル・プルースト 『失われた時を求めて』
フランソワ・ラブレー 『ガルガンチュワ=パンタグリュエル物語』
フアン・ルルフォ 『ペドロ・パラモ』
ジャラ・ロッディーン・モハンマド・ルーミー 『精神的マスナヴィー』
サルマン・ラシュディ 『真夜中の子供たち』
アブー・アブドッラー・モシャッレフ・オッディーン・サアディー 『果樹園』
アッ・タイイブ・サーリフ 『北へ遷りゆく時』
ジョゼ・サラマーゴ 『白の闇』
ウィリアム・シェイクスピア 『ハムレット』
ウィリアム・シェイクスピア 『リア王』
ウィリアム・シェイクスピア 『オセロ』
ソポクレス 『オイディプス王』
スタンダール 『赤と黒』
ロレンス・スターン 『トリストラム・シャンディ』
イータロ・ズヴェーヴォ 『ゼーノの意識』
ジョナサン・スウィフト 『ガリヴァー旅行記』
レフ・トルストイ 『戦争と平和』
レフ・トルストイ 『アンナ・カレーニナ』
レフ・トルストイ 『イヴァン・イリイチの死・他諸短編』
アントン・チェーホフ 『短篇集』
『千一夜物語』
マーク・トウェイン 『ハックルベリー・フィンの冒険』
ヴァールミーキ 『ラーマーヤナ』
プブリウス・ウェルギリウス・マロ 『アエネイス』
ウォルト・ホイットマン 『草の葉』
ヴァージニア・ウルフ 『ダロウェイ夫人』
ヴァージニア・ウルフ 『灯台へ』
マルグリット・ユルスナール 『ハドリアヌス帝の回想』

薦めたくない本は・・・う、わかんねっす。(^^;)
人によってなんだよなあ。真直ぐに信じやすい人には、いろいろ薦める本にも注意が必要な気がします。

+++追記+++
Read'Catさんから、中学生から大人へのお薦め本をコメントいただきまして、コメントの所リンク貼れないみたいなんで、せっかくなのでここに貼っておきますね!
嬉しいですね、こういうの。他にもありましたら、皆さん、どんどんコメントくださいね。(^^)
「百人一酒」
「カードミステリー ~失われた魔法の島~」

・・・と見に行ったら、ヨースタイン・ゴルデルなんだ!
『ソフィーの世界』出た頃に読みました。おもしろかったですよ。哲学入門書としても私はいいと思います。哲学抜きにしても、話もおもしろいです。アリスぽいんじゃなかったけか。

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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

『虚無への供物』再読 2004.12.9

『虚無への供物』再読果たしました~。ぬわんと、4日とちょびっとで、680ページ読んだ! 自分にとってはすごいだすよ!
これって、最後まで読むと、また戻って最初から読みたくなる書き方してるんだもん。
再読してみると、牟礼田の言ってる事はこーゆー事だったのか! とか、いろいろわかって楽しいですよん。
しかし、やはり最後のツメは甘いっつーか…もう1つ何か欲しかった。鴻巣玄二(字あってる?) の件が得になあ。ちと不自然な気もするし。赤いゴム毬の謎も拍子抜け。
でも、おもしろく楽しく書けるだけでなく、この作者は美しい描写もなかなか見事ですよね! 最初とラストのカーテンのシンメトリーは実に美しいです。



 



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テーマ : ミステリ
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中井英夫『虚無への供物』 2004.12.5

(多少のネタバレありです。)

中井英夫、あるいは塔晶夫の『虚無への供物』読了しました。
ほんとはもう一度読んでから感想を書きたいのですが、図書館に借りてる本で、次の予約が入ってるとかで…(火曜日が期日なのだが、催促の電話が来るのだろうか?とにかく読めるだけ読むです。)

これは、明るく楽しく解りやすい『黒死館殺人事件』と言った感じの小説でした。なんじゃそりゃ?とか思われるかもしれませんが。(^^;)
黒死館…のパロディーぽい楽しさがあります。
牟礼田は法水の得意なセリフ「そうなるかねえ」と同じく、まだわからないの?等のセリフを連発させます。
そして事件の犯人だと予想された人物が次々と死んでいく当たり、まさに『黒死館殺人事件』!!
不動尊とか何とかは、私は良くわからないのだけど…ポーの『赤死病の仮面』をベースに、色をからめての事件と言うのはなかなかおもしろいです。
誕生石の宝石を送られると言う家族の話は、もろ中井英夫の生い立ちだそうですね。
氷沼兄弟の祖父の話も、中井英夫の祖父がモデルみたい。
小説はすごくおもしろく、ぐいぐいと読めたのですが、後の長い長い解説も全部読んでみると、作者の心の闇のようなものも見えてきます。初出版の時のペンネームの「塔晶夫」を封印してしまったのも、何かそういう物があるのでしょうか。いい名前なので残念ですよね。
しかしまあ、そういうもの抜きにして、本当に楽しめるし、よく練られている小説だと思います。特に、中盤以降は凄いっすよ! 乱歩を継承していると言ってもいいような文章。キャラが一人一人立ってますよね。
あの三島由紀夫は、これを読んで、いてもたってもいられずに中井英夫の元に飛んでいき、出掛けていた出先まで追い掛けていって感想を言ったらしいですが、この三島の好きなキャラが、藍ちゃんと久生と言うのは、すごく頷けます。特に藍ちゃん。
私は藤木田老がおもしろかった!
それに、話の出だしとラストの符号と言うか、見事なシンメトリーを描いています。だから即再読したいんですよ~。
ちなみに最初のあたりから予想がついた人が犯人でした。やっぱり! と思いましたよん。
ただ、結末はちと肩透かしって感じなんですよ。もう1つどんでん返しがあるのかな~と思ったのですが・・・

ミステリ的おもしろさとは別に、作者の言いたい事が後半部分にすごく伝わってきます。
「洞爺丸事故」での大勢の無意味な死がこの小説を書かせた一番大きな要素だったと思います。そして、人間誰しもが持っている残酷な要素に、作者自身苦しんでいたのではないか、と思います。そんな思いが書かせた小説なのではないでしょうか。

ところで、これ、ミステリの三大奇書らしいのですが、奇書と言う感じはあまりしなかったですね。
ゲイバーの場面から始まり、倒錯した性と言う部分はありますが、あまりその辺の所は描かれていないし。
あとの二つ、『黒死館殺人事件』と『ドグラ・マグラ』は奇書以外の何物でもないとゆー感じなんですが。(ただ、ドグマグもミステリの枠に入れるのには納得がいかないですが…)
上の2作品とも、凄いけど読み易くはない作品ですが、『虚無への供物』は、ほんと読み易いんで、躊躇わずにどんどん読む事をお薦めします。解説の方が読むの大変だったかもしんない…しかし、解説・あと書きがまた、かなり興味深いです。
本など買ってもらった事がないが、外国人の友人が送ってくれる洋書を母親が翻訳し、その手書きノートを貪るように読んだ少年時代。
この母親に、3才の時から日記をつけされられたと言うのには驚かされます。
ちなみに私が読んだのは、東京創元社、創元ライブラリ、中井英夫全集-1 (文庫本) です。



 



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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
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