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『ジェーン・エア』 2005.3.30

*ネタバレいっぱい警報~ !

実に壮大な物語です。ジェーン・エアの幼少時から、実に実にしっかりと描かれています。
あらゆる面ですごく面白かったです。
この小説、1847年に出版されてるんですが、この時代にしては、凄く斬新です。今読んでも斬新だと思えるもんね。
まず、主役は美男美女と言う常識を撃ち破っているし、キャラクターの性格も、タダの善良で清く正しい、或はその逆でもなく、とてもハッキリした、知的な働く女性なんですね。
ロチェスターとの会話のキャッチボールが知的でとてもおもしろいです。
お邸での恋愛なんつーと、もう絶対的に王子様ではないですか。それがこの小説ではブ男だっつーんだから、おもろいっすよ。そして、これを読んで救われた人達もきっと多いに違いない。
ジェーンも美人ではない所がイイです。もうなんつーか…これでもかってぐらいあらゆる形容詞を並べたてて、どんなにその人が美しいかを描いている小説って山程あるじゃないですか。そんなの読むとケッ ! と思う私なんぞにとっては。
巻末の<シャーロット・ブロンテ---人と作品--->には、こんなおもしろいエピソードも載っています。

この小説のふたりの主人公が、いずれも美男美女でないことも、当時の小説としては破格なものであった。それまで小説の主人公というものは、かならず若く美しき男女でなければならなかったのである。ロチェスターは、むしろ醜男の部類にはいる中年の紳士だし、二十歳のジェーン・エアもまた、きわめて特長的な顔立ちはしているが決して美人ではない。この小説があらわれていらい、イギリスやアメリカでは、若くもなく美男型でもない男性を恋人に選ぶことがはやったという話さえつたわっている。

ジェーン・エアは実にしっかりした人間性を見抜く能力があり、さらに毒舌家な所が、私には好感が持てます。ロチェスターに取り入る美人のイングラム嬢を見ても、決して意固地になんかならずに、こんな事を思うのです。

イングラム嬢は、嫉妬するに価しない女であり、そんな気持ちをおこすには、あまりに劣った女であった。逆説めいたことばをゆるしていただきたい。私は、まじめに言っているのだ。彼女は、とてもはでには見えているけれど、真摯ではなかった。美しい容姿をもち、いろいろな芸能にすぐれてはいるが、精神は貧しく、心は、うまれつき干からびていて、その土壌の上に、おのずと花咲く花は一茎もなく、自然にみのった天然の果実が、その新鮮さを賞美されるということもなかった。彼女は善良でもなければ、独創的でもなかった。いつも書物のなかの、ぎょうぎょうしいことばをくりかえすが、自分の意見をのべることもなければ自分の意見をもってもいなかった。崇高な感情をふりまわすが、同情や憐憫の情を知ってはいなかった。感じやすい心や真摯な魂は彼女のなかにはなかった。

・・・と実に適格と言うか。こーゆー人いますよね~。(笑)

そして妹エミリの『嵐が丘』とも共通な、絶対的な確かな愛と言うのは素敵だと思います。次の表現など、『嵐が丘』的ですよね。すごくおもしろい表現だと思います。ロチェスターのセリフ。

「--前略-- なにか私の肋骨の下のふたりに弦があって、それが、あなたの小さなからだの同じ個所にある、よく似た弦と、ほどけぬように、しっかり結ばれているように感じるのです。--後略--」

それにしても、ハッピーエンドと言えるラストなのかもしれないけど、こんな結末になるとは・・・むごいよ~シャーロット。映画も観たんですが、こっちはもうちょいキツくなくなってますね。
映画は、この壮大な物語をこの時間におさめるには、大事な所もはしょっているのはしかたがないし、なかなか良かったです。オーソン・ウェルズがとにかく凄いですよ。


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そして、この小説、『レベッカ』との共通点が多いのにも驚かされましたが、映画ではどっちもジョーン・フォンティンが演じているですよ。
ジェーン・エアは、もっとはっきりした感じの人が合うと思うのですが…キャサリン・ヘプバーンとかがイメージだなあ。


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テーマ : 読書感想文
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ライ麦畑はどっちの訳が好き? 2005.3.25

ブコウスキーの『くそったれ ! 少年時代』の感想の所で、村上訳のキャッチャー・イン・ザ・ライについて少しふれているのですが、こんな過去投稿を見つけました。
んで、ブコウスキーの感想のついでにコレもコピーしようと思っていてすっかり忘れてたんで(^^;) 今ここにUP。
2003年4月17日投稿です。

讀●新聞に出てた批評によると、村上訳は「君に語りかけるホールデン」っつーのが強く出ているらしいっすね。その分ムカツキ度が薄いとか。
原書で読んだ人が、もっと過激だと言っていたけど、村上訳でますます過激度も薄くなってしまったかな? 私は野崎訳いいと思うんだけど、原書ではとーぜん読んでない (能力がない) からこれも何とも言えない。
君とゆーのはやはり読者に対してって感じだと思うので、語りかけられたいであろう現代人にはまさにピッタシなんだろうな。商売人やなあ、と思ってしまったけど。読んでないからなんとも言えないけどね。
ちょっと前に野崎訳再読したので、村上訳と比べてみたい気もしている。


な事を書いておきながら、今だに村上訳は読んでないのでありました。



 

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ジョルジュ・サンド『棄子のフランソワ』 2005.3.24

ブコウスキーを数冊読み、『つめたく冷えた月』(今日は見事な満月 ! 25日に書いてますので(^^;)) や『プリシラ』を観た後に読んだこの小説は、見事に解毒剤の役割を果たしてくれたようです。(笑)
小川のせせらぎのような、綺麗に澄んだ泉のような小説であります。

復刊ドットコムコメントなどを見てもわかる通り、絶版でなかなか手に入らないみたいっす。う~なんでだ・・・
この貴重な本の角川文庫 長塚隆二訳のコピーを、大変お世話になっている、本好きの同士とも思える友人から送っていただきました。感謝 !

プルーストの『失われた時を求めて』のなかで、重大な役割を果たすと言うこの小説。
これへの言及に関しては忘れちゃってるのですが (^^;)、特に後半のノスタルジックな感じは、プルーストへの影響は強いでしょう。

コレ↓観たいなあ。キャストもすごいし。



<あとがき>の次の文章は、まさに私の読了後の感想そのものでした。

 もちろん「棄子のフランソワ」をはじめサンドの田園小説には、バルザックの雄大さも、現代作家風の巧みな心理分析もなく、とくに二十世紀作家の描く複雑な人間心理の葛藤になれた目には飽き足りないところがあるかも知れない。だがしかし、われわれの前に素朴な農民の姿を開陳し、できるだけ農民の言葉でそれを説明しようというサンドの希望のままに、単純なもの、単純な農民の美しさをこの中に見出せればそれで充分ではなかろうか。

善玉悪玉がはっきりしていて、ある意味実に単純で素朴なのです。
それなのに、不思議と心に残る、印象深い小説なんですよ。ほんとに。
結末にはエーーッ ! ? と思ってしまったりもしたんですが・・・

この少年フランソワの境遇や性質は、ル・クレジオの『モンド』という小説があるんですが、その映画をちょびっと思い出しました。原作は読んでないっす。(^^;)

訳者の長塚隆二さんは、右手右足を失うという不幸に会い、そんな苦労の中、奥さん等に支えられて漸く訳を終えられたそうです。
その意味でも、絶版にしてしまうのは許されない気がします。
そんな訳で、<あとがき>で多少照れくさそうにしていながらも、

 妻 葉子に捧ぐ

と、奥さんに捧げられてたりします。

しかし、困った事には、また『失われた時を求めて』が読みたくなってしまうではないですか !

ジョルジュ・サンド

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『ブコウスキーの酔いどれ紀行』 2005.3.20

1978年、58歳のブクが、フランスとドイツを訪れた時の様子を、彼自身の文章と (詩と) 同行したカメラマン、マイケル・モントフォートの写真で綴った、いわゆる紀行作品です。

この旅に同行したのが、のちにブコウスキー夫人となる、リンダ・リー・ベイル。
彼女が『詩人と女たち』の終盤の恋人サラなのです。
私コレ読んでて、やっとまともなやさしい人とくっついたな、この人ならいいな、と思ってたんです。それまでが兎に角ひどすぎなもんで・・・

そしてこの紀行、マイケル・モントフォートの写真が実に実に実に、もうとにかく良いのです ! !
なんて素敵な二人なんでしょう ! !
絵になるんですよ~ほんと。
ブクは自分の事、さかんに「醜い」と書いてますが、かっこいっすよね。183センチの長身でガッチリ、愛すべき風貌。いい意味での子供ぽさ。
ブクが度々言及している、よほど好きなんだろうな、と思えるセリーヌと (こちらを御参照に) 共通点を感じます。セリーヌも長身でかっちょいっすよん。
そして、顔が似ている訳ではないのに、何か似たものを感じるのがアンソニー・クインだったりします。
ブコウスキーの踊っているようなフザけている写真 (P.128) があって、余計にそう思いました。ゾルバのイメージで。

ところで、写真については、こんな事を書いてます。

みんな写真を撮るのが好きだ。わたしも嫌いというわけではなかった。写真は死に至る過程を捉えて、その瞬間を焼きつけているだけのようにわたしには思えた。

そして、ブクとリンダ・リーの周りには、何とも言えない暖かい空気が漂っている、そんな感じに見えます。

二人で機内のビールとワインを飲みつくしたりとか、楽しいです~。(笑)

ブコウスキー達は、ブクの生まれ故郷アンデルナッハに、90歳になる叔父のハインリッヒを訪ねるのですが、この叔父さんの若いのにはびっくらこいちゃいますよ。写真 P.164 他。

そして次の文、ヨーロッパ人ってそうなんでしょうか。まさにスペイン人と同じだ ! と思った箇所が。

パリの人間たちは、夜通し飲んだくれて、食べ続けている。アメリカ人とは違って、彼らは次の日のことなど絶対に考えたりしない。


河出文庫、中川五郎訳で読みました。


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この文庫版解説を、町田康が書いてます。
この紀行文がいかにおもしろいかを書いてあるその文章は・・・・・・おもしろくなかった。(笑)

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ブコウスキー『詩人と女たち』その2 2005.3.19

コレのつづきです。
その他のブコウスキーについてはこちらを是非是非。

『詩人と女たち』の感想としては、ここに書いた通りなのですが、いろいろ引用したい所もありまして、2回に分けてみました。

ほとんどの作家をぼろくそにけなしているブコウスキーですが、セリーヌについては、度々「いい」とか「好き」とか正直に書いてますよね。
しまいにゃ小説の中にも登場させちゃってるし。(笑) そうとう好きなんだなーと思います。
この本でも2度か3度程セリーヌについて言及しています。
とある大学教授とその教え子がいろいろ質問する場面。

「あなたのお気に入りの作家は誰でした?」
「ファンテ」
「誰です?」
「ジョン・F-a-n-t-e。『塵に聞け』、『春まで待て、バンディニ』」
「どこでその人の本を見つけられるかしら?」
「わたしはダウンタウンの中央図書館で見つけたよ。五番街とオリーヴの交差点にある、そうじゃなかったかな?」
「どうしてその人が気に入ったんですか?」
「絶対的な感情。とても勇敢な人間だ」
「ほかには誰が?」
「セリーヌ」
「どうして?」
「徹底的にやっつけられても彼は笑っていた。それどころか自分をやっつけた相手まで笑わせた。とても勇敢な人間だ」
「勇敢さに重きをおいているのですね?」
「あらゆるものの中に見つけ出したいね。動物や鳥たち、爬虫類に人間」
「どうして?」
「どうしてかって? 気分がすかっとするじゃないか。まるでチャンスがない事態をものともしないという生き方の問題だよ」
「ヘミングウェイですか?」
「違うね」
「どうして?」
「あまりにも厳しすぎるし、あまりにも重苦しすぎる。いい作家だし、文もうまい。でも彼にしてみれば、人生はいつも全面戦争だった。大目に見ることなど絶対になかったし、踊ることも一度もなかった」


私、どこかでセリーヌの事を世界最初のパンクスだとか何とかって書いた覚えがあるんですが、<訳者あとがき>にこんな事が書いてありました。

 チャールズ・ブコウスキーのことをヘンリー・ミラーやむD・H・ロレンスと並べて論じたり、アレン・ギンズバーグやジャック・ケルアック、ローレンス・ファーリンゲティ、ウィリアム・バロウズといったビートニクの流れの中で捉える人もいるようだが、彼は「ビートニク・ブームの時代はただただ飲んだ暮れていた。グリニッジ・ヴィレッジやパリのボヘミアン・シーンには興味がない。ビートニクと呼ばれるよりはパンクスと呼ばれたほうが自分に近いものを感じる。わたしは死に絶えた種族の最後の生き見本なのだろう」と語っている。

河出文庫の中川五郎訳で読みました。


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ブコウスキー『詩人と女たち』その1 2005.3.18

ブコウスキーの『詩人と女たち』『ブコウスキーの酔いどれ紀行』を続けて読みました。
たまたまだったのですが、この順番で読んだのは、何とゆー幸運 !
『詩人と女たち』は、今まで読んだ中で唯一好きになれない小説だ・・・と読みながら思っていました。実際、うんざりする程胸くそ悪くなる事の繰り返し繰り返しで。
リディアという、とんでもなくヒステリックで浮気性なキチガイ女が嫌でたまらんかったっす。こんなのをチナスキーはとことん愛しちゃうんだから。本人だけならイイですが、周りの人達までもが、とんでもなくヒドイ目に合わされるのだからたまったもんじゃないっすよ。
その後も次から次と、変なイカれた浮気女ばかりと付き合っていくチナスキー。
そして、寄ってくる女かたっぱしから食っていくのです。
このとんでもなさが笑えるのならいいけど、笑えんかったです。

後半に入ると、まともな女性がちらほらと現れてくるものの、相変わらず、ファンレターを寄こす女、電話かけてくる女、売春婦までをも手当たりしだいやりまくる。
それを付き合っている彼女に隠しもしないで傷つけるチナスキーも、悪い意味でイカれている。いやだよ~こんなの。
しかし、うんざりしながらもぐいぐいと読んでしまったのでした。不思議と。

そして、ラストがすごくいいんです。
ホッとさせられ、暖かい気持ちになれたのでした。
なんか『バッファロー'66』のラスト思い出したなあ。


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とりあえず明日につづきます~


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コリン・ウィルソン『アウトサイダー』その2 2005.3.17

コレのつづきです。過去の投稿そのままUP。
自分の投稿のみUPしてますので、いきなりレスとかついてますが…まあ、意味が通じなくないものだと判断し、説明ナシでUPさせていただきます。

2001年11月2日の投稿です。

なんだか、だんだん怪しい神秘主義みたくなってきたゾ。宗教じみた。
別の意味でおもろいかも(笑)
あと100ページ弱。


2001年11月7日投稿。グルジェフまで出てきたとか、そんな話になってたと思います。

>グルジェフ(訳ではグールドジェフな
んて表記されていたが)

私が読んだのは集英社文庫、1988年出版ので、「グルジエフ」(エはでかいエ)になっていた。
なんだか後半に行くほど怪しい本になった気がします。(いちお読み終わった)
実在の人物と小説の登場人物といっしょくたに語ってるのもなんだか…(笑)
いちばん気にくわないのは、「アウトサイダーはアウトサイダーをやめたがっている」「やめるべき」みたいな考え。
アウトサイダーはアウトサイダーをやめちゃダメだと思うし、やめたいとも思ってないと思う。(一瞬思う事はあっても)

しかし、「アウトサイダー」て言葉は便利だな。つかえる(爆)。『異邦人』の英訳が『アウトサイダー』だってね。


2001年11月8日投稿。

>むしろアウトサイダーとしての自己に甘んじて閉じこも
るなってことだよね?

これがどういう事かっつーと、大雑把に言うと幻覚見て危ない人になりなさいって言ってるよーな感じで(爆)
あの辺からLOVE&PEACEにつながってくのだろうか。『荒野のおおかみ』と共にこれもヒッピーの間でブームになったっけ?

ニーチェが発狂したのをたいていは悪く言われるけど、私は必ずしも発狂したのが「悪い」とは判断できないと思っている。発狂は売春婦からうつされた梅毒が原因って説もあるよね。
アウトサイダーだから発狂したとは限らないんだよな。
カミーユ・クローデルのような才能ある彫刻家も発狂して病院にはいってしまうんだけど、あの激しい気性から芸術が生まれたわけだ。(彼女の人間の洞察力は実にすぐれていて、それが作品によく現れている。)
ただ、当時の精神病院の状態を考えると、やりきれない気はするね。

それにアウトサイダーの生き方と言っても一括りにできないとも思うんだけど、いいものを持っているのに自殺しちゃうような人もいるのは残念ではあるね。漫画家の山田花子とか。

この本の中のキルケゴールの引用で、ちとおもしろいのがあったので引用。


 神々は退屈し、そこで人間を創造した。孤独なアダムは退屈し、そこでイヴが創造された。……アダムは一人で退屈していたが、今度はアダムとイヴは一緒に退屈し、やがてアダムとイヴとカインとアベルが一家そろって退屈し、世界の人口が増加するにつれ、人びとは集団的に退屈するようになった。そこで人びとは退屈をまぎらわすため、天に届くほどの高さの塔を築こうと考えた。が、この考えの退屈なことときたら、この塔の高さに劣らず、それを見ても、退屈がいか
に猛威をふるっているかがわかる。



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コリン・ウィルソン『アウトサイダー』その1 2005.3.16

昨日、過去投稿のヘッセの『ガラス玉演戯』をUPし、次は何にしようかな~と思った所、ヘッセからつづくのでヘッセの事も頻繁に書かれているコレにしよっかと思いました。
って訳で、コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』です。
これは読了後ではなく、読んでる途中からガンガン書いてたのでした。しかも、かなりラフ・・・その分長くなってるので、何回かに渡ってUPします~

2001年10月28日の投稿です。

いまさらこれ読んでんのかいって感じですが(笑)、たまたま古本屋で見つけたもんで(^ ^ゞ
しかもまだ半分行ってないのに、ここに書いてたりします(^ ^ゞ

まあ、納得行かない所もあるにはあるけど、これ読みながら、自分の好きな作家ってのは、アウトサイダーな人なんだなって気付かされたりしてます。
ヘッセの『シッダールダ』を「失敗作」と決めつけるかあ? 人間そのものを<失敗>みたく言ってたりって所もあるんですが、これ翻訳のせいかもしれないっすね。
また、『異邦人』のムルソーについても、私と感じ方が違うかなって所もあるけど、それでも結構おもしろいっす。
とにかくここでとりあげられてる小説が、私の特別好きなものがかなり入ってるので、それだけでおもしろい。
ロレンスやニジンスキーなど、今まで良く知らなかった人にも、これ読んで興味を覚えてます。



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次のが2001年10月29日投稿。

半分あたりまで行くと、急におもしろいじゃないの!
昨日書いた「失敗」ってのは、苦悩の克服の意味っつーか…(ちょっと違う?) とにかくそんなに悪い意味で書いてるのではないみたい。(最初の方から、アウトサイダーに対する愛情みたいのは感じられたけど)
途中で書くとアホみたいな事書いちゃうので(^_^;)読んでから書きます~


次のが2001年11月1日投稿。

まだ途中ですが(笑)
やはり序盤から気になってた「失敗」やら「アウトサイダーの問題」やらの言葉を良く解釈しようかなと思ってた所、後半そうじゃないってのが決定的になってきたよーな。
「アウトサイダーこそが健康的な人間だ」みたいなニーチェ的な考えを認めてるように思えたんだけど、結局、アウトサイダーは病気であって、治療されるべきだとこの人は考えているようだ。
(インサイダー側からの押し付けがましさを感じた)
アウトサイダーの失敗って何を言ってんだろと思いながら読み進んでたんだけど、(成功したらアウトサイダーじゃなくなっちゃうんぢゃ…) フォックスって人を例に出して、神の言葉を聞いてそのまま実行しちゃった人を成功したアウトサイダーの原形って…
それって、犬の鳴き声を神の声だと思って隣人を殺した通称「サムの息子」とか、ビートルズの「ヘルタースケルター」聴いて、自分へのメッセージだと思ってシャロン・テート殺害事件を起こしたマンソンみたいぢゃん。



「荒野のおおかみ」のハリー・ハラーより、「罪と罰」のラスコーリニコフの方が、実行力において(殺人の事ね)アウトサイダーとして成功してるって論理はぜんぜんわからないし、小説はしょせん小説であって、小説の結末を作者のアウトサイダーとしての失敗と結びつけるのも、なんか違うよーな気がする。
この人が書いている『「アウトサイダー」は「アウトサイダー」たることをやめたいと願っている。』ってのは、どうしてこう思うのか疑問である。

う~ん、どんどん納得いかなくなってるんだけど、これはアウトサイダーとしての視点から見た本の評論として読めばおもしろいかもな。
ま、とりあえず読みすすみます。



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これは観そびれてしまって・・・確かテレビでやったんだけど、タイマー録画にしくじりました。観たいだすよ!
アキ・カウリスマキ監督の、衝撃のデビュー作です。




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ヘルマン・ヘッセ『ガラス玉演戯』 2005.3.15

2002年3月31日に別所に投稿したものです。

*多少ネタバレあり

新潮文庫の高橋健二訳のを読んだのです。
と言っても、7000円出して買ったわけではなく(笑)、図書館で借りたんですね。

ヘッセの小説は、2人の主な登場人物によって自我の分裂性を表現しているのが多いと思うんだけど、この小説の場合も、ヨーゼフ・クネヒトとプリニオ・デシニョリがそんな感じがしました。
また、テグラリウスの繊細さ、神経質で気難しい所もヘッセ自身の一部を表わしてるんじゃないかな。
カスターリエンと俗界を行き来するデシニョリは、マンの「トニオ・クレーゲル」に通じるもんがありますね。

この小説の良さはまずは「ガラス玉演戯」と言う発想の素晴らしさだと思います。
ヘッセ最後の小説であり大作であり、ノーベル文学賞受賞のきっかけともなったらしいこの作品はさすがに力作です。
クネヒトの遺稿と言う形で、ヘッセの詩や短編も載せられていて、なかなか読みごたえあります。
東洋的な物の憧憬みたいなものもあり、「シッダールダ」にも結構似てると思います。

私がちょっと気に入らなかった所は、クネヒトがデシニョリの息子ティトーの機嫌を損ねないようにと自分を犠牲にして気を遣う所。
あそこは「旅をしてきて疲れているから、悪いが少し休ませてくれ。時間はたっぷりあるのだからね」と言うべきだったと思うのですよ。後々の為にも。

まあとにかく読み返したい本であります。やはり手許に置いておきたいです。


*今では既に復刊している『ガラス玉演戯』ですが、新潮文庫のがネット古書店で7000円で売られていたのでした。
私はこの後、復刊前に数百円でゲットしました。


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ブコウスキー『ポスト・オフィス』 2005.3.13

職を転々としてきた事で知られるブコウスキーですが、郵便局では述べ15年近くも働いたそうですね。私そんなに長く一ケ所で働いた事ありませんです。
しかもすごく過酷な労働なんです。

この『ポスト・オフィス』の最初の所、誰々に捧げると書いてある箇所、

この本はまったくのフィクションであり、誰にも捧げられない

とあるんですが、これもブコウスキーの自伝的小説と言われていますし、事実は逆かもしれません。

この本とブクの魅力については、訳者の坂口緑さんの<訳者あとがき>に、適格に表現されているので、それを引用して自分は楽をしようと思います。(笑)

 効率が最優先される現代社会では、誠実に生きようとすればするほど、巨大システムの前での人間の無力さを思い知らされる。しかし、本書の主人公チナスキーはあきらめず、「過剰な」反応で当たって砕ける。当然、波風ばかりが立つ。班長からは目の敵にされ、女にも愛想をつかされ、事態は一向に好転しない。それでも彼は、第三種郵便を仕分けきれずに泣き出す老いぼれのGGを、他の連中のようにあっさり見捨てられない。浮気をし、勝手に離婚申請をした挙句に取り乱すジョイスの背中をさすってやらずにはいられない。アル中で廃人同様になった昔の恋人ベティも放っておけない。人間に対する気持を少しづつ節約し、鈍感になっていくことがあきらめだとしたら、チナスキーは世の中の矛盾点に噛みつくことで、人間への思いを鋭敏にしていく。そういうところが、チナスキーの最大の魅力なのだろう。

だから私たちはブクが好きなのだ !
GGの所はとても好きな箇所です。世の中どこの世界も、これと同じ事だらけです。

 オヤジはまたよろめいた。
 おうおう、大丈夫かよ、とおれは思う。ほかに誰か気づいた奴はいないのか?
 あたりをぐるりと見回しても、誰も気にかけていない。「GGって気のいいオヤジだよな」とか言って、オヤジを好きだと公言していた連中は、その「気のいいオヤジ」が弱っていても、誰一人として気がつかない。


『勝手生きろ ! 』の感想で、勇気とやさしさに惚れると書いたのだけど、こんな箇所がありました。

食い物というのは、ハートや神経にとって大切なのだ。そもそも勇気ってものは、腹の中から湧いてくる----でなければ、絶望あるのみだ。

そして、この小説、ラストの3行がすごくイイです。
これ、ブコウスキーの長編処女作なのです。ここから始まったんですね。

学研のハードカバー、坂口緑・訳で読みました。


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ブコウスキー『勝手に生きろ ! 』 2005.3.10

ココココにブコウスキーネタ書いているうちに、なんだかまたブコウスキーが読みたいぜ ! という気になりまして、図書館で数冊借りてきました。
んで、『勝手に生きろ ! 』(原題 Fuctotum) をまず読みました。
内容はと言えば、酒にオンナに競馬と、いつものブクだな、っつー感じで、特に感想文書く程の事もないのですが、この話は第二次大戦前後のアメリカが舞台になってると言うのは、注目に値するかも。・・・って <訳者あとがき> 読んで思ったんですけどね。
以下、あとがきより引用。

面白いのは、戦時中にもかかわらず、それはどこか遠い出来事でしかないという点である。女の子や親に、あんた軍隊にも入ってないのと軽蔑される時以外、チナスキーは戦時であることすら忘れている。気づいたら終わっていた、そんな感じなのだ。その当時の日本とアメリカの差がよく分かる。日本人は戦争のことばかり考えていたが、アメリカ人の大半は、婦人服なんかを買って、いたって呑気に暮らしていたようだ。

おおまかには、次々と職についてはクビになり、或は自分から辞め、また職を探して就き、とゆー話です。
このエネルギーが凄い。最近の日本人は1つうまくいかないと、引きこもったりニートになったりしちゃうよなー、とか思ってしまったですよ。とにかくチナスキーはへこたれずにやる。

1つの仕事を長く続けられない事を、訳者は父親との関係において分析し解説してますが、そんな事はまあどーでもイイとして(笑)、職に就く時はこんな感じなのであります。

(求人広告) 未来を見つめる、熱意あふれる若者求む。経験不問。配送係からの昇進もあり。

「チナスキーさん、なぜ鉄道貨物の操車場を辞めたんですか?」
「ええっと、鉄道には何の未来も感じられなかったからです」
-----中略-----

「すぐに辞めたりしないで、ある程度続ける気はありますか?」
「分かりません」
「どうして?」
「この職場には熱意のある若者の未来がある、と求人広告に書いてありましたよね。だったら、もし未来がないと分かれば辞めなくちゃならないでしょう」
「君、なんで髭を剃ってないのかね? 博打でスッたの?」
「いや、まだ」
「まだって?」
「あご髭を生やしたまま、今日中に職にありついてやるって大家さんと賭けをしたんです」


そして採用されます。(笑) 万事がこんな感じです。

それからアッとゆー間に辞めたりクビになったりするんですが、普通は、向こうが間違っていても、このくらいの事なら逆らわないでおこう、と思う所を、彼は逆らってしまうのです。ささいな事でもそれが間違っていたら我慢しないんですね。
そして、ブコウスキーの何がいいかって、彼は実にストレートだと思うんです。ねじくった皮肉とかは出てこないっすよね。皮肉は皮肉で私好きなんだけど、ブクのストレートさは最高に気持ちイイ。そして勇気とやさしさに惚れます。

学研のハードカバー、都甲幸治・訳で読みました。



映画も良かったです~~感想こちら



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『レベッカ』 2005.3.9

ヒッチの映画は、何と言ってもデンヴァース夫人が恐ろしくて大好きなのですが、小説を読むと、映画はほんのワンシーンなのだな、とわかります。(しかも、結構変えてもある)




勿論映画としては、あれは正解だと思うんです。限られた時間の中に、ストーリーまるごと、あれもこれもと詰め込みたがると、駄作にしかならないのではないかと。
ただ、この作品の場合特に、映画は観ているのだから、だいたいの事は知っているから小説を読む事をしないというのは ( ←私でした ) とんでもなく勿体無い事だと、読んでみてわかりました。
いやー、読んで良かった !
あらゆる面で楽しめる小説です。
人物描写と心理描写の見事なこと !
序盤では、ヴァン・ホッパー夫人の滑稽さが笑わせてくれるし、名無しの主人公 ( 何故か、名前についての言及があるのにもかかわらず、最後まで名前が出てこないんです。謎じゃ。) の次から次へと浮かぶ妄想もなかなか楽しい。マンダレイでのドジぶりも。

ヴァン・ホッパー夫人のつきそい人である主人公が、素敵な豪邸マンダレイの主、マキシミリアン・デ・ウィンターに求婚され・・・とここまではシンデレラストーリーにも見えます。

そしてマンダレイでは、前妻レベッカ (と言うか、デンヴァース夫人) の影に脅え、絵を描くのが好きで一人静かに過ごす事の好きな主人公は、次々とやってくる訪問客の相手をするのに苦しみ疲れ果て……
人の相手をするのは退屈なんかじゃなく、苦痛なのだと言う事をわかってくれない夫。
このあたりは、すっっごく気持ちがわかるから、涙腺じんわりしてしまいましたよ。電車や職場で読んでるんだから困る・・・
皆が忙しく動き回っている時に、何もすることがないきまり悪さなど、実に心理描写が巧いです !
大富豪のお屋敷の舞踏会なんてものは、当然行った事がなくたって、こういう場面には遭遇しますよね。もう共感しまくりです。
主人公のやることなすことのぎこちなさが、可笑しくもあり、人事じゃないという気持ちにもなり。
<あとがき>を読むと、作者のダフネ・デュ・モーリア (女流作家です) は、夫が宮廷勤めになり、

<<この夫との家庭生活は、かならずしも、しっくりとはいっていなかったようだ。ほとんど宴会や公式の集まりに明け暮れる宮廷勤めの夫と、パーティや社交が何よりもきらいだとつねづね口ぐせのように言っている妻とでは、しっくりいかなかったのも当然かもしれない。>>

とあります。
にゃるほど、その経験からの見事な心理描写なのでしょうか。

その後、俄然サスペンス色が強くなってきます。おおっ ! と驚かされます。
ここからは読んでのお楽しみ~♪
まぢな話、読む予定の方は、絶対にネタバレされないように気をつけた方がイイですぜ。

<<補足>>
ちょっとおもしろい箇所があったので引用。

<<わたしは、ふと子供のころによく遊んだ遊戯----近所のお友達は「おばあさん歩き」と言い、わたし自身は「魔法使いのおばあさん」と呼んでいた遊戯のことを思い出した。その遊戯というのは、たとえば、ひとりが、みんなに背中を向けて、庭の端のところに立つ。すると他の連中が、ひとりずつ、ちょこちょこ走りに、そっとその子のほうに近づいて行く。その子はすこしづつ間をおいて、うしろをふり向いてみる。そのとき、だれかが、まだ動いているところをその子に見つけられたら、その反則者は、うしろの線のところまでもどって、またはじめからやりなおさなければならない。>>

コレ、「だるまさんがころんだ」ではないっすかっ !

ちなみに、新潮文庫の大久保康雄訳で読みました。

 

 

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ミルトン『失楽園』その3 2005.3.7

3回シリーズとなりましたミルトン『失楽園』感想です。
こちらこちらにつづいてお読みくださいませ。

結局イーヴはアダムにも林檎を薦めるのですが、イーヴの犯した原罪を知り、アダムは大変悲しみます。
自らの意思、食べたいと言う欲望からではなく、愛するイーヴと共にいよう、共に堕ちようと、禁断の果実を口にするアダムは素敵だと思いました。

「わたしは自分の絆が自分を引きずってゆくのを感ずる。わたしの肉の肉、
わたしの骨の骨、それがお前なのだ。お前の境涯からわたしは絶対に
離れないつもりだ、----幸、不幸いずれの場合にしてもだ ! 」


愛が深い事って素敵じゃあないっすか。しかし、神の教えは違いました。そんなアダムに向って神はこう言います。

「神の声を無視してこの女の命令に従ったというのは、この女が
お前の神だったからというのか? 自分の男としての資格と、
お前から造られお前のために造られた女の上に、神によって
置かれていた自分の地位を、この女に譲ってしまったのは、
相手がお前より上位の、少なくとも同等の、導き手だったから
というのか? お前の価値は、その真の威厳という点においては、
彼女の価値より遙かに完璧なものであった。いかにも彼女は
美しく装われており、また愛らしく、お前の愛情を惹くに足る
ものであったが、隷属を強いるものではなかったはずだ。彼女の
資質は支配されてこそ見栄えがするが、自ら支配権を揮うなど
とは、見苦しい限りなのだ。お前が自分自身を正しく知っていた
ならば、支配することこそ、お前の任務と役割りであったはずだ」


また、訳注によれば、<<「自分の妻に対しても情熱的な愛をそそぐことは姦淫罪に等しい」という理念が中世においては流布していた。>>そうです。

それと、神様わけわかんねーと思った所が1つ。
サタンは蛇を利用してイーヴを騙す訳ですが、蛇って全然悪いことしてないですよね?むしろ被害者ですよね?ところが神様は蛇に罰をくわえるんですよ。
蛇はこれまで違った姿をしていたのですが、この罰により、一生地をはって歩くようになったとか何とか。

後半は、天使ミカエルの長い長い説明で終ります。ココはちと退屈。
『カンタベリー物語』のラスト思い出しました。コレもそれまで実に楽しい話だったのが、このラストのお説教がとっても長くて退屈・・・
ちなみにパゾリーニの映画では、パゾリーニ監督が作者のチョーサー役で出演してます~↓↓↓


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自殺をしようと思うイーヴに対して、アダムの言うセリフ、いつの時代にも通じるセリフだと思いました。これを最後に引用しておこうと思います。

「イーヴよ、お前が生命と楽しみを軽く見ているということは、
お前の軽蔑しているもの以上の何か崇高で尊いものが、
確かにお前のなかに存在している証拠だと思う。だが、
自ら死を求めるということは、お前のうちにあると思われる
その尊いものを、否定することになる。また、生命と楽しみを
軽く見ているというよりは、むしろ過度に愛している、従って
それを失うことへの苦悩と悲しみを示している、といわなければ
ならない。それとも、死にさえすれば、もうそれ以上悲惨な目に
逢わなくてすむ、だから死を求め、そうすることによって
宣告された罰を免れるのだ、などと考えるのであれば、それこそ
誤った考えだ。---以下略---」


 

この大叙事詩、ダンテの『神曲』ともリンクしたり、ホメロスやウェルギリウス、オウィディウスからの影響もかなり見られ、そして、パロディー小説とも言えると思うのです。
パロディー小説の凄いのと言えば『ユリシーズ』ですが、17世紀 (1667年です) のこのミルトンの叙事詩は、その基礎とも言えるかもしれないです。
ダンテやホメロス、オウィディウスを読んでいた私は、その点なかなか楽しめました。ただ、ウェルギリウスの『アエネーイス』が訳注にかなりの頻度で登場していたんです。コレは読んでないのでした。う~読みたい。

*その後読了し、感想UPしてます。こちら


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ミルトン『失楽園』その2 2005.3.5

3/4の日記のつづきです。

アダムとイーヴ登場の前に、天使達と悪魔達との戦争があったのを忘れてました。
ギリシャ神話もそうだけど、全知全能の神がいるのだから天使がとーぜん勝つ訳ですよ。本人達の力は関係なくなっちゃうんですよね~。それでも勇敢に立ち向かう反逆者サタン達はかっちょいいです。断然悪魔の味方になっちゃうもんね。
んで、サタンが大砲を考案したとゆー伝説があるらしいですが、この叙事詩でサタンが大砲を使います。それに対抗した天使達は、山をつかんで投げるっつー、すごい事やってて笑えます。

それから、最初は自分のものであった天国を取り戻すべく、また神や天使への復讐を果たすべく対策を練るサタンは、最初の人間であるアダムとイーヴを陥れる事でそれをかなえようと策略する訳ですね。
その頭の良さには敬服しちゃいますぜ。
次のサタンの言葉は、塚本晋也の『鉄男』的思想ですね。

----たとえそのためにいっそう悲惨な目に逢うとしても。破壊の中にのみ、わたしの残酷無残な心は、安らぎを見出すことができる。

アダムとイーヴ誕生の辺りから、ひどい男尊女卑的思想にムカムカしてくるですよ。イーヴに同情します。
神は最初から不平等に男と女を造ったのは、よく知られている話ですが。

「凡ての男の頭はキリストなり、女の頭は男なり、キリストの頭は神なり」 (「コリント前書」一一・三 ) 。

「男は女より出でずして、女は男より出で、男は女のために造られずして、女は男のために造られたればなり」(「コリント前書」一一・八~九 ) 。


有名な、蛇に扮するサタンの、イーヴの誘惑は、今か今かとワクワクする場面でありますが。
まあ、説明する必要もないと思いますが、味わえば善と悪との知識をその味わった者に生ぜしめる樹、禁断の果実「林檎」をサタンは食べさせようと企むのです。
つまりキリスト教の神の教えとは、無知で馬鹿でいなさいって事なんですよね。
訳注によれば、モンテーニュは次のように書いているそうです。

「キリスト教徒は、好奇心がいかに人間本来の悪であるかを、ことさらよく知っている。知識と学問を増そうとする心遣いこそ、人類の破滅のはじまりで、そこから人類は永遠の呪いの淵へと落ちていったのである」(『エセー』二・一二、岩波文庫、原二郎氏訳 ) 。

禁断の果実を食べたイーヴの独白です。

それにしても
どんな風にしてアダムの前に出たものであろうか? 身の上に起った
変化を彼に知らせ、この大きな幸福を共に味わって貰おうか?
それとも、そんなことはやめて、せっかくのこの知識を誰にも
教えないで、自分の武器として独り占めにしておこうか?
そうすれば、女として自分に欠けているものを補い、いっそう
彼の愛情を惹きつけることができる。今以上に彼と同等な人間に
自分を高めることができる。そして恐らく、----これこそ望ましい
ことだが----いつの日にか彼の上に立つ人間になれるかもしれない。
隷属している者に自由はない。


次回へ続きます。

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ミルトン『失楽園』その1 2005.3.4

ブレイクがよく言及していたので読んでみた『失楽園』。
聖書に基づいた話です。
これまたジョイスダンテのように訳注だらけで、ゲゲッ ! と思ったんだけど、これら2作とは段違いに読みやすい ! そしておもしろい !
聖書って「創世記」から始まってますよね。この『失楽園』はそれ以前から始まってるんです。
ルシファーを中心とする、天から地に堕とされた天使、すなわち悪魔達の会議から始まってるのですよ ! これは楽しいです。
そして、この悪魔達のセリフの勇ましくカッコイイ事 !
バタイユの『文学と悪』によれば、ブレイクはミルトンのことを「すべての詩人たちとおなじく、それとは知らずに悪魔の側に与して」いたと言っているそうで、これ読みながら、そんな事を思い出してました。
ブレイクの言ってる事が正しいかどうかはわかりませんが。
例えばこんなセリフ。なんて詩人なんでしょ。

考えてもみるがよい、創造れることなく前から存在していた、あの『夜』の空々漠々たる胎内に呑み込まれ見失われて、感覚も動く力をも喪失し去ることを

「おお、太陽よ、何ものにもまさる栄光の冠を戴き、
この新しき宇宙を統べる神のごとく、その孤高の王座から
下界を睥睨する者よ。お前の前にあっては、すべての星が
光を失い、その面を覆いかくしている。わたしはお前に
呼びかける、----だが、親しげな声をもってではない。
わたしはさらに重ねてお前の名を呼ぶ、おお太陽よ、だが、
それはお前の光をいかにわたしが憎んでいるかを告げるためだ。---以下略---」

「悪よ、お前がわたしの善となるのだ ! お前の力によって、
わたしは宇宙を天上の王とともに分割し、少なくともその一部を統治
している。全くお前のおかげだ。---以下略---」


これなんて、岡本太郎も同じ事言ってますからね。
岡本太郎は、迷った時は困難な方の道を選べと言っているので、多少意味あいは違うかもしんないけど。

絢爛たる奴隷生活の平穏無事な軛よりも、苦難にみちた自由をこそ選ぼうではないか !

カックイ~ !

悪魔の会議の後は、天の神と天使たちの会議の場面となるんです。これの悪魔の会議との類似が笑わせてくれます。
キリストも登場します。神との話し合いの後に、人間の中に生まれて、その役割を果たすとゆー訳なんですね。

この後のアダムとイーヴの登場は次回につづく、とゆー事で。

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ブコウスキー『HAM ON RYE』 2005.3.2

大好きな飲んだくれ詩人おやじブコウスキーについては、この前『パルプ』についてチラッと書いたんですが (あんなものしか書けずにオハズカシイですが…(^^;)) ヨウヨウさんも、私がブコウスキーファンになったきっかけとなった『町でいちばんの美女』『ありきたりの狂気の物語』とか書いてたりして、私ももうちょっと何か書きたいなーと思い、過去に別所にUPしたものを探してみたですよ。
そんで見つけたのがコレです。2003年3月22日投稿。
他にもいろんな本の感想UPしたのを見つけて、コレで当分ネタには困らず手抜きもできる~と喜んでおります。(笑)

これ書く前に、このタイトルからして、確か『ライ麦畑でつかまえて』をパロッてるのか?とか、そんな事が話題になった曖昧な記憶があります。それで以下の文章になった訳ですね。


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夏以来の手抜き投稿! 過去に書いたもの特集! ↓↓↓↓↓


ようやく読みました。「くそったれ! 少年時代」。
自伝的長編。ブコウスキーは今まで読んだ4册全て好き。
荒々しく、きどりのない文章も魅力だけど、やはりブコウスキーの人間性そのものに惹かれる。
セリーヌと同種の、正しく鋭い視点だったり、悲しいほどの暖かさ、以前セリーヌの時に書いたのと同じ、ある種の寛容さ。
それにセリフもカッコイイ。
ひたすら酒を飲み、煙草を吸い、喧嘩ばかりしている少年時代なんだけど、このどうしようもなさがまたいい。
で、飲んでいる場所はとゆーと、自室、バー、ワイン貯蔵庫などで、ライ麦畑で飲んだくっている場面はなかった。(笑)
はたしてコレが「ライ麦畑でつかまえて」をパロっているかとゆーと、ライ麦…では「母に捧ぐ」くそったれ!…では「すべての父親たちに」なんだよな。ふむふむ。とちニヤリとしてしまふ。

ちなみに私が「ライ麦畑でつかまえて」を読んだのは、ジョン・レノンを殺したマーク・チャップマンがポケットに入れていたんだっけ?それを知って興味を持って読んでみたんで、そうとう昔である。良かったのは覚えているけど内容はかなり忘れている。名作を読んでも忘れちゃってるのって悲しいなあ・・・
ってわけで、次はライ麦畑を再読しようと思っている。

*この後、再び野崎訳で再読。村上訳は読んでましぇん。


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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
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