『ジェーン・エア』 2005.3.30
実に壮大な物語です。ジェーン・エアの幼少時から、実に実にしっかりと描かれています。
あらゆる面ですごく面白かったです。
この小説、1847年に出版されてるんですが、この時代にしては、凄く斬新です。今読んでも斬新だと思えるもんね。
まず、主役は美男美女と言う常識を撃ち破っているし、キャラクターの性格も、タダの善良で清く正しい、或はその逆でもなく、とてもハッキリした、知的な働く女性なんですね。
ロチェスターとの会話のキャッチボールが知的でとてもおもしろいです。
お邸での恋愛なんつーと、もう絶対的に王子様ではないですか。それがこの小説ではブ男だっつーんだから、おもろいっすよ。そして、これを読んで救われた人達もきっと多いに違いない。
ジェーンも美人ではない所がイイです。もうなんつーか…これでもかってぐらいあらゆる形容詞を並べたてて、どんなにその人が美しいかを描いている小説って山程あるじゃないですか。そんなの読むとケッ ! と思う私なんぞにとっては。
巻末の<シャーロット・ブロンテ---人と作品--->には、こんなおもしろいエピソードも載っています。
この小説のふたりの主人公が、いずれも美男美女でないことも、当時の小説としては破格なものであった。それまで小説の主人公というものは、かならず若く美しき男女でなければならなかったのである。ロチェスターは、むしろ醜男の部類にはいる中年の紳士だし、二十歳のジェーン・エアもまた、きわめて特長的な顔立ちはしているが決して美人ではない。この小説があらわれていらい、イギリスやアメリカでは、若くもなく美男型でもない男性を恋人に選ぶことがはやったという話さえつたわっている。
ジェーン・エアは実にしっかりした人間性を見抜く能力があり、さらに毒舌家な所が、私には好感が持てます。ロチェスターに取り入る美人のイングラム嬢を見ても、決して意固地になんかならずに、こんな事を思うのです。
イングラム嬢は、嫉妬するに価しない女であり、そんな気持ちをおこすには、あまりに劣った女であった。逆説めいたことばをゆるしていただきたい。私は、まじめに言っているのだ。彼女は、とてもはでには見えているけれど、真摯ではなかった。美しい容姿をもち、いろいろな芸能にすぐれてはいるが、精神は貧しく、心は、うまれつき干からびていて、その土壌の上に、おのずと花咲く花は一茎もなく、自然にみのった天然の果実が、その新鮮さを賞美されるということもなかった。彼女は善良でもなければ、独創的でもなかった。いつも書物のなかの、ぎょうぎょうしいことばをくりかえすが、自分の意見をのべることもなければ自分の意見をもってもいなかった。崇高な感情をふりまわすが、同情や憐憫の情を知ってはいなかった。感じやすい心や真摯な魂は彼女のなかにはなかった。
・・・と実に適格と言うか。こーゆー人いますよね~。(笑)
そして妹エミリの『嵐が丘』とも共通な、絶対的な確かな愛と言うのは素敵だと思います。次の表現など、『嵐が丘』的ですよね。すごくおもしろい表現だと思います。ロチェスターのセリフ。
「--前略-- なにか私の肋骨の下のふたりに弦があって、それが、あなたの小さなからだの同じ個所にある、よく似た弦と、ほどけぬように、しっかり結ばれているように感じるのです。--後略--」
それにしても、ハッピーエンドと言えるラストなのかもしれないけど、こんな結末になるとは・・・むごいよ~シャーロット。映画も観たんですが、こっちはもうちょいキツくなくなってますね。
映画は、この壮大な物語をこの時間におさめるには、大事な所もはしょっているのはしかたがないし、なかなか良かったです。オーソン・ウェルズがとにかく凄いですよ。
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そして、この小説、『レベッカ』との共通点が多いのにも驚かされましたが、映画ではどっちもジョーン・フォンティンが演じているですよ。
ジェーン・エアは、もっとはっきりした感じの人が合うと思うのですが…キャサリン・ヘプバーンとかがイメージだなあ。
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