ドストエフスキー『白痴』【再読】その2 2005.4.30
コレの続きです。
『白痴』はある意味で、ひじょーに重要なドストエフスキー作品です。
死刑執行を宣告されて、直前で取り止めになった、その実際の経験が、ムイシュキンの口から語られます。
ぬわんと、この部分、その1のコメントでまろさんも言及されています。
新潮文庫、木村浩訳の上巻109ページあたりですが、長いので、ほんのちょっとだけ。
ついに生きていられるのはあと五分間ばかりで、それ以上ではないということになりました。その男の言うところによりますと、この五分間は本人にとって果てしもなく長い時間で、莫大な財産のような気がしたそうです。この五分間にいまさら最後の瞬間のことなど思いめぐらす必要のないほど充実した生活が送れるような気がしたので、いろんな処置を講じたというのです。つまり、時間を割りふりして、友だちとの別れに二分間ばかりあて、いま二分間を最後にもう一度自分自身のことを考えるためにあて、残りの時間はこの世の名ごりにあたりの風景をながめるためにあてたのです。
ここでまたまたカミュの『異邦人』ですが、ムルソーは、この貴重な最後の時間を神父に邪魔されるわけです。
上巻38~41ページでもギロチンによる死刑について語っていますが、ここなんか実におもしろいです。
いいですか、頭をこうやって刀の下において、その刀が頭の上へするするとすべってくる音を耳にする四分の一秒こそ、何にもまして恐ろしいんですよ。
この小説、中盤かなり辛いんですよ。数100ページ我慢して読まなきゃなりましぇん。
ラストの盛り上がりが凄いんで、結構忘れてるかもしれませんが、私はイポリートの場面があまりにもしつこくて長くてうんざりしたのを記憶してました。
まあ、全然つまんない訳じゃないんですけどね。イポリートの弁明の最後の方なんかは、かなりおもしろいんです。
それに、この人はこの人で、なかなかおもろいキャラではあるんですけどね。
そんじゃ、ちと長い引用をしたいので、またまた次回に続きます~。
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