ガルシン『あかい花 他四篇』 2005.8.27
『あかい花』『四日間』『信号』『夢がたり』『アッタレーア・プリンケプス』
どれも実に印象深い短篇でした。
●あかい花●
これがまたまた、想起したのがカフカです。
ゴーゴリの『狂人日記』も連想しちゃいました。
燃えるようなあかい花に、世界のありとある悪が集まっていると思い込み、正義感に燃え、それをむしり取って殺してしまわねばならないと思い込む。ちとドン・キホーテ的でもあると思います。
●四日間●
ある1人の負傷した兵士の淡々とした四日間の話。
派手な銃撃戦やら何やらよりも、よほど戦争の悲惨さを伝えていると思いました。
●信号●
これまたカフカ的 !
●夢がたり●
ちとラ・フォンテーヌのような…。
●アッタレーア・プリンケプス●
動物園、ペットの犬、もうあらゆる生き物に対する人間の仕打ちを、キョーレツなアイロニーでもって伝えている作品だと思います。
今まで未読でしたが、ガルシン、すごく惹かれる作家です。
ガルシンは、精神病院にも何度か入り、発狂の恐怖に怯え、発作的に階段の上から飛び下り自殺を図ったそうです。そして脚部に致命傷を負い、五日苦しんだ後に息を引きとったそうです。
友人の「痛むか」という問いに、彼は心臓を指さしながら、「ここの苦しみに比べれば、こんな痛みは何でもないけ」と答えたと伝えられるそうです。(「あとがき」より)
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