『阿部定正伝』その6 2006.6.30
まず、首を締めるという行為、これ、言い出したのは定だそうです。
「男でも、濃厚なのは、女の首を絞めるということだってね」
「うん、そうらしい、のどを締めることはいいんだってね」
そして、定の首を締めてみたものの、「なんだか、お前がかわいそうでイヤだよ」と吉は言うんです。そして逆になり、吉の首を締めてみたら、定は気持ちが良い。吉の方は苦しくて嫌だけど「お前がいいなら少し苦しくても我慢するよ」と言うんですよ。
さて、この吉蔵のどこがマゾで変態なのでしょうか。
出所後の定は、これまた実に波乱万丈で、ちとそれについては割愛させていただきます。
年をとってからの定の写真が、いくつか載っていましたが、年をとってもキレイな人でした。いつもオシャレに気をつかい、ホルモン注射までしていたそうです。
その経歴の中でビックリしたのが、実名で自分の役で舞台出演までしてるのです。
劇作家長田幹彦が主催する劇団で『昭和一代女』の一幕「浮寝鳥」の小料理屋の女中"定"の奮闘記だって。
さらには、映画にもちょこっと出ているんです。
それもですね、ぬわんと石井輝男の『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』 ! !
ただし、阿部定の役は別の人がやっていて、愛についてしゃべっている姿が少し映されているのだそうです。これ、手に入りまっせ ! ! ↓↓↓
暗黒舞踏団の土方巽は、定を崇拝していたそうです。
嫌がる定を説得して撮らせたこの写真が、阿部定最後の公式写真だとか。昭和44年8月です。雑誌『潮』(昭和44年10月号) に掲載。
「どうしても、阿部定さんと撮りたい。そして、阿部定さんの清らかな魂を自分にも宿らせたい」と熱心に頼んだそうです。
そして、ある時定は、マスコミからも知人からも姿を消しました。生死もわからない状態です。今生きていれば、100才を超えています。
雑誌「女性自身」の取材で、こんなふうに語っていたそうです。
「……でもねえ、この頃、私が考えるのは、死ぬときのことばっかり。私が死ねば、いずれ新聞、雑誌がおもしろ半分、いろいろ書くわよ。
養老院や貧乏のどん底で死んだら、世間の人は何て言う? 死に際だけは、きれいに死にたい。できれば、だれにも知られず、そっと死にたい。--後略--」
少女の頃の、銭湯のエピソードなんかも好きな話で、書きたかったのですが、長くなりすぎたので、この辺にしておきます。
興味のある方は本を読んでくださいね。
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