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井原西鶴『好色一代女』其の二 2007.4.28

まずは本『富岡多恵子の好色五人女』の一代女より引用します。

近ごろでは人妻も派手になりまして、遊女や歌舞伎踊りの女の真似をし、洒落者の男がよくやっているように、袖口を広げ、腰をすえて上体をくずさず、遊女の道中姿のような歩き方をしたりします。

江戸の誘惑展の感想で、遊女や芸者は、様々な遊芸を提供するタレントであり、最先端の流行を発信するファッション・モデルでもあったそうです。と書きましたが、歩き方などもなんですね。

次のは、お裁縫の歴史がわかって、おもしろいです。

 女の着物の縫い方は、人皇四十六代考謙天皇の御代にはじめて定められまして、それ以後日本人の着るものも見かけがよくなりましたのです。高貴な方のお小袖などを仕立てます時には、針差しに差してある針の数をあらかじめ調べておき、しまう時にはまたその針の数を改めるというように、なにかにつけて気を配ります。身を清めてから仕立てにかかるのですが、月の障りのある場合は、お針をする座敷に出てはいけないことになっているのです。

また、帯の流行なども、いろいろあったようです。以下、角川文庫の古い現代語訳より引用です。

往昔は女の帯は六尺五寸に限つたものだが、近頃は長くなつて、物好きな者には見好くなつた。小袖の紋柄も、近頃始めた縫切の櫻鹿の子といふのは、傍から染めたやうに見せて、種々の色糸で縫つたものである。

*旧字出すの大変なので、新字で書いてます。
其の三に続きます。


   

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ジャンル : 小説・文学

井原西鶴『好色一代女』其の一 2007.4.26

溝口の『西鶴一代女』を観てから (こちらの感想は改めて書きたいと思ってます)、井原西鶴の原作『好色一代女』を読んでみたいと思ったのが、井原西鶴を読むきっかけとなったのですが、図書館で検索し、「現代語訳」との文字を確かめて予約を入れたのですが、それが角川文庫の「―――付 現代語訳」というやつでして、古いのが最初に出ているのですが、これはとても読めんと思い、とりあえず現代語訳のみ、と思ったら、この現代語がやけに古い。旧かな使いだし。(ちなみに昭和二十七年初版、昭和四十八年 十九版発行とあります) 読みにくい!と思いつつ、しかたないのでコレで読んだ後、やはりよくわかんなかったなあ、と思っていた所、『富岡多恵子の好色五人女』に一代女も入っており、分りやすい現代語だとわかったので、こちらも借りて読みました。
これを読んだ後に、原語 (よりも少し新しいものだと思いますが ) も読んでみたいなんて思いがふつふつと。これはあの場面だなってのはわかるのですが、やはりよくわかんないまま、全部読み終えました。

そんな訳で、比べてみたい箇所もあり、ただ引用したい箇所もあり、実にややこしく読書感想文が書きにくい訳でありますが、なんとか書いてみたいと思います。

まず最初に映画を観たので、田中絹代演じる一代女が全く好色に思えず、ただただ運命に翻弄される不幸な女の人生を描いたようにしか思えなくて、その点も確かめたかったのですが、原作は本当に好色な女で、実におもしろかったです。
「またかよ」と言われそうですが(^^;)、阿部定と性格似てるよーな。
飽きっぽくて一つの仕事が続かない所なども、よく似てると思いました。粋でオシャレな人ですし。

つづきます。また長くなりそです。(^^;)

   

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井原西鶴『西鶴置土産』暉峻康隆 訳・注 其の二 2007.4.24

奄美大島に鶏飯 (けいはん) という有名な料理がありますが、ひょっとしてコレは、その元になったようなものではないか?と思ったのですが。(違うかもしれませんが) ↓

鶏飯 (にわとりめし)……くちなしの煎じ汁で似た飯に、鶏肉や葱や丁子を加えて醤油で調味したオランダ風の飯。

揚屋の女房のセリフが、彼等全体を的確に言い表していると思いました。

だいたい粋などということは、女郎様方の役には立たないものです。ずいぶん洒落た男自慢の人は、京・大阪・堺にたくさんいなさるが、そんな人たちは後先の考えもなしに金を使いはたし、しまいには揚屋の手前も具合がわるくなって、回り道をして通るようになるもので、生まれつきの阿呆ですよ。

それを言っちゃあおしめえよ、って感じもしますが。(^^;)

伊勢町の月夜の利左衛門といわれた大尽の話は、澁澤龍彦の、確か『快楽主義の哲学』に出てきた、アルフレッド・ジャリだったか別の人だったかの話とクリソツ!と思いました。
偶然会った友達3人を家に招いたものの、薪がなく、掛軸の仏様を吊ってある仏壇の扉を打ち割って焚きつけ、子供は着替えがなく、裸で十四、五枚も継ぎ合わせて作った蒲団にくるまり寒さに震えている有様に同情し、三人は小金を出し合い、天目茶碗にそっと入れて出て行ったら、追っかけてきて、
「これはどういうわけなんだ。どんなことがあっても、筋の通らない金を貰うわけにはいかない」
といって、みんなが言い訳するのも聞かずに、投げ捨てて帰っていった。
二、三日たってから、人手を借りて女房に届けさせたところが、すでにその一家は田舎へ立ち退き、空屋になっていたという話です。


超男性ジャリ

この本の巻末に掲載されている、吉行淳之介×暉峻康隆の対談の中で、西鶴の「好色盛衰記」のなかに、デカメロンと同じ話が出てくるのだと話しているのですが、大阪や堺の貿易商人たちが、オランダと取引があって、宴会をしたりすると、こういう話が流れ込むなんてこともあったと思う、と暉峻さんは話しています。
こういう一口話みたいなエロ話は、口コミでじつに世界中に広がるんですな。

同じく対談からですが、前回感想をUPした『好色一代男』の世之介のモデルについて。
暉峻さんの話では、一章づつミニ世之介のモデルがあるという話です。以下引用。

吉行 西鶴自体はそのなかに入っていないんですか。
暉峻> いや、それがおかしいんですよ。西鶴の晩年、死ぬ一年ぐらい前の手紙が残っているのです。おもしろい手紙なんですよ。大坂の年寄った金持のプレイボーイ、それが老後の慰みにしたいから、島原の太夫―――当時いちばん多いときで十五人ぐらいいましたかな―――、その直筆の色紙がほしい。それを西鶴に頼んだんですな。西鶴は島原で顔のきく知合いの大尽に色紙を二十枚ばかり送って、よろしく頼む、古歌でもなんでもいいから書いてもらってくれ、頼み手は例の世之介と仰せくだされ候わば、みんな喜んで書いてくれるであろう。という文章なんですよ。売り込んでるねえ (笑) 。



 

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井原西鶴『西鶴置土産』暉峻康隆 訳・注 其の一 2007.4.22

前回の『好色一代男』が処女作で、こちらは遺作だそうです。
『西鶴置土産』の前に『椀久一世の物語』が掲載されており、こちらは、浮き世の夢としか思えない浮世之介とは全く違い、実在のモデルがいたそうです。
莫大な遺産を引き継ぎながらも、遊廓で身を滅ぼし、最後には狂って、三十三歳で水死してしまう、椀屋久右衛門という男がモデルだそうです。
これは初期の作品だそうで、十二月にモデルが亡くなり、翌年の二月にはもう、作品を書きあげているのだそうです。
ぼろぼろに身を落として乞食になった椀久を哀れんだ人たちから、いろいろ物を貰うのですが、パッパッと他の乞食たちにやってしまう所なんぞは、気持ちが良いくらいです。
「宵越しの金は持たねえ」ってやつですね。そして乞食たちの大将になるんです。
目の前で椀久が乞食の大将になって、ウロウロと乞食を引き連れて、最後に死ぬところまで西鶴は見ているのだとか。
西鶴の椀久への愛が感じられる、いい作品でした。西鶴作品の中でも、特別好きになりました。

『置土産』の方も、皆遊廓で身を滅ぼす男たちの話なのですが、本当の粋とは何かが描かれており、彼等への西鶴の愛が感じられます。


【目次】(「BOOK」データベースより)
好色五人女/好色一代女/西鶴置土産


 

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井原西鶴『好色一代男』暉峻康隆 訳・注 其の四 2007.4.19

「衣裳重ね」という行事も出てきます。
九月九日の菊の節句の前後三日間、揚屋の太夫・天神が小袖や文庫や硯箱などを飾る行事だとか。

それから「入れ墨」について。こちらは巻末の「鑑賞のしおり」より引用です。

 俗に入黒子という入墨は、爪よりも心中としては重いだろう。入墨をする場合は、思う男に文字を書かせ、その筆跡を彫り入れるのを本意とした。針または剃刀を用い、左右の腕または指の股に彫り入れた。おおむね男の名を略し、勘兵衛ならばカンサマ命、平兵衛ならばヒラ命と、下に命の字を添えたのは、「命にかえて」または「命かぎり」のむ心である。
 その入墨をほかの客に見つけられ、ぜひ消せといわれた時、入墨の男が来なくなっても差しつかえないと判断したら、艾で焼き消して、新しい男の名を入墨したというのであるから、その虚実を呑み込んで、女郎に入墨などさせないのが、ほんとうの粋というものである。


遊女が客をどれだけ思っているかを、こういう事で示す訳ですが、「爪よりも」とありますが、これは「放爪」と言って、爪をはがして客にやるのだそうです。(ぎゃあ)
ところで、誰々命って、今でも便所の落書きなどによく見かけますよね!

小説は訳注と行ったり来たりが面倒ながらも、楽しく読めましたが、この「鑑賞のしおり」がなかなか読むのが辛かったんです。
遊女の事などが大変詳しく出ているのですが、きちんと数字を出すのは良いのですが、文章で説明するより、地図や表でわかりやすく出ていたら良かったのになあ、と思っていたら・・・こんなわかりやすいサイトを見つけました。
すんません、勝手に拝借。こちらです。
これは吉原について詳しく書かれていますが、他に遊廓は、京都の島原、大阪の新町がトップに位置していたようです。
日本中の遊廓を制覇し、最後には女護が島へ渡った世之介は、まさに多くの男性の夢ではないでしょうか。ちなみに、世之介の父親が「夢助」というんです。

   

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井原西鶴『好色一代男』暉峻康隆 訳・注 其の三 2007.4.17

好色一代男

この本は、着物の種類もいろいろ出てきて、着物好きさんに、きっと興味深く楽しめる作品だと思います。以下引用。

薄柿色の裏付きの帷子に太織で薄い藍色の羽織をひっかけ、紋所にはさしわたし四寸五分ほどの鎌と輪とぬの字をつけた無粋な身形で、

おおっ!「かまわぬ」の手拭いは有名ですが、これですよね!

        

アフィリ検索したら次々とかっちょいいのが!字数制限がキビシーので、次回につづきます。(汗)


   

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井原西鶴『好色一代男』暉峻康隆 訳・注 其の二 2007.4.14

*引き続き18禁で。

ちょっと前にNHK教育の『美の壷』で、箪笥の隠し扉を紹介されており、大変おもしろく興味深く拝見しました。
谷けいは隠し扉にへそくりを隠してましたが、こちらの色っぽいしかけも凄いです!以下引用。

「まず『四条の切貫雪隠』と申しますのは、身分のある後家などで中居や腰元などお付きの者が多くて、勝手なまねのできないお方が、この雪隠におはいりになると、中に抜け道があってまことに気ぜわしい逢引きをいたすのです。『忍び戸棚』というのは、これも内側に通路をしかけ、男を忍ばせておいて逢わせるのでございます。『揚畳』と申しますのは、畳をあげると、簀の子の下に道がつけてあって、都合が悪いと見れば、そこから男を抜けさせるようにいたしたものです。『空寝入りの恋衣』というのは、次の間の押入れに後家向きの地味な着物や、防寒用の大きな綿帽子、房つきの数珠などを手まわしよく入れておいて、女より先に部屋に入れた男に、その衣裳を着せて寝かせておき、さる大家の御隠居のかみ様といいつくろい、女の供の者に油断をさせておいて逢わせるという仕組でございます。『後世の引入れ』といいますのは、墨染めの衣を着せた美しい尼を仕立て、物になりそうな奥様たちにつけておいて、『わたくしの住まいはこちらでございます。ちとお立ち寄りくださいまし』と引きずりこんで男に逢わせるやりかたです。『印の立眩み』というのは、逢引き茶屋の暖簾に目印の赤手拭いを結びつけておいて、女が通りかかるとかならずその前で仮病をつかい、『休ましてもらいたい』とはいりこむんです。気をつけてごらんになると、そんな茶屋はそれとすぐおわかりになりましょう。
 また、『契り隔て板』ということがございます。これは小座敷の片隅に漆塗りの板が敷いてあって、女がゆったり横になると、男の一物が通うほどの落し穴があり、男は板の下にあおむけに寝られるように、一尺あまりの透き間をこしらえておくのです。『湯殿のたたみ梯子』というのは、外からは手桶一つ入れるほどの透き間もないように厳重に見せかけ、女が裸になってはいり、内から戸を閉めると、とたんに天井から縄梯子をおろして上に運びあげ、事をすましておろすという仕掛けになっております。
 だいたい、こんな秘密の仕掛けが、かれこれ四十八手もございます。――後略――」。


どこで切っていいかわからず、長い引用になっちゃいました。(^^;)


   

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井原西鶴『好色一代男』暉峻康隆 訳・注 其の一 2007.4.12

*とりあえず18禁で。

少し前に、溝口の『西鶴一代女』を観て、これは是非とも原作が読みたい!と思い、たまたま図書館に行った時に、この本はなかったのですが (別館にあるのを予約入れました)、その時あった西鶴の『好色一代男』と『西鶴置土産』をパラパラとめくると、これはおもしろそう!と思い、思わず先に借りてきました。

    

小学館ライブラリーという本、文庫本サイズかと思いきや、びみょーに長いんですね。なのでブックカバーに入らず・・・図書館の本だからセロテープでびっしりとめてあって裏っ返しにも出来ず。「好色」の文字がデカデカと。フロに入っている女性を覗く主人公、世之介の表紙・・・
次の日持って行きたかったので即席で「餃子半額!!」とか書いてある広告をブックカバーにしました。(勿論裏の無地の方ですよん)

これが西鶴の処女作だそうです。若い頃から俳諧などでは才能を開花させてたそうですが、この小説は41才での処女作だそうです。
そして、これは、頼まれて書いたものではなく、書きたくて書いた作品で、私家版でこっそりと出版されたのが、たちまち評判になったのだとか。挿し絵も西鶴が描いています。

主役の浮世之介、略して世之介は、ドン・ファンにも勝ってるんじゃないかと思うのですが・・・以下引用です。

六十歳までにたわむれた女の数が三千七百四十二人、男色の相手が七百二十五人であったことは、その日記で知られる。幼いころから引き続いてザーメンをかい出し、よくも命があったものだ。

ぬわんと、七歳から始まってますからね。
江戸時代の言葉もいろいろわかって、おもしろかったです。例えば・・・

 「新枕」・・・初契り
 「姫始め」・・正月二日の男女の交わり始め。
 「張型」・・・男根を模した女性用の性器具。象牙や水牛の角製。

あは。ここなんて爆笑でした。

 世之介が紅の緒をといてみると、七寸二、三分もある先太の張型で、何年か使いへらして先のちびたやつであった。すっかり毒気を抜かれて、
「なんです、これは」
というと、
「だって、この張型様を使う時は、死んでしまいそうな気がいたしますから、命の敵じゃございませんか。どうぞこの敵をとってくださいまし」


もろな描写は一切出てきませんが、色っぽいっすよね。(*^^*)
浮き世絵のように明るくカラッとしたエッチな本で、大変楽しく読了しました。

次回、あまりにスゴイしくみだ!と驚いた所を、ちと長めの引用をしたいと思っております。

   

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桐野夏生『グロテスク』その2 2007.4.11

こちらのつづきです。
共感したり、にゃるほど!と思った箇所を六ヶ所ほど引用して終ります。

 大人になっていないわたしたちは、傷付けられるのを何かで防御し、さらには攻撃にまで転じなくてはならないのです。

 娼婦になりたいと思ったことのある女は、大勢いるはずだ。自分に商品価値があるのなら、せめて高いうちに売って金を儲けたいと考える者。性なんて何の意味もないのだということを、自分の肉体で確かめたい者。自分なんかちっぽけでつまらない存在だと卑下するあまり、男の役に立つことで自己を確認したいと思う者。荒々しい自己破壊衝動に駆られる者。あるいは、人助けの精神。その理由は女の数だけ存在するのだろうが、私はどれでもなかった。男に欲せられることによって容易に欲情し、性交が好きでたまらない私は、できる限りたくさんの男たちと一回限りの性交をしたいと願っている。要するに私は深い人間関係にまったく興味がないのだ。

↑他にもこういう人、いるんじゃないでしょか。

自分の身の丈に合ったことは何か、を常に考えている人間には悩みなど生まれません。日光が足りなくて光合成ができないのなら、その植物は枯死するしかないのです。間引かれる運命になりたくなければ、光を遮る丈の高い植物を倒すか、光合成をしなくても生きられるものに存在を変えるしかないのです。

すべての原因は、その人間を形作っている核とでもいうべきものに存するのではないでしょうか。

恋のために人は道化になってしまうのです。

とどのつまり、自分だけ幸福になりたい人が宗教に行くのではないでしょうか。違いますか。

東電OL殺人事件に関しての、ちゃんとしたノンフィクションが読みたいです~~


  

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桐野夏生『グロテスク』その1 2007.4.9

まず手を出さないジャンルなのですが、職場の同僚が貸してくれたので、「東電OL殺人事件」が元になっている小説だというので、ちょっと興味を覚えて読んでみました。
なので、ノンフィクションに近いものだと勝手に想像してたら、最初の方で見事にハズれ、あまりに現実離れしていてガッカリしつつ、上巻はそれでも結構おもしろくグイグイと読んだのですが、下巻のチャンの供述のあたりから、かなりだるくて退屈で、結構しんどかったです。
「わたし」は結構好きですが、和恵にはあまり共感できず。いちばんわからんのはミツルでした。「わたし」に対して、何故そんな事まで言うか?とゆー感じ。ミツルがいちばん嫌なやつに思えたかも。
ユリコは実に周りの事や自分の事が見えていて、美しかった自分が衰えても悲観する事なく、実に実に強くて良いと思いました。ただ、何故ここまで強い女性が、殺される事を望んだのか、私にはいまいちわかりませんでした。
「解説」で斉藤美奈子が、『グロテスク』によって、はじめて私は、事件の被害者が「救われた」と感じたのでした。いいかえると、被害者をもみくちゃにした世間への復習がなされたような気がしました。とありますが、そうなんでしょうか??? 私には、和恵のやることなすことことごとくが、ギャグにしか思えませんでした。侮辱にならないんだろか?なんて余計な心配をしてしまいましたが、実際の事件をよく知らないので、何とも言えません。実際の事件の方を知りたくなりました。

そんな中、いくつか付箋を貼った部分を、次回、引用したいと思います。
引用オンリーでいいでしょうか。(汗)


  

東電OL殺人事件 (新潮文庫)東電OL殺人事件 (新潮文庫)
(2003/08)
佐野 眞一

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君野倫子『平成着物図鑑』 2007.4.8

このタイトルから、素晴らしくステキな着物の生地や図案などのいっぱーーい載っている本だと勝手に想像してしまったので、ちと期待ハズレでありました。(^^;)
君野倫子さんが、あいうえお順に、思い思いに着物に関係したものを写真と文で散りばめられたような感じの本です。
たすきがけのやり方や、裾よけの作り方などなど、お役立ち情報も載っています。
文体はきくちいまさんに似ている感じが。
君野倫子さんは、アメリカの短大を出たそうで、アメリカ在住中に、日本の文化に目覚めたそうです。それってわかるなあ。日本から離れて客観視できたからこそ、日本の文化の良さに気付くって、よくある事だと思います。

この人とはなにげに趣味が合うのかも・・・p.40の大正コーディネートの欄の表紙の着物が、私の持っているココなどで着ている着物にクリソツ!コーディネートは自分の方が良いと思ってしまった。(^^;)
p.34の唐草模様の大島紬がとっってもかわいいです。んで、私が持っている大島も、色がついている点では違うものの、同じく唐草模様でして。(こちらで着ているものです。リサイクル着物 忠右衛門さんで4万円くらいで購入したものです。)
ちなみに君野さんの大島はココの2005年11月25日の日記で着てらっしゃいますね。私、この人の首の長さ、細さにビックリでした。
うあー、ショールが千鳥格子で、私の買ったコートと一緒だあ。こわいよーな趣味の一致だ・・・

小さいコラムが所々に載っていて、レトロなおやつやグッズが楽しいです。
粉状のジュース、あったなあ。いちごみるくは今でも健在ですか?中にチョコが入ったチャオなんて、懐かしいです。

「は」の所の「初めて買う着物」、この方も無地の紬をお薦めされています。

帯によって、着方によって、普段着にもなるし、お芝居やお食事、パーティーにも行けるから。そして、粋にも可愛くもできる、本当に万能選手。

ごもっともです。

気になったのが、p.12の「岩井さんのつづら」。
HP見つけました~
ココも。
軽くて丈夫な上、通気性もよく、防虫効果も高いから、着物の収納に最適なのだそうです。
気軽に買えないお値段ではあるけど、これから先には製造されなくなってしまうかもしれない貴重なつづら。なくならないうちに出来れば持っておきたいなあ、と思い、土曜日にきものACTさんの展示会に行く前に、とりあえず人形町に行ってお店を見てみようと思っていたら、風邪と体調不良で行けましぇんでした。(泣)
ちなみに、若い方の注文が多く、今頼んでも6ヶ月待ちだそうですよん。
現在つづらが作られているのは、岩井さん含め3店のみだそうです。

ページをめくると、「イン・コーデ」。
着物の下にハイネックなどを着るのは、私はすんごい抵抗あります。
ババシャツ着てショール羽織れば暖かいと思うのだけど・・・。(私は着物の時ババシャツ着ませんが。ネルの下着でしのいでます。)
ぽっかぽかネルの肌着
真冬の強~い味方!冷え性さん必見!あったか!ネルの裾よけ
 【ぽかぽか温か・・・オリジナル】こんなの欲しかった!薄くて快適なあったか着物インナー!...

このページ、着物のコーデはとっても素敵なんですけどね。

さらにだいーぶ先に行くと、でたあ!着物にブーツ!しかもウエスタンハットまでかぶっちゃって。フツーの靴もですっっ!
それだったら洋服でいいじゃん、と思うのですが。着物着る意味あるのかなあ、と。

・・・とあまり共感できなくて、いまいち好きになれないと思ったのですが(^^;) でも趣味は合ってしまうと言う・・・「お」の欄の「おあつらえ」の以下の文には同感でした。

 古着なら多少のサイズの違いはよしとしましょう。でも、本当に自分サイズを着ると、その着やすさは感動モノです。初めてあつらえるときは、普段着ている着物の中でもっとも着やすい着物を持参するといいと思います。そして、おあつらえの醍醐味は、でき上がりを待つ時間。恋人を待つような、そんな幸せな時間です。

私、今その気持ちを味わっているところです。(ココ見てねん)


平成着物図鑑平成着物図鑑
(2004/12/11)
君野 倫子

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テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

『森田空美の知的きもの入門』 2007.4.7

図書館で、きもの関係の本をいくつか借りてみた中のひとつなのですが、正統派なコーディネートでありながら、とっってもオシャレで素敵なんです。
特に帯が私好みのものが多く、ほれぼれしちゃいました。
持っているのは織りのものが多いのですが、染めの帯も良いですね!p.49 p.69 p.83などなど!
・・・と好きなのをあげていったらキリがないので、省略しますが、これだけ。26ページの無地のコート、かっちょいいですっっ!

・・・でもどれも高そう。(^^;)

この本、見て楽しめるだけでなく、帯結びの説明などが、とてもわかりやすいんです。
いつも帯枕に帯揚げをまいてから使いますが、帯枕を先に結んで、後から帯揚げを掛けるやり方には、目からうろこ!
帯揚げの処理も「入り組」というやり方が、見た目スッキリでオシャレだと思いました。早速マネしてます。
その他にも、お役立ち情報満載なので、購入を決めちゃいました。
二重太鼓の結び方も出ているし。

無地の着物がいろいろ遊べて便利なのだという事には、最近気付いたのですが、この本では、まずは結城紬の無地を!と薦めています。
着心地、軽さ、丈夫さ、そのすべてが最高なのだとか。
すんごい素敵だと思うんですが・・・でも高いっすよねえ。
いつか、そのうち、欲しい一枚です。

きものをコーディネートし、着るということは、毎回毎回、自分自身がデザイナーになるような感覚です。との文、そう考えるとわくわくしちゃいます。

おわりに「おわりに」から引用します。

私の教室に、お稽古に来る人たちを見ていると、猛スピードできものにはまっていく人がとても多い。
そして、どんどん美しくなっていくのです。
それは、着こなしが身に付いて、センスが磨かれていくとともに、意識が変わっていくからなのです。
きものが似合う自分になりたいための努力。
それは、知性を磨くといった内面的な面ばかりでなく、
背筋の伸びた姿や、優雅な動作、言葉づかいまでも美しくなるから不思議なほど。
風情ある佇まいとは、きものに向き合うことにより、きものに育てられるのだと感じます。
そして、きものを通して見えてくる日本の歴史は、なんと豊かで深いことか。
そのさまざまな物語に、胸が熱くなるのは、私ばかりではないはずです。


  

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テーマ : オススメ本!!
ジャンル : 本・雑誌

中島梓『着物中毒』その4 2007.4.6

茶色の文字は引用なので。

うんと頑張る気なら着物だってサンダルはいてもブーツはいてハイカラさん気取ってもいいし、根性があればストッキングでハイヒールだっていいけど、これはさすがにちょっと場所えらぶので、まあ、草履はしょうがないかな。下駄はねえ、私あまりおすすめしません。浴衣にはいいですけど、日常的には、ちゃんと着物着るとあんまりはくチャンスがない。

いや、私は市田ひろみさんの本などで、アンティークの着物に下駄って合うんだなあ、と思ったので、思い切り下駄履こうと思ってるんですけど。(ココで下駄履いてますっ ) ってか、人それぞれの趣味の問題ですよねえ。
・・・ってその前に、着物にサンダル~~?ブーツ~~?袴にじゃなくて~?ハ、ハイヒール・・・・・・ドテッ!
以前、浴衣にサンダルは美しくないよ~ってな事を書いた事がありますが、着物にサンダル履いた人って、私は見た事がありませんっっ!見たくありませんっっ!
それだったら「女中のキヨの薮入りのお出かけのおめかし」の方がぜんっっぜん良いんじゃないでしょうか?

素足で下駄履くときには、かかとのお手入れくらいはして、でもって、ペディキュアは忘れないようにしましょう。あんまり血豆っぽくならないやつ、きれいなうす赤とかピンクとか涼しげなやつを。もっとも私は年増だからときたまどっかーんと、すっごいグリーンのラメ入りのペディキュアとかして面白がってますけどね。

え~~?ペディキュアですかあ?あんまし塗りたくないなあ。
ってか、昔の人はペディキュアしてないんじゃないですか~?この人は繰り返し「昔は誰もしてない」って話を出すものですから。着付け教室なんて誰も行ってなかったでしょ、とか。

2005年に出たゴルチエの浴衣でアニマル柄を3色購入したらしいのですが、2枚写真が出てましたが、とっっても暑苦しい柄だと思ってしまいました。(-_-;)
浴衣でアニマル柄というのを想像していただけたら、わかっていただけるのではないでしょうか。この人と趣味が合わなくて良かったと秘かに思いました…言い過ぎか?
それはともかく、庶民はそういう時は、悩みに悩んで1枚選ぶと思うのですが、出た色全部買っちゃうってスゴイなあ。しかし、それならヤフオクとか安いネットのリサイクルショップに手を出さなくても・・・とも思ってしまいますっっ。そこは庶民にゆずればいいぢゃないの!

この夏、私がアナスイで買った、うす紫の文字盤のちっちゃな時計がとってもおしゃれでねー。「これで、もうたっかいブルガリだのオメガなんかいるもんか」って思いましたねえー(笑)ブレスになるような、ちょっとラインストーンとかも入ってるやつなら全然OKだし、逆に最近は電波時計で女もちのものがかなり小さくなりましたから、これはこれでなかなかいいんじゃないかと思います。

着物姿で時計はめちゃうんですかいっっ? 時間はケータイでチェック出来るので着物の時は入りましぇんっ!

ルールにこりかたまって「あんな変な着方して」とか「あんなのおかしい」とかと後ろ指をさすおばさんたちも、それもまた「ルール」を着ているだけの気の毒な心の狭い人たちだと思う。いいじゃありませんか。そういう気の毒な人たちに何を云われたって。

・・・と書いてる自分こそ、その3の銘仙の所とか、勝手におかしなルールを決めてるじゃないっすか?

最後の章が「一緒に着物を着ませんか!」って言うんですけど、あなたと一緒には着たくない、と思ってしまいました。


着物中毒着物中毒
(2006/12/21)
中島 梓

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テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

中島梓『着物中毒』その3 2007.4.4

いきなり引用ですが・・・

だから私は、着物を本当に覚えようと思ったら三ヶ月、週一で着付け教室に通ったりなんかするんじゃなく、「とにかく三ヶ月、毎日着物着て生活してみたらいいよ」というのです。

・・・って、OLやってて、そんな事が出来る訳ないじゃないっすかっっ!(呆)
学生さんにしたって、着物で学校行けないですよねえ。
ごくごく一部の職業か一部の専業主婦さん、或いはヒッキーとかプーなどに限られた話でしかないわけで。
群ようこさんでさえ、毎日着物で過ごすことがどれだけ大変だったか書かれているんです。

そういうフォーマルにはむしろ馴れた洋服のほうが楽であるはずです。あなたが着物を着たいシチュエーションというのは、むしろ、「お遊び」や「お楽しみ」だと思うんですね。友達と遊びにゆく。みんなに見せびらかす。せいぜい、歌舞伎を見にいく。このくらい。

・・・って、勝手に決めないでくださいよっっ!
「着物を着たい」人の中には、様々ないろんな人がいるんですっっ!
そして、そういう視点でのオススメがいろいろ出てくる訳ですが、もう余計なお世話!!人それぞれ趣味ってものがあるんですから。

 もっともそれをいうと、いまはやりの大正浪漫の銘仙っての、あれもねえ、やりすぎると「女中のキヨの薮入りのお出かけのおめかし」みたいになっちゃうのでね。何にせよ着物の場合は「ひとつおさえた」ほうが品よくは見えると思いますねえ。仲間うちでゆきすぎたお洒落を競ってあそぶようなときには全然問題ないだろうけど。

(-_-;)

・・・と批判しか出てきませんが、まだつづきます。次回で終わりです。
次回ご紹介する引用文、十分「ゆきすぎ」だと思うんですけど・・・。自分のことはわからないのかしらん……と思ってしまったけど……


着物中毒着物中毒
(2006/12/21)
中島 梓

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中島梓『着物中毒』その2 2007.4.2

この人の母親が「百万の帯でも切る」主義の人だそうで、何でも結びやすく付け帯にするのだそうです。↓

どんな高価な帯でも「しめなきゃ意味ないから」といってばりばり切っちゃう。それで呉服屋さんを嘆かせもしましたが、でもいったん仕立てちゃった帯なんてどうせ、買ってくれても二束三文で、財産になんかなりっこないのです。

財産になるかどうかと言う問題だけでなく、着物を、帯を、布を大事にしたいという精神が働かないのかしらん……と思うんですけど。
それに、そんなにしょっちゅう着ているのなら、付け帯じゃなくたって、簡単に結べるようにならないのだろうか、と疑問に思います。私は帯を結ぶのも、着物を着る楽しみのひとつです。

二重太鼓をひとりで初心者がしめるなんて、それこそシルク・ドゥ・ソレイユのサーカス団なみの難事業になっちゃうんでって、私初心者で二重太鼓しめましたけど。かなりいいかげんではあったにしても。

着付け教室って、いったことないけど、なんかぎゅうぎゅう相当きつくしめるみたいですね、

いろいろ買わされる所はあるみたいですけど、ぎゅうぎゅうしめるって話は私は知りません。どうなんでしょうか。
まだつづきます。


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Author:吉乃黄櫻
ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
峰不二子、デボラ・ハリー、ウエンディー・O・ウィリアムスが憧れの人!

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