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『淀川長治の活動大写真』その6 2007.6.30

◆チャップリンとキートン◆

長年チャップリンの秘書を努めた高野虎市さんのお話が、大変おもしろかったです。以下引用。

チャップリンはけっしてケチではないが、税金を非常に嫌う。「世間をこれだけ楽しませているオレから高額の税金をとるのはけしからん」というわけである。

『血と骨』の金俊平を思い出してしまったですよ・・・。

チャップリンVSキートンなんて話になる事って、映画ファンの中では結構あると思うのですが、はっきり申し上げちゃって、才能は圧倒的にチャップリンの方が上でしょう。
観ている人の笑う回数なんぞを数えてみたら、チャップリンは笑いっぱなし、キートンは時々、ってな感じになると思うんです。これはどうしたって認めざるを得ません。
にもかかわらず、バスター・キートンが私は大好きです。
ちなみに、澁澤龍彦の好きな俳優の第1位がバスター・キートンなのです。(こちら)。
次の淀川さんの文が、その「何故か」を的確に言い表してくれているように思います。

笑わぬ男が彼のトレードマークになったのだが、彼の人気のもとは人間の孤独であり劣等感であり、もっとひとくちでいえば、不器用不細工のその主人公への拍手であった。
 キートンは部屋から外へ出るときには必ずそのしきいにつまずく。それに実に要領が悪い。ガールフレンドを見つけても口もきけない。背はひくく、腰はひろく、しりがとび出ている。顔はベソをかく一歩手まえの表情。パーティーでも一人のけもの。
 つまりこれは、とりもなおさず誰もの胸の中にある "私" 自身。人間のコンプレックスの代表がすなわちバスター・キートン扮する痛ましい主人公。これが大活躍して成功するから面白いのである。


身体を張った演技の物凄さも、つけ加えたいです。まるでそうまで自分を痛めつけなければいられないような。
後に『サンセット大通り』に彼が出演していたのを、嬉しく観たのでした。



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

『淀川長治の活動大写真』その5 2007.6.28

◆タイトルデザイン◆

淀川さんの記憶力には驚かされます。私も観たはずなのにスッカリ忘れている見事なタイトルの映画の数々。8歳の時に観た映画のシーンまで!
最近の映画でタイトルに凝ったものに出会うと小躍りするほど喜んでしまいますが (小躍りはウソだけど(笑))、私などは「ピンク・パンサー」や「007」の最初のタイトルにワクワクしたものですが、その多くは、ソール・バスというデザイナーが作製されていたのですね。ボツになった (と言うか、そりゃムリだろ、と言う…) アイデアがすこぶるおもしろいです。

 すでにご存知と思うが、ソール・バスというデザイナーは映画のタイトルのほうでも有名だ。「ウエストサイド物語」「大いなる西部」「悲しみよ、こんにちは」「八十日間世界一周」そのほかフランク・シナトラの「黄金の腕」など、彼の力作はいっぱい。
 その彼が日本に来たことがある。そこでさっそく会ってみた。ちっともデザイナーみたいなところがない。どっかの会社員みたい。四十歳くらいに見えた。この人が「これだけは、どこの会社もやらせてくれないんだよ」と私にウインクして打ち明けたことがある。
 それは大きな一本のハムを輪切りにして、このハムの上に出演者の名を入れてゆく。一つ切ってはスターの名。また一つ、ナイフで切ってはつづくスターの名をそのハムの上に浮きだして見せる。これではどこの会社も許可すまい。あちらでは下手な役者のことをハム役者という。さしずめ日本なら大根を輪切りにして、そこに主役の名を入れるというのと同じ。
 もう一つは……トイレの便器の真上からキャメラで撮影する。そしてその便器の中にスターの名を浮かす。そしてジャーッと水で流して、また次のスターの名を浮かす。
 これがだめならおトイレの紙にスターの名を書いては引きちぎり、また引っぱり出してはスターの名を書いて、また引きちぎってゆく。これもダメ。まあ、そうでしょうねェ。いくらなんでもねェ。ソール・バスは本気で、これをやりたいと目を輝かせた。


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『淀川長治の活動大写真』その4 2007.6.26

◆サロメ◆

サロメと言えば、ケン・ラッセルのと



1950年代頃の作品だと思うのですが、サロメを悪女に描いていないものがあったと思います。タイトルわからないのですが・・・あ、多分コレ。その2つが思い浮かぶ訳ですが、1922年のアラ・ナジモヴァの「サロメ」は、セットも衣裳もビアズリーの美術を用いているそうで、ちなみに三島由紀夫が岸田今日子と上演した「サロメ」も存在し、こちらもビアズリー美術で面白かったそうです。ああ、観てみたい。
ココに出てるって事は、フィルムは残っているのでしょうか?



ナジモヴァのサロメについて、三島が語った事が書かれています。

「僕はうなったね、いま見てもちっとも古くない」と、すごく感心しておられた。

三島由紀夫は、実に素直に無邪気に芸術に対して感激するかわいい人だったのだなあ、と何か目にする度に思います。淀川さんも、澁澤龍彦もそうです。エラそうに蘊蓄たれるヤツなんてフェイクに違いねーだろ、と、淀川さんや三島由紀夫にふれると思ってしまいます。

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『淀川長治の活動大写真』その3 2007.6.23

◆ルドルフ・ヴァレンティノのラブシーン◆

ルドルフ・ヴァレンティノと言えば、映画ファンなら誰もがご存知のサイレント時代の大スター中の大スターでありますが、「散り行く花」(感想こちら) や「東への道」でリリアン・ギッシュと共演しているリチャード・バーセルメスという名前は、あまり出てきません。

*リリアン・ギッシュが流氷シーンで死にかけたと言うエピソードも!


当時の女性はこの純情青年型名優のバーセルメス派とヴァレンティノ派に別れて喧嘩などをしていたとか。(笑) このバーセルメスと比較してのヴァレンティノの紹介が楽しいです。

 ところがヴァレンティノはその反対の、アラン・ドロンを油でいためた……とは少しちがう。もっとスケールは大きい。まさにサイレント映画史上最高の美男スターである。

そのバレンティノ、写真で見ていた時には大変な美青年に見えたし、MTVビデオクリップなどで目にしていたキスシーンも素敵!と思っていただけに、『血と砂』の感想で書きましたが、鼻からブアーッと煙を吐くマヌケ面を見た時には、そりゃガッカリしたものでした。

この本の「ヴァレンティノ・アルバム」のコーナーでは、彼の写真がズラリ。確かに美しくカッコイイんです。闘牛士姿のなんと似合う事!
しかし何と言っても、この人はラブシーンにつきるのではないでしょうか。
世界中の女性が夢中になるのも、わかる気がします。以下引用。

ヴァレンティノは正直に言って名優ではない。しかしそのラブシーンのムードは天下一品であった。それは火と燃えてなにものをも焼きつくす酔いごこちがあった。美しいラブシーンというよりも濃暑なラブシーン、しかもそれは焼けて、燃えて、灰と散る哀れさを感じさせた。

淀川さんのこの素敵な表現能力にも驚かされました。
当時の女性ファンは、ヴァレンティノ映画の封切りとなると、念入りに化粧して出かけたという伝説もあるそうです。「画面からヴァレンティノが私を見るかもしれない……」と。
ラブシーンについて、もう1つ引用します。

 このヴァレンティノのラブシーンが物すごい。彼は激情に達するや、相手の女をぐいと抱きしめ、サッと彼女から身を離し、ついで再びグイと引きよせ、力いっぱい抱きしめる。それで女はガバと彼の腕によりそうことになる。すると彼は女の肩を両手でワシづかみにする。やがて片手で女の肩から腕へとその手をなでおろし、その腕の肉をくいこむがごとく握りしめる。と、もう一方の手は、女の首にまわる。そして女の背中を二回なでまわしてから、熱き接吻をするのであった。

いやあ、女性はイチコロですね。真似してみてはいかがでしょうか。それが似合えば・・・というのが前提かもしれませんが。(^^;)

血と砂 ヴァレンチノ

 

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『淀川長治の活動大写真』その2 2007.6.21

◆字幕スーパー◆

今では当たり前のように見ている字幕スーパー。これがいつ頃から始まったかご存知でしょうか。こんな事が書かれています。

 ところで、このスーパーが、いったいいつごろから始まったかというと、一九三一 (昭和六) 年二月封切りのディートリヒとクーパーの「モロッコ」からである。日本で初めてトーキーが封切られたのが、昭和四年の「レッド・スキン」と「狼の唄」とそれに短編の「進軍」。
 すると、昭和四年から六年までの、そのあいだはどうなっていたのでありましょう。はい、その間は説明者がサイレント時代と同じように、画面を見ながら説明していたのであります。


◆西部劇◆

爆笑してしまいました~↓

 もともとカウボーイはメキシコ人から始まった。それでカウボーイのことをメキシコ・スタイルでバクェロと呼ぶ。それで一九二〇 (大正九) 年日本封切りのダグラス・フェアバンクス主演の「ニッカーボッカー・バッカロー」(一九一九年作) という映画が来たときには、その題名を訳すのに困ってしまった。字引をひいてもバッカローが出てこない。それでついに「ニッカーボッカー・バッカロー」という原名のまま封切ったのであるが、地方に行くと、これがあんまりややこしいので、ある都市ではたんに「ニッカーボッカー」だけが題名となり、ついにさる地方では広告係がまちがって「ニッカーボッカー・バカヤロー」と題名を書いてしまった実話がある。

テンガロンハットの名前の由来、知りましぇんでした。(汗)

この帽子のことをテンガロンハットということはすでにご承知と思う。この帽子で水をくむと十ガロンもくめる、と大げさなことをいった、その冗談から生まれた愛称である。

 

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『淀川長治の活動大写真』その1 2007.6.20

もう随分前に川越の古本屋さんで購入した絶版本。朝日文庫です。
この文庫が出たのは1989年ですが、書かれたのは、はっきりとした表示がないのですが、本文から1968年終わりか1969年あたりと推測されます。おそらく70年代に入っていなかったかと。

淀川さんの母親は、活動写真を観ている最中に産気づき、そのあくる朝に淀川さんを生んだのだそうで、(父親は映画を中断したくなくて「そやかて、いま一番面白いとこやないか、すまんがおまえ先に帰ってんか」と言ったという逸話に笑いました~) まさに映画の為に生まれて来たとしか思えませんっっ!
そして、サイレント初期に幼少期を過ごし、映画と共に成長していったのですね。
動く画像にワクワクし、来日した女優の金髪に青い目を見て驚き、トーキー時代に入っての音が出るというだけの事でも驚き楽しむ、純粋に映画を楽しめた時代を生きた事が羨ましいです。

活動写真の花形だった連続活劇では、タイトルのまえに、俳優が舞台挨拶をやるように、主役が画面からニッコリ笑ってから始まったのだ、と言うような、活動写真のおもしろいお話が満載です。

この本を読んでもつくづく思いましたが、淀川さんの素晴らしい所は、上から見下ろすような態度がなく、こ難しい蘊蓄たれる事もなく、チャップリンの秘書であった日本人男性の話にも、視聴者からの手紙にも、映画への愛に触れると同じように涙を流して喜ぶような所だと思います。
今回、この本の感想、なかなかの長丁場となりましたが (その10まで行ってしまいました~)、そんな淀川さんの映画への愛を伝えられたら、映画好きさんに楽しんでいただけたら、と思います。

おもしろそうなのをピックアップ。


 

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アンドレ・ブルトン『黒いユーモア選集』上巻 その3 2007.6.18

アポルネールはエドガー・アラン・ポーの事を「バルティモアのすばらしい酔っぱらい」と言っているそうです。ボードレールが語っている事が、とても興味深いです。

 文学上のうらみつらみ、無限なものへのめくるめき、家庭生活上の苦労、貧しさ故の屈辱、それらすべてから、ポーは、墓の闇の中に逃れるようにして、泥酔の闇の中へと逃れようとした。というのも、彼の飲みぶりは酒好きの飲みぶりではなく、野蛮人のような飲みふりだったのである。……ニューヨークで「ホイグ雑誌」に『大鴉』の詩が載ったまさにその朝、あらゆる人がポーの名を口にし、みな彼の詩を争って手に入れようとしているとき、彼はブロードウェイをつまづきよろけながら家から家へとほっつき歩いていたのだ。

この後ポーの『奇妙さの天使』が紹介されていました。これが実におもしろかったです。
訳されている時点で、これは当てはまらないかもしれませんが、私には、心地よいリズムがある文だと思え、流石詩人という気がしたのでした。

次は知らない人ですが(^^;)、グザヴィエ・フォルヌレ。実にフザけた人です。以下引用。

 彼の著書の体裁は、種々突飛な着想によって異彩を放っているが (例えば、非常に大きな字体で印刷され、しかも一ページに二、三行、あるいは本文は表ページだけといった具合に余白が過度に使用されている。《おわり》という言葉は物語の展開を必ずしも中断せず、さらに《おわりの後》によって続けられることがある。特別に赤で印刷された詩が他の詩の中に挿入されている。極めて特殊な、しかも多くは非常にうまい題がつけられている、など。)

トリスタン・コルビエールという詩人は、実に実に見事なブラックユーモア家だと思います。スゴイです。この素晴らしいオヤジギャグ的エピソードで終わりにします。

たとえば、瀕死のさまでデュボアの病院に運びこまれたトリスタン・コルビエールは、母へこう書きおくっている、《デュボアに来ています。棺桶にするこれぞ木材 (デュボア) です》。

 

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アンドレ・ブルトン『黒いユーモア選集』上巻 その2 2007.6.15

こちらのつづきです。
ジョナサン・スウィフトの「精神的なまた面白いさまざまの問題についての考察」より引用です。

 わたしがある著者のある文章の一節を読んで、かれの意見がわたしの意見と一致するとき、わたしは言う。これは実によく観察されていると。意見が相違するときにはわたしははっきりと宣言する。かれはまちがっていると。

トルストイがこんな事を言っていたそうで・・・(-_-;) やっぱりトルストイって嫌。
ばりばりのキリスト教徒だから、気持ちはわからなくもないけど~

今日のドイツ人たちがニーチェのごとき気取った文芸家に夢中になって、リヒテンベルクのような著述家をこれほど無視してしまっていることが、私には理解できない。

ゲオルク=クリストフ・リヒテンベルクつづきます。「アフォリズム」という章より、いくつか引用します。

 若いときには、人は自分が生きているのだということはほとんど知らない。健康についての自覚は病気によってはじめて得られるものだ。大地がわれわれに及ぼす重力に気がつくのは、空中にとび上ってみて、ふたたび落ちたときの衝撃による。老齢がやってきて、病気の状態が一種の健康になると、人はもはや自分が病気であることに気がつかない。過去についての記憶が残存していなければ、人はほとんど変化に気がつくこともあるまい。それ故、動物にとっては老齢―――たとえわれわれの目にはそう映るにせよ―――は存在しないだろうと私は思う。りすが死に近くなって軟体動物のようにじっと生きているとしても、軟体動物同様べつに不幸だというわけではない。しかし、過去、現在、未来という三つの場に生きる人間は、この三つのうちの一つが何の価値もなくなるやいなや、不幸になるかもしれないのだ。宗教はそのために第四の場を加えさえした。永遠がそれである。

 その男は非常に知的であったので、社交界ではほとんどもう何もできなかった。

 「あなた以上に不幸な人はたくさんいますよ!」そう考えたからといって、住むべき家が与えられるわけではない。にもかかわらず、この理屈はにわか雨を避ける庇しを提供するには充分役立つのである。


いやあ、おもしろいです。次回もうちょっと引用します。(^^;)

黒いユーモア選集(上巻)
黒いユーモア選集(下巻)

 

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アンドレ・ブルトン『黒いユーモア選集』上巻 その1 2007.6.13

私、シュールレアリスムは、まあ絵画ですが、高校生の頃から好きでした。特にダリ。
印象派→シュールレアリスムへと進む方って多いのではないでしょうか。って自分がそうだった訳ですが(^^;)、だい~~ぶ大人になってからダリが好きだと言ったら、結構年下の人に「ダリは卒業した」とか言われた事がありますが。(-_-;)
(××は卒業した、というフレーズ、昔は「ロック」で使ってた人がゴロゴロいましたが、悪いけど笑っちゃいます。最近は使わないか。)
ちなみにスペインのフィゲラスにあるダリ美術館に私2度行ってます。こちらの12月2日の日記に書いてます。

アンドレ・ブルトンがシュールレアリスム運動なるものをやっていて、私の好きなアーティスト達が参加している事は知っていましたが、なんとなく、そういう集団的なものが好きじゃないのと、私の好きなデ・キリコにも嫌われていた事もあり、この人の顔も、いまいち好きになれず(^^;)、(ジェフ・ゴールドブラムにちょっと似てませんか?) 『ナジャ』は昔読みましたが、特に興味もなく、通り過ぎておりました。



のですが、この前の埼玉県立近代美術館での澁澤展で、ブルトンの『黒いユーモア選集』に澁澤が非常に影響を受けたと知り、こりゃ読んでみないと、と思ったら、楽天ブックスでは下巻しかなく・・・ヤフオクで落札しました。(品切れかとオモたら密林にはあったよ)
送料入れて千円ぐらいでした。(下巻はまだ購入していなくて、未読です)
読んでみて、にゃるほど!です。澁澤の取り上げている人達がいっぱい。知らない名前も結構ありました。
サド、ポー、ボードレール、ルイス・キャロル、ニーチェ、ロートレアモン、ランボーなどなどが紹介されています。
ハイデガーとかカントか何かの難し~~哲学みたいな所もありましたが、わりと楽しく共感しつつ読めました。
まず、ユーモアとは、私にとって、非常に重要な事であると思っています。
文学にしろ映画にしろ、惹かれる部分の多くはユーモアのセンスです。
だから、すんごい読むのが大変だった『ユリシーズ』もどうにか読めた訳です。すごくフザけた小説なんですよ。ドグマグなんかも、読むのが大変でしたが、すごくフザけてて好きです♪♪
そして、「黒いユーモア」!!とにかく毒のあるものが好きな私には、黒いユーモアと言うのは壷でした。この共食いTシャツなんかも、黒いユーモアですよね!

次回につづきます。(またまた引用地獄が始まりますが。(^^;))


 

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テーマ : エッセイ/随筆
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安倍公房『砂の女』その2 2007.6.11

きっと映画より先に原作を読んでいたら、すごい衝撃だったかもしれないこの小説。(映画の感想はこちらです)
砂の地獄に陥るストーリーとはあまり関係のないものの、にゃるほど!と思わされた文章がいくつかありました。
次のは教師についてですが、果たして教師が妬みの虫にとりつかれた存在であるかどうかはわかりませんが、なるほど!と思わされた一文でした。

じっさい、教師くらい妬みの虫にとりつかれた存在も珍しい……生徒たちは、年々、川の水のように自分たちを乗りこえ、流れ去って行くのに、その流れの底で、教師だけが、深く埋もれた石のように、いつも取り残されていなければならないのだ。

もうこういう人、ほんっっと、いましたよ~~。何を言っても反論しかしない人!
逆を言えば逆を言い返しただろな~と思ったこと、結構ありますもん。
なんなんだろなあ。反論好きなのか何なのか。
自分に対しては、って場合と、誰に対しても、って人と居ますね。
ってか、そもそも自分の意見というものがないんだろうかと、小一時間問い詰・・・

たとえば、彼が、結婚の本質は、要するに未開地の開墾のようなものだと言えば、あいつの方では、手狭になった家の増築であるべきだと、わけもなく憤然として言い返す。逆を言えば、おそらく逆の答えをしたにちがいない。

次のも、本当にその通り!こういう所に安倍公房の巧さを感じます。

そもそも飢えきった者にとっては、食物一般があるだけで、神戸牛だとか、広島の牡蠣の味だとかいうものは、まだ存在していない……一応、満腹することが保証されてから、はじめて個々の味覚も意味をもってくる……

最後に、こんな頭に残るフレーズで終わりにします。

孤独とは、幻を求めて満されない、渇きのことなのである。

 

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安倍公房『砂の女』その1 2007.6.8

映画を観てから、これは是非とも原作が読んでみたい!といてもたってもいられずに借りて読みました。
それまで、安倍公房って、勝手に難しいイメージを持っていて、敬遠していました。(^^;)
読んでみたら、ぜんぜんそんな事ないっすね。
しかし、映画を先に観るか、原作を先に読むか、と言うのは、実に難しい問題でありまして、よくあるパターンは、原作を先に読んで映画を観てガカーリってやつですよね。
おそらく、この原作を先に読んでいたとしても、勅使河原監督の映画に決してガッカリしないだろうと言う自信はありますが、この原作、映画を先に観たせいか、途中から結構退屈だったと言うのを正直に申し上げておきます。(^^;)
逃亡シーンなんて、先がわかっているだけに、なかなか進まずにイライラとゆー感じでして。(^^;)
ただ、この原作あってのあの映画であり、この発想は本当にスゴイと思います。
あらゆる意味で恐ろしいです。
砂の存在、渇き、慣れ、そして、生きながらにして社会から抹殺されると言う。
そして科学的に細かい所が、リアリティーを増してますね。
これからは砂を見る度に、これを思い出してしまいそうです。

次回、またまたいつくか引用して終わります。


 

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夏目漱石『門』その2 2007.6.3

前回、御米の言葉使いが好きになれず、と書きましたが、訳注にことばの説明がありました。どーもエラそうと言うか、きどっていると言うか、いばっている印象な時もあったり、ふざけてしか使いたくありましぇんっっ!

 御米のことばの語尾は、当時普及していた山の手の女性ことばを反映している。明治三〇年代に定着した女学生ことばが源流で、通称 <テヨダワことば> といわれている。例をあげると、「貴方そんな所へ寝ると風邪引いてよ」「本当に好い御天気だわね」「ええしてよ」「小六さんが怒ってよ。よくって」

「だわね」ってビバヒルの吹き替えで良く使われてたなあ。
もう1つ訳注から。着物好きとしては、メモっておきたい情報でした。

 inverness スコットランドの都市インパーネス産の防寒コート。明治初年に輸入され、和服用の防寒上着として改良され広まった。二重まわし・とんびともいう。

ああ、すんごいわかる~~と思ったものを、本文より。

兄は多くの希望を二十四時間のうちに投げ込んでいる。だから遣りたい事があり過ぎて、十の二、三も実行出来ない。否、その二、三にしろ進んで実行にかかると、かえってそのために費やす時間の方が惜くなって来て、ついまた手を引込めて、凝っとしているうちに日曜は何時か暮れてしまうのである。

これも~~!

 しばらく煖炉の傍で煙草を吹かして待っている間に、宗助は自分と関係のない大きな世間の活動に否応なしに捲き込まれて、やむをえず年を越さなければならない人の如くに感じた。正月を眼の前へ控えた彼は、実際これという新らしい希望もないのに、徒らに周囲から誘われて、何だかざわざわした心持を抱いていたのである。

ここまで、何もかも捨ててもの愛というのは、実に深く尊いものだと思いました。それが罪の上に成り立っている、他人を不幸に陥れているという所が、なんとも考えさせられてしまうのでありますが。奥が深いなあ。

彼らは、日常の必要品を供給する以上の意味において、社会の存在を殆ど認めていなかった。彼らに取って絶対に必要なものは御互いだけで、その御互だけば、彼らにはまた充分であった。彼らは山の中にいる心を抱いて、都会に住んでいた。

逃れられない運命と、罪の意識に対する苦しみと、どう償えるものか、どう自分を救えるものかと悩む。
愛するもの同士がひっそりと、ただ2人だけで暮すという事は、有り得ない、許されざる事であり、周りを無視する事は不可能であり、と考えていると益々わからなくなるばかりなのです。人はみな「ストレイシープ」なのではないでしょうか。




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夏目漱石『門』その1 2007.6.1

この『門』は、『三四郎』『それから』につづく三部作という事なのですが、これを呼んで腑に落ちました。
つまらないと思った『それから』( 感想こちら ) も、この『門』を読んで、意味のあるものになりました。
最初の方では、御米の言葉使いがどうにも好きになれなかったりしたのですが、そんな御米の苦しみも、宗助の苦しみも理解でき (と言うと、何か陳腐な言い方ですが・・・)、それは=漱石の苦しみだったんだなあ、としみじみ思い、『それから』を読んでいたからこその <業> の意味もわかり、『門』は良かったです。好きな小説になりました。
そして、ラストの方を読んで、そうか!『三四郎』との関連は、「ストレイシープ」と言う事なんだ、きっと!と靄が晴れた気分でした。(*注 決して読後感スッキリな小説ではありません。)
漱石自身も体験された「禅の修行」での、こんな1文も、それを示していると思います。

彼は直截に生活の葛藤を切り払うつもりで、かえって迂闊に山の中へ迷い込んだ愚物であった。

よく感想を書く前に、某密林.comのレビューを見てみたりするのですが、時々すんごい優秀なもので出会ってビックリする事があります。この『門』のレビューも素晴らしいものがいくつかありました。もう私なんぞが何も書く事はないな、と思わされるような。
高い評価のものも、低い評価のものも、なるほど、と思わされるものがありました。
短い文章で実に簡潔に書かれていたりします。
どーも自分などは、量は相当読んでいるわりには、文章力がついていってないような気がするのですが、と言うか、落ちてる気がするのですが (涙)、まあ、良くも悪くも、感覚的、感情的 (←うまい言葉が思いつかないんだけど、熱くなって書いてるとゆー意味ではないんです~~) にしか書けない人間なのかなあ。

次回、例によって(^^;)、いくつか引用して終わります。



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Author:吉乃黄櫻
ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
峰不二子、デボラ・ハリー、ウエンディー・O・ウィリアムスが憧れの人!

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