『フリッカー、あるいは映画の魔』その9 2007.9.29
「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」
以上は、ヘルマン・ヘッセの小説『デミアン』より引用です。
ちなみに、私のハンドルネームは、この小説からとっています。こちらに青字で引用しています。

以下は、重要な登場人物であるローゼンツヴァイクが持っていた本より引用です。
世界最古の異端である呪われた二元論の本質、ならびにニケア会議以降に記録されたアブラクサス教徒たちのいまわしい教義をここで明らかにし、あわせて肉と霊魂の救済を宣言されたわれらがイエス・キリストのあなどりがたき仇敵、カタール派として知られるサタンの改宗者どもがローマ法王庁で暗躍をほしいままにせし秘められた史実をはじめて世に問うて、八世紀におよぶ虚偽と欺瞞と混乱の実相をのべるものなり。追補として、残像と称するあやかしの現象がもたらす邪悪な陰謀と人倫にもとる悪習にたいする三位一体の不屈たる戦いを後世に伝える。長い苦難にあえぐイエスの僕たるイエズス会師K・H・Rが神の偉大な栄光のために、これを記す。
おお、やっぱしだ~~!と心の中で叫びつつ・・・しかしかな~~りヤヴァイ宗教のように描かれています。
私ヘッセの『デミアン』からハンドルネームをとっているのに、この宗教であるグノーシス派 (この本では「カタリ派」) については一冊も読んでないもので(^^;)、この鳥の神の正体をはっきりと知りたくてワクワクしつつ読み進みました。
お次はマックス・キャッスルが居たという孤児院への訪問を果たした主人公が、そこで観た光景です。
大壁画の中央下方には三名の髯をたくわえた老人がひざまずき、天をあおいで祈りを捧げている。そのはるか上空で後光につつまれた黒い鳥が老人たちを守護するかのように大きな翼をひろげ、鳥の胸元から発した一条の光線が彼らの額を射ぬいていた。鳥と老人たちのあいだには、ひとつの女人像が中空に浮かんでいる。隠すべき肉体の部位は薄くヴェールでつつまれているが、その姿は宗教画にあるまじき臆面もない官能を発散していた。女は血まみれの心臓を刺しつらぬいた剣を右手に持ち、黒い鳥めがけて高く振りかざしている。
そしてそして、教団の主席理事だというドクター・ビクスのセリフですっっ!
「焚刑をまぬがれた者、そして炎にあぶられても生き残った者が額に焼きごてによって生涯の烙印を押されました。そのほとんどが子どもたちです。彼らは兄弟殺しであるカインの印を焼きつけられ、追放され、迫害する国々をさまよい歩いた。この子らはいずれも飢え死にし、罵声をあびせる村人たちになぶり殺される運命にあった……」
『デミアン』からの影響だろうか、と思いつつ、次は主人公が就職していたUCLAの中世史学者であるフォースタス・カースタッドとゆー人です。
彼が手渡してくれた資料はけばけばしい表紙の、薄いパルプ紙の出版物だった。タイトルは「アブラクサスの受難。苦闘する僕たちによるその歴史と教義の解説」とあり、裏表紙には「カリフォルニア、ハーモサ・ビーチ、アルビジョア派同胞教会」とアドレスが記されていた。
カタリ派については本を読んでみたいです。フェルナン・ニールの『異端カタリ派』という本が紹介されてました。
*↑買いました。
字数制限にひっかからなければ、次回で終わりです。
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