立花隆『解読「地獄の黙示録」』その1 2007.10.30
「地獄の黙示録」は世界文学に匹敵する映画である!1980年のオリジナル版初公開時に「『地獄の黙示録』研究」という異色の映画論文で評判を呼んだ著者が、いま再び、22年後の特別完全版をあらゆる角度から徹底解剖する。コンラッド「闇の奥」、フレイザー「金枝篇」、エリオット「荒地」などを手がかりにして、映画を深く読む一冊
と言うこの本。実に実に深く細かい分析は流石としか言いようがありませんっっ!
映画『地獄の黙示録』に魅せられた方、是非この解説本でもう一度酔いしれていただきたいです。
英語が出来ない事が、映画を観る際に、こうも不利に働くのか、と思ってしまいましたが、随分と誤訳が多いみたいです。そして、原作のコンラッドの『闇の奥』の訳にも、結構問題があるらしいです。(下のリンクは新訳です。)
なので、ここに書かれている事を頭に入れつつ、映画を観たり原作を読んだりしたいと思いました。
図書館で借りて読んだのですが、う~~ん、こりゃ買わなきゃダメかな。
『闇の奥』もこの前借りてきまして、これをUPしている時点では読了している予定です。

『闇の奥』は、『フリッカー、あるいは映画の魔』にも出てくるのでありまして、おもしろい共通点がありました。とりあえず引用です。
風速六十六メートルの猛台風オルガとそれによる大洪水のため、巨額の費用を投じたセットの八割が破壊され、撮影は六週間中断した
『フリッカー、あるいは映画の魔』で、主人公ジョニーと会話する、『闇の奥』の出演女優の名前がオルガ・テルというんです。
この台風の名前からとったのではないか、というのは、深読みのしすぎでしょうか。偶然でしょうか。
さらに、マックス・キャッスルの映画の撮り方とコッポラとは、かなりダブる所がありました。以下引用。
カーツは、カーツを神とあがめるカンボジアの山岳民族をひきいて北ベトナム軍と戦っているという設定になっている。ジャングルの中に、カンボジアの古代寺院を模したカーツ砦の巨大なセットが作られた。はじめはエキストラを募集してカーツの部下の山岳民族兵に仕立てあげようとしたが、それなら本物の山岳民族の集団を丸ごと連れてきてしまえということになった。
本物のインディアンを雇い、彼らにセットの小屋で生活してもらい、そのままシーンに出てもらったそうです。儀式のシーンはこうして撮られました。
このあたりなど、『地獄の黙示録』がこうして撮られた事を調べた著者が、そのまま頂いたのではないか、と思います。さらにさらに・・・
「闇の奥」を最初に映画化しようとしたのはオーソン・ウエルズで、一九三九年のことである。RKOと話がまとまって、撮りはじめたが、予算が大幅に減額されたため、撮影開始一日目に中止になっている。オーソン・ウエルズの発想では、「闇の奥」を通じて、その時代をおおっていたファシズムの脅威を描こうとしたという。
『フリッカー、あるいは映画の魔』では、マックス・キャッスルとオーソン・ウエルズが共同で『闇の奥』を撮ろうとして、ボツになったと記憶してるんですが。
あの本の「あとがき」にも、これはほとんど実話であると書かれていましたが、いやあ、あの本を読んでいたから2倍楽しめちゃいました。まさにトリビアな知識にトレビアンです!
『地獄の黙示録 特別完全版』
<映画の見方> がわかる本 その5◆地獄の黙示録◆
『フリッカー、あるいは映画の魔』
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