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立花隆『解読「地獄の黙示録」』その1 2007.10.30

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

「地獄の黙示録」は世界文学に匹敵する映画である!1980年のオリジナル版初公開時に「『地獄の黙示録』研究」という異色の映画論文で評判を呼んだ著者が、いま再び、22年後の特別完全版をあらゆる角度から徹底解剖する。コンラッド「闇の奥」、フレイザー「金枝篇」、エリオット「荒地」などを手がかりにして、映画を深く読む一冊


と言うこの本。実に実に深く細かい分析は流石としか言いようがありませんっっ!
映画『地獄の黙示録』に魅せられた方、是非この解説本でもう一度酔いしれていただきたいです。
英語が出来ない事が、映画を観る際に、こうも不利に働くのか、と思ってしまいましたが、随分と誤訳が多いみたいです。そして、原作のコンラッドの『闇の奥』の訳にも、結構問題があるらしいです。(下のリンクは新訳です。)
なので、ここに書かれている事を頭に入れつつ、映画を観たり原作を読んだりしたいと思いました。
図書館で借りて読んだのですが、う~~ん、こりゃ買わなきゃダメかな。
『闇の奥』もこの前借りてきまして、これをUPしている時点では読了している予定です。



『闇の奥』は、『フリッカー、あるいは映画の魔』にも出てくるのでありまして、おもしろい共通点がありました。とりあえず引用です。

風速六十六メートルの猛台風オルガとそれによる大洪水のため、巨額の費用を投じたセットの八割が破壊され、撮影は六週間中断した

『フリッカー、あるいは映画の魔』で、主人公ジョニーと会話する、『闇の奥』の出演女優の名前がオルガ・テルというんです。
この台風の名前からとったのではないか、というのは、深読みのしすぎでしょうか。偶然でしょうか。
さらに、マックス・キャッスルの映画の撮り方とコッポラとは、かなりダブる所がありました。以下引用。

 カーツは、カーツを神とあがめるカンボジアの山岳民族をひきいて北ベトナム軍と戦っているという設定になっている。ジャングルの中に、カンボジアの古代寺院を模したカーツ砦の巨大なセットが作られた。はじめはエキストラを募集してカーツの部下の山岳民族兵に仕立てあげようとしたが、それなら本物の山岳民族の集団を丸ごと連れてきてしまえということになった。

本物のインディアンを雇い、彼らにセットの小屋で生活してもらい、そのままシーンに出てもらったそうです。儀式のシーンはこうして撮られました。
このあたりなど、『地獄の黙示録』がこうして撮られた事を調べた著者が、そのまま頂いたのではないか、と思います。さらにさらに・・・

「闇の奥」を最初に映画化しようとしたのはオーソン・ウエルズで、一九三九年のことである。RKOと話がまとまって、撮りはじめたが、予算が大幅に減額されたため、撮影開始一日目に中止になっている。オーソン・ウエルズの発想では、「闇の奥」を通じて、その時代をおおっていたファシズムの脅威を描こうとしたという。

『フリッカー、あるいは映画の魔』では、マックス・キャッスルとオーソン・ウエルズが共同で『闇の奥』を撮ろうとして、ボツになったと記憶してるんですが。
あの本の「あとがき」にも、これはほとんど実話であると書かれていましたが、いやあ、あの本を読んでいたから2倍楽しめちゃいました。まさにトリビアな知識にトレビアンです!

『地獄の黙示録 特別完全版』
<映画の見方> がわかる本 その5◆地獄の黙示録◆
『フリッカー、あるいは映画の魔』



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

河合隼雄『こころの処方箋』その6 2007.10.28

◆強い者だけが感謝することができる◆

またまたほお~~にゃるほろ~~と感心しまくりでした。以下引用です。

 カウンセリングや相談などを職業としている人たちを、筆者は指導することが多い。そんなときに、ある企業内でカウンセリングをしておられる方が次のようなことを言われた。
「カウンセリングというのは不思議な仕事ですね。相談に来られた人に対して、私は何もしていないのに、その人がいろいろと努力されて、自分の力でよくなってゆかれたなあ、と思う人は、終ってから感謝の言葉を言われたり、時には何かちょっとしたものを持ってきて下さったりします。ところが、私が大変苦労な体験をしたり、そのようなことを何年も続けているような方は、めったに感謝の言葉を言われないのです。何だか話が逆になっているように思うのですが」
 これに対して、筆者が申しあげたのは、「感謝できる人は強い人です」ということである。


某ボクシング又は相撲界の出来事を思い出してしまいました~(笑)
弱い人は、他人から援助や恩義を受けた事実を認めたりする現実の把握ができず、つぎつぎと襲ってくる不幸や災難に対処してゆかねばならないのに追われて、他人のことなど考える余裕がないとか。
又、あまりに理不尽な体験をしているので、自分に対してある程度の助けがあって当然とあると思っていたり。
そして、やたらと謝ってばかりいる人も、感謝しているのとは、また違うのです。以下引用。

感謝をすると、そのことは心に抱いてずっと持っていなくてはならぬので、それを保持し続ける強さをもっていない人は、「すみません」を連発して、心のなかにはいってくる前に、水際ではねのけているようにさえ感じられるときがある。

6回シリーズで書いても、なお、まだ書き足りませんっっ。なので是非、全文読んでいただきたいです。



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

河合隼雄『こころの処方箋』その5 2007.10.27

◆説教の効果はその長さと反比例する◆

私は説教くさい人が大嫌いでありまして(^^;)、まあ、説教されるのが好きな人ってのも、あまりいないとは思いますが、次の文には、そうか!!と納得でした。

 にもかかわらず、説教はなくならないし、あちこちでよく聞かされる。その理由は、説教というものが、説教する人の精神衛生上、大いに役立つものであるからであろう。

そして・・・

 人間はお互いさまで、他人の精神衛生のために助け合っているのだから、部下の方もこのあたりのことがよくわかってくると、説教をいやいや聞くのではなく、説教している人の精勤衛生のために御協力しているのだと思って、もう少し暖かい気持ちで聞けるのではなかろうか。

◆うそは常備薬 真実は劇薬◆

いやあ、実に上手いコピーなのでありますが、自分も気をつけねば、です。以下引用。

他人を非難したり攻撃したりするとき、うそが混じっている間はまだ安全である。その人の真実の欠点を指摘するとき、それは致命傷になる。



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テーマ : エッセイ/随筆
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河合隼雄『こころの処方箋』その4 2007.10.26

◆マジメも休み休み言え◆

ウォーター・ゲート事件の例をまず引用。

 以前、ウォーター・ゲート事件の国会での証人喚問の際の実況中継を見ていて驚いたことがある。盗聴をしていた人間に対して、電話の受話器がその場に持ちこまれ、それを使って実際にどのようにしていたかをやれ、と命令される。その人はやおら立って受話器のところに行き、実演する前に、真剣な顔をして議員たちに向かい、「まさか、それは盗聴されてないのでしょうね」とやって、一同の爆笑を誘うのである。
 もしこれと同様のことを日本の国会でやればどんなことになるだろう。「冗談も休み休み言え」どころか、全国民から厳しい避難を浴びることになるだろう。「マジメにやれ」の大合唱が聞こえてくるに違いない。それでは、ウォーター・ゲート事件のアメリカにおける究明と、日本における、たとえばリクルート事件の究明を比較してみた場合、どちらが本当に真剣にやったのかという点になると、どうなってくるだろう。


報道などで、何つまらん事にやっきになって怒ってるんだろ、なんて良く思うのですが、マジメなのですね。そして、以下のように書かれています。

 アメリカでは烈しく相手を攻撃する代りに、相手の言い分も十分に聞こうとする態度がある。それに対して、日本的マジメは、マジメの側が正しいと決まりきっていて、悪い方はただあやまるしかない。マジメな人は住んでいる世界を狭く限定して、そのなかでマジメにやっているので、相手の世界にまで心を開いて対話してゆく余裕がないのである。これに対して、欧米人の場合は、自分がどんなに正しいと信じていても、相手の言い分を充分に聞かねばならないという態度がある。ぶつかりは烈しくなるが相手に対して心をひらくだけの余裕があり、余裕のなかからユーモアが生まれてくるのだ。

日本人の余裕のなさというのは、もしかしたら、狭い家に住んでいる事が影響しているのではないか、なんて思いました。随分昔に、アメリカにしばらく住んでいて帰ってきた友人が、似たような事を言ってるのを思い出しまして。
休みを取りたがない日本人の事を書いている結びの言葉が最高です!

 日本人もこんな点を反省して、この頃では大分休みをとるようになった。官公庁の土曜休日も決まったことだし、これは嬉しいことである。ただ心配なのは、「マジメに休みをとれ」などということになって、せっかくの休日を「有意義」に過ごそうなどと考えすぎ、休日は増えたがマジメさは変わらない、などということになりそうに思えることである。ともかく、マジメは休み休みにして頂きたい。



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河合隼雄『こころの処方箋』その3 2007.10.25

◆灯台に近づきすぎると難破する◆

理想の××だと言われる事によって、そうでいなければと思って、それを演じ、疲れきってしまう例も世の中には多くあります。そうして心の病気になってしまったり。
だからと言って、理想など実際生きてゆく上で邪魔になるだけだ、と切り捨ててしまうのもどうかと思うし、理想なしで人生を生きるのは、味気がなさすぎる、と著者は書いています。
以下の文は実に上手い!と思いました。

理想は人生航路を照らす灯台であるが、それに至るべき到達点ではない。

それから、便利なものや、能率をあげるものは、しばしば、人間の余裕を奪ってしまうのである。とも書かれていて、いやあまさに!と膝を打ったのでありました。

◆イライラは見とおしのなさを示す◆

イライラは、自分の何か――多くの場合、何らかの欠点にかかわること――を見出すのを防ぐために、相手に対する攻撃として出てくることが多いのである。との文には、にゃるほど!と思うと共に、単に待たされて、とか、スムーズに事が進まない (これも「待たされて」って事か) ってケースも多いよなあ…と思ったのでありました。
しかし、上の引用文の事をちょっと考えてみるだけで、イライラした気持ちがスッと楽になる事もありそうです。不用意に相手を攻撃してしまう事も少なくなるかも。

◆100点以外はダメなときがある◆

ものごとには、そこそこの点さえとっておけばオッケーな時と、100点でなければダメな場合とがあります。これにもにゃるほど!なのでした。以下引用。

 人生にも、ここぞというときがある。それはそれほど回数の多いものではない。とすると、そのときに準備を十分にせず、覚悟もきめずに臨むのは、まったく馬鹿げている。ところが、あんがい、そのようなときでも90点も取ればよかろう、という態度で臨む人が多いように思われる。このような人が、自分はいつも努力しているのに、運が悪いと嘆くのは、ことの道理がわかっていないと言うべきであろう。
 こんな人と違って、いつでも100点を取らぬと気がすまぬ人というのもいる。80点も100点も結果的にそれほど差のないときでも、100点をとるために努力する。このような人は素晴らしいと言えば素晴らしいのだが、いつも100点をとるために、だんだんと疲れてきて、一番大切な「100点以外はダメ」というときは腰くだけになったり、うまく理屈をつけて逃げ出してしまったりするものである。それに、いつも100点を狙っている人は、不用な努力を払っている分だけ不機嫌になったり、他に対して攻撃的になったりし勝ちになるものだ。100点はときどきでいいのである。


ああ、もしかしたら自分も不用に100点をとろうとする所があるかもしんない・・・。
時間がないのに毎日ブログUPしたり~



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テーマ : エッセイ/随筆
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河合隼雄『こころの処方箋』その2 2007.10.23

◆言いはじめたのなら話し合いを続けよう◆

理由もわからずに嫌われる事が、たまにありまして、気付かないお前が鈍感なんだろ!と言われればそれまでなんですが、しかし私に限らず、言ってくれなきゃわからない事っていっぱ~~いあるんです。そういう例が度々あるんですから。
だからしなくても良い誤解も至るところで生じるんです。
日本人同士で付き合っていて、とっっても苦手なのが「言わないタイプ」なんです。言わなくてもわかってくれるという勘違いが日本人に多いと前々から思っていましたら・・・まさにその事が書いてあるではあーりませんか!

あるアメリカ人の夫と日本人妻との間に生じた離婚事件の例が出てるのですが、夫の友人で妻の嫌いなタイプの人が居て、家に遊びに来た時には我慢してつき合っていたのだけど、辛抱しきれなくなって、あの友人は大嫌いだと夫に告げ、夫も反対せずに聞いていたのだそうです。
ところが暫くして、夫はまたその友人を家に連れてき、妻は激怒。
妻の主張は「この前あれほど、はっきりと嫌いだと言っておいたのに、また連れ帰ってくるというのは、自分の気持ちを無視している。これは、夫が自分を愛していないからだ」
夫の言い分は「妻が自分の友人を嫌いなのはよくわかった。しかし、妻はただあんな人は大嫌いと言うだけで、話を打ち切ってしまい、それではどうするのか話し合おうとしない。妻が彼を嫌いでも、自分は彼を友人としてつき合いたいと思っている。それでは、その葛藤を解決するために、友人を連れてくる回数をもっと少なくしてくれ、とか、友人を連れてきてもいいが、そのとき自分は一緒に話し合ったりしない、とか、何らかの妥協点を見出すことができるはずである。それを、ただ自分の気持ちを言うだけで妥協点を見出すための努力を払おうとしないのは、妻の方こそ愛情がないのではないか」

いやーにゃるほど!まさに日本人の悪い癖ではありませんか。
黙って耐えて、心の中に溜めて溜めて、いきなり無視したり爆発させたりする人!
妻はまず自己主張をした訳ですが、そこでやめてしまわずに、相手の言い分も聞き、更に自分の考えを述べ、話し合いを続けることによって妥協点を探し出すべきだ、というのが、「黙って耐える」を美徳とする日本人に対してのアメリカ人の意見です。
著者は、どちらも一長一短であり、日本流、アメリカ流のどちらがいいなどとは言えたものではないと書いていますが、最後には以下のように結んでいます。

 どちらの考えがいいとか悪いとか言えないのであるが、時の流れとしては、日本人の多くがアメリカ流の方に向かっていることは事実であろう。以前よりは、黙っていずに、ものを言う人が増えたことも事実である。職場においても、家庭においてもそうであろう。
 しかし、それでもわれわれは日本流を引き摺っていて、例にあげた日本人妻のように、何かを言うことは最後通告のように行ない、実はそれが話のはじまりであることに気がつかないことが多いのではなかろうか。黙っているのではなく、もし、ものを言いはじめたのなら、そこから困難な話合いを続行してゆく覚悟が必要と思われる。


*傍点部分を太字にしました



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

河合隼雄『こころの処方箋』その1 2007.10.22

少し前に河合隼雄さんが亡くなってから、何の本だったか、新書系だと思うのだけど、この人の本に大変助けられたような記憶がありまして、また読んでみたいと思い、借りてきたのがこの本です。
同時に予約して先に来た『猫だましい』を先に読んだのですが。
見出しを見るだけで、目からうろこがぼろぼろ落ちます!!

「ふたつよいことさてないものよ」
「100%正しい忠告はまず役に立たない」
「説教の効果はその長さと反比例する」
「男女は協力し合えても理解し合うことは難しい」
「ものごとは努力によって解決しない」
「健康病が心身をむしばむ」
「善は微に入り細にわたって行わねばならない」
「灯を消す方がよく見えることがある」
「うそは常備薬 真実は劇薬」
「裏切りによってしか距離がとれないときがある」

などなど!
ユーモアのセンスも抜群で、実に実に楽しく生きていくのに為になる本です。いやあ、抜群に頭が良くてビックリでした。

って訳で、またまた付箋貼りまくってしまいました。(^^;)
読書感想文はシリーズ化ばかりしてしまって困ったものだと思いつつ・・・良かったらお付き合いくださいませ。



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』その2 2007.10.21

訳者が、この映画の白と赤という色に注目し、白という無機質に対し、赤は命を表わしているのではないか、との解釈は、おもしろいものでした。
そう言えば、なるほど、登場人物もどこか無機質なのです。そして、ハルの色。
この映画のなかでいちばん人間的なのはハルであるという、初公開のときからのもっぱらの評判をあらためて思い出す。と、あとがきに書かれていまして、『ブレードランナー』なんてのも、ハルの影響が強いんじゃないかな、なんて事も思いました。



HALはIBMをずらした名前だと言う事は、さかんに言われていた訳ですが、この小説によれば、「発見的プログラミングをされたアルゴリズム的コンピュータ Heuristically programmed ALgorithmic computer」を略したものだと書いてあります。
しかし、訳者あとがきでは、以下のように書かれています。

HALの名前の由来は、小説のなかでクラークが別の説明を与えているが、どう考えても強引すぎてまゆつばくさい。IBM社はこの映画では、ディスカバリー号のディスプレイ・パネルやコンソールから、宇宙船のコックピット・デザインまで計り知れない協力をしている。その意味でいえば、むしろ敬意をはらって社名のアルファベットを一字ずつ先に進め、名前に使ったと見るほうが自然だろう。

ところで、キューブリックとクラークは、HALはIBMのもじりではないと、やっきになってくりかえしていたそうです。
やべっ、バレちゃった・・・って感じだったのでしょうか。



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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』その1 2007.10.20

<映画の見方> がわかる本 を読んで、かなり腑に落ちた、キューブリックの名作映画『2001年宇宙の旅』。
原作本は、映画の製作と同時進行であったという異例の作品です。
著者はアーサー・C・クラークですが、正しくはキューブリックとの共同作だと思います。
映画の理解を深める為に、随分前から読もう読もうと思いつつ、未読だったのですが、映画本の読書が続いている中、『<映画の見方>がわかる本』もきっかけとなり、読んでみました。
訳者あとがきで紹介されている、映画のコンセプト作りに協力した物理学者フリーマン・ダイスンの述懐によりますと・・・

 映画を見たあとで、わたしはアーサー・クラークの本を読んだ。これは読みだしたらやめられない、知的にも満足のいく本で、緊迫感と透明感は映画の比ではなかった。映画では雲をつかむような不可解な部分、とりわけ発端と結末が、本でははっきりと納得がいくように説明されていた。

発端と結末、全くその通りなのであります。
が、結構私には意外にだるい読書なのでした。(^^;)
ストーリーを読み進むというよりは、説明を読んでいるみたいな感じでして、ちと苦手。
しかし、『<映画の・・・』とこの原作で、映画の理解も深まった事だし、このタイミングで映画が観られたらなあ、と思います。(と思っていたら、グッドタイミングでBSでやりますね!楽しみ~~) だるくても、読む価値は充分なんです。
新版序文で、こんな事が書かれていました。

われわれにとって最大の問題は、この先数年間にどんなことが起きようと、時代遅れにならない――それどころか、爆笑ものにならない――ストーリーをこしらえることだった。つまり、未来を先取りしなければならないわけで、ひとつの方法は、現在をどこまでも先へ進み、事実に追いつかれる心配をなくしてしまうことである。もう一方で、あまり先へ進めば、観客との接点を失ってしまう容易ならない危険も存在した。

なるほど、SF小説を書くとは、いかに大変なものなのかがわかりますね。そして、その通りに、今観ても (読んでも) 古くない作品になった事は、スゴイ事です。
もしモノリスが宇宙人だったら・・・なんて考えてしまいます。
ちなみに、最初はモノリスではなく宇宙人が出て来る予定だったのでありまして、それは「ジャコメッティの彫刻を思わせる」と指定されていたとか。
これがモノリスになった所に、キューブリックの凄さがあると思います。全く無駄のない見事なデザインではないでしょうか。

ちと長くなりましたので、次回「ハル」の話を少しして終わりにします。



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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

河合隼雄『猫だましい』その5◆綿の国星◆ 2007.10.19

◆綿の国星◆

       

この本は、大島弓子の漫画『綿の国星』にまで言及しています。
実は若い頃大好きだった漫画です。持ってます。
河合さんは、この作品をこんな風に評価されています。

 これは思春期の少女の心をよく表わしている。彼女たちは仲間とはコミュニケーションが可能であるが、人間 (大人たち) とは、言葉が通じないと感じることが多い。ともかく、お互いに「異種」の存在であると感じる。このとき、大人たちをダサイと感じて自分たちを優位とすることもあるが、そのうちに自分も人間 (大人) になるのだが、今は「猫」なのだからと感じることもある。それがもっと強くなると、自分は生れたときから猫だったと思う。そんな馬鹿なことと言われそうだが、自分はこの家の本来の家族ではない、どこかから貰われてきたのだなどと思う思春期の子どもは多い。強烈な「異種」感覚が、いろいろな作用を起こすのである。

これも読み返したいのですが、マンガは出しにくい奥の方に入ってまして。(^^;)
この本の巻末には、ぬわんとっっ、「黒猫の思い出」という大島弓子の感想マンガも掲載されてますっっ!



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テーマ : エッセイ/随筆
ジャンル : 本・雑誌

河合隼雄『猫だましい』その4◆化け猫◆ 2007.10.17

◆化け猫◆
有名な『鍋島猫騒動』などが紹介されています。
化け猫退治から、以下の発想はスゴイと思います。深い!

 あるいは、化け猫のような恐ろしい相手と戦うためには、一般に考えられている「完全」では駄目で、その完全を上まわるXが必要であることを示しているとも考えられる。十三などという数は不吉なものだ、とキリスト教徒は言うかも知れない。しかし、考えてみると、十三番目の人、ユダがもし居なかったとしたら、キリスト教は今日のような立派なものになっていただろうかなどと言えそうに思う。ユダは「完全」を超えるために、神が準備された金の隠し弾だという考えも可能と思われる。

またまた・・・

 人間のもつ情念のなかで、人間を動かす力としては怨念は相当に強いものであろう。恋愛の情熱も実に強力であるが、持続力という点では怨念に負けるように思う。「執念深い」という表現があるが、これはまさに怨念のための形容詞と言っていいくらいである。

小説・映画・現実においても、全くその通りだと思います。
そして、以下の文には、悪者は滅びるべきだと言う単純さを超えた奥深さに、日本人ってスゴイと思いました。

 政の怨みは正しいのではないか、殿様の罪は裁かれるべきか、人間の親子はなぜいがみ合うのか、考え出すと難しいことばかりで、いったい誰が善か悪かもわからなくなってくる。そのような困難な課題に立ち向かうのではなく、ともかく怪猫は退治するべきであるとして、勇者がそれを倒し、倒した後で、その猫を神として祀ることにより、怨霊をしずめる。これも昔の日本人の考えた知恵なのかも知れない。難しく考えなくとも、ともかくものごとがちゃんと収まるのだ、ひょっとして現代の日本人もこのパターンを繰り返しているのかも知れない。



『化け猫映画』のレビュー書いてますっ!



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河合隼雄『猫だましい』その3◆空飛び猫◆ 2007.10.15

◆空飛び猫◆
『ゲド戦記』の作者であるル=グウィンの『空飛び猫』。空飛び猫という発想が素敵です!
ちなみに訳は村上春樹だそうです。
表紙の絵が素敵なので、これは買ってしまおうかしらん…*買ってしまいました。図書館で借りて読んだら、あんまり素敵なもので。兄家族にも一冊。
この章の最後に書かれた文が良かったです。以下引用。

 最後に、まったく蛇足だが、人間にもときに翼のある人がある。翼つきで生まれてきた子どもを見つけると、すぐに翼を手術によって除去し「正常」にする専門家 (いろいろと名称はついている) たちが多い。臨床心理士とやらがその仲間入りをしないように願っている。

    




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河合隼雄『猫だましい』その2◆100万回生きたねこ◆ 2007.10.13

◆100万回生きたねこ◆



『100万回生きたねこ』を読んで『チベット死者の書』を想起したというのは、にゃるほど!と思いました。
『チベット死者の書』に関連した本は多分読んだ事がないのですが、以前NHKスペシャルだったか、テレビで見て、すごくおもしろかったのを覚えています。ユングの解説によって知ったという著者の本文から引用すると・・・

この書は人が死にその魂が四十九日の間、中陰をさまよう間に、その魂を導くためのものであるが、まったく単純化して言えば、魂が迷ってこの世に肉体をもって再生して来ないように、つまり、解放され解脱に至るようにと導くものである。

そして、以下のように書かれています。

『100万回生きたねこ』のなかのとらねこは、自分の生活を嫌ってばかりいたが、最後になって、「いつまでも 生きていたい」と思う。そして、それ以後、彼は生きかえらなくなるのだ。生と死のパラドックスを深く感じさせる終結である。

なかなか哲学的な絵本なのです。



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河合隼雄『猫だましい』その1 2007.10.11

少し前に残念ながら亡くなった心理療法家の河合隼雄さんの本です。
こーゆー本はひじょおに困ったものでありまして、またどんどんどんどん読みたい本が増えてしまったではあーりませんかっっ!
悔しいのが、以前に家にあったのを見つけたり、自分で購入し、そのうち読もうと思っていた本が2点も紹介されていたんです。既に読んでいた方が、この本が楽しめたに違いないですから。これは早めに読まねばです。ちなみにうちにあったのが『猫と庄造と二人の女』、購入済みで未読なのがコレットの『牝猫』です。*『牝猫』はこの前読了しました。



既に読んでいるのは、こちらに感想をUPしているペローの『長靴をはいた猫』、『100万回生きたねこ』。(←甥にプレゼントしました) それと宮沢賢治が数編ぐらいしかありませんでした。
『新編 銀河鉄道の夜』に「セロ弾きのゴーシュ」が、「猫の事務所」が、『注文の多い料理店』に「注文の…」「どんぐりと山猫」が掲載されてます。
「セロ弾きのゴーシュ」など、宮沢賢治の猫物語は再読したいです。

   

それから驚いた事に、あのジョイスが猫の絵本を書いてるんです!
ジェイムズ・ジョイス文 ジョラルド・ローズ画 丸谷才一訳『猫と悪魔』(小学館)
読みたい、読みたい~~~!!
澁澤龍彦の『世界幻想名作集』にも出ていたホフマンの『牡猫ムル』なんて、是非とも読んでみたいし、表紙が素敵な空飛び猫シリーズ、ごろごろにゃーんもおもしろそうだし、絶対に読みたいと思ったのが、ギャリコの『トマシーナ』です!*『トマシーナ』もこの前読了しました。

 

心理学者ならではの視点が実におもしろい猫本の紹介本でした。
あらゆる所に関連してくるエジプトの猫神について引用し、次回につづきます。

エジプトにおいては、猫神・バストまたはバステトは第二王朝期頃より、神として崇められた。それは、歓喜と太陽の豊穣の温かさを示す女神で、猫の頭と人間の身体とをもつ神像で表わされた。―中略― 神像が人間の身体ではなく猫の姿そのままで表現されるのもある。猫に対して、それを拝む僧の姿が随分と小さく表現され、猫神の偉大さを示しているのもある。



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『ブレードランナーの未来世紀』その5◆リドリー・スコット ブレードランナー◆ 2007.10.10

◆リドリー・スコット ブレードランナー◆

   

『ブレードランナー』は間違いなく一九八〇年代で最も重要な映画だ。映画としてだけではなく、アート、音楽、建築など、あらゆる方面で論じられ、引用され、影響を与えた。とくに八〇年代を席捲した「ポストモダン」の象徴とされた。

いやあ、そこまで重要な映画だったんすか。ちゃんと観ておけば良かったです。
タイミング良くやってくんないかなー。グラディエイターならこの前やってくれてましたが。
苦悩するレプリカントってのに、どーもピンと来なかったよーな記憶が。

原作はフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」このタイトルは良いですね。

人間のように見えて内面がまったく理解不能なアンドロイドたちには、当時四十歳のディックから見たヒッピーたちへの違和感が投影されているといわれる。

には、へ~にゃるほど!でした。
ちなみにこの本、以下の作品に言及されてます。

ビデオドローム/グレムリン/ターミネーター/未来世紀ブラジル/プラトーン/ブルーベルベット/ロボコップ/ブレードランナー

・・・と改めて見てみると、結構観ているのね・・・思い入れがイマイチだから、観てない気がしたのかも。
それと、一番肝心な『ブレードランナー』をちゃんと観ていないので。(^^;)



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『ブレードランナーの未来世紀』その4◆ポール・ヴァーホーヴェン ロボコップ◆ 2007.10.7

◆ポール・ヴァーホーヴェン ロボコップ◆



『ロボコップ』は結構好きでしたが、クローネンバーグのように、さらのこの監督の作品を…という感じにはならなかったのですが、この本で読む限りでは、ちと苦手そうです。(^^;)
そうとうクセのある監督のようでして。
しかし、以下の意見にはわりと賛成です。

「今まで神の名を騙ってどれだけの殺戮が正当化されてきたことか。十字軍遠征、異端尋問、ナチズム、ホロコースト……」。ヴァーホーヴェンはキリスト教こそ西欧人の暴力性の源だと言う。「キリスト教徒は十字架をベッドの上に飾って眠るが、子どもの頃から毎日拷問図を見て育てば残酷になるのも不思議じゃない」

これは繰り返し語られている事ですが、

七〇年代のハリウッドの企画は、映画監督とプロデューサーという現場の「映画屋」から生まれた。しかし今は大企業の一部門になって、映画のことなど何も知らないスーツ野郎に牛耳られてしまった。それは七五年以降、ヨーロッパの映画作家がハリウッドで成功しなくなった理由の一つでもある。

くだらんリメイクばかりの現状、なんとかならないでしょうかね。
ってか、観きれないくらいの名作が過去にあり、2度も3度も観たい映画がこの世に存在するのだから、もう新しい作品は必要じゃないかもしれません。とは言え、やはりこの時代の名作を少数でも残さなければ、映画によって、いずれ過去になる今の時代を知る事は不可能になる訳でして。
『ロボコップ』に話を戻しますが、そうとうクレイジーな監督のようですが・・・

 ディスコにロボコップが入る場面で、一瞬だけメガネのむ男が長髪を振り乱して踊っているというか、発狂したようにジタバタ暴れるカットが入るが、それがヴァーホーヴェンだ。

ですって! 観て確かめたいですっっ!
この映画、ナンシー・アレンが良かったな。



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『ブレードランナーの未来世紀』その3◆プラトーン◆ 2007.10.5

◆プラトーン◆



この本の中で、いちばん印象的かつキョーレツにもう一度観たいと思ったのが『プラトーン』です。
ジャケ写真↑のシーンなんて、すんごい目に焼き付いてます。見事でした。
この作品は、実話に近いのですね。監督オリバー・ストーンの体験談なんです。
だから主役のチャーリー・シーンも英雄的に描かれていないし、リアルなのですね。以下引用。

ヴェトナムはおろか戦場も知らない人々が想像だけで作った『ディア・ハンター』『地獄の黙示録』のリアリティのなさに彼は不満だった。

前回のアメリカン・ニューシネマ篇でも『地獄の黙示録』には実に厳しい意見でしたが、著者はそうとう嫌いなのでしょうか。これ以外にも何度か同じような言及がありました。
ってか、後半のカーツの所はリアルである必要はないんでないの?と思うのですが。映画としちゃあ素晴らしいんだから!著者やオリバー・ストーンには、それがわからないにしても。
次ですが・・・

さらにその翌年の六四年、ヴェトナム沖のトンキン湾に停泊中の米海軍駆逐艦マドックスが北ヴェトナム軍に魚雷攻撃を受け、これがきっかけでヴェトナム「戦争」が始まった。しかし、後にマクナマラ国防長官は魚雷攻撃はなかったと暴露した。すべてはアメリカが戦争をするための口実だったのだ。

アメリカの始める戦争って、いつもこうじゃないっすか? がんがん引用いきます。

 三十二人の兵隊役の俳優たちは、撮影開始の二週間前からフィリピンのロケ現場に入り新兵訓練 (ブート・キャンプ) に参加させられた。
「キャンプに参加しないと映画に出さないと脅されたからしょうがなかった」とチャーリー・シーンは言う。


さらに・・・俳優たちはM16アサルト・ライフルのフルオート射撃と分解掃除などを教えられたが、それだけではなかった。キャンプでは俳優たちは役名で呼ばれ、ライフルや機関銃、弾薬、無線機など三十キロの装備を背負って道なきジャングルを歩かされた。と言うのだから、徹底してます。

オリバー・ストーンは、「この映画は、日曜日には協会に通っていた、天使のような顔をした田舎の無垢な少年が女子どもを殺すようになる過程を描いたんだ」と言っているそうです。そして、こう結んでいます。

ストーンはヴェトナムの戦友たちを糾弾するのではなく、無垢な若者たちが殺人マシンになる悲劇を描きたかったのだ。



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『ブレードランナーの未来世紀』その2◆未来世紀ブラジル◆ 2007.10.3

◆未来世紀ブラジル◆



今回は観てない映画が多いのですが、これもです。
・・・と思ったら、実にタイミングよく、ムービープラスで放映です!! 最初気付かずに、あやうく見逃す所でした。(録画済。まだ未観です)
印象に残った所を引用です。

オブライエンは主人公ウィンストンを椅子に縛りつけて尋問する。「党が2+2は5だと言ったら、2+2はいくつかね?」「4です」。電気ショックが与えられる。拷問の果てにウィンストンは「2+2は4だが、5でもある」という「二重思考」を受け入れる。政府が明らかに間違っていても気にしない「自衛手段」を学ぶのだ。
 さて、二十一世紀の今、『未来世紀ブラジル』を観ると、9・11テロ以降のアメリカとの類似点があまりにも多い。ブッシュ大統領は「イラクはテロとは無関係だが、イラク攻撃はテロとの戦いだ」という「二重思考」に国民を順応させ、「愛国法」の下に自国民に対する監視行為を合法化した。




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『ブレードランナーの未来世紀』その1◆ビデオドローム◆ 2007.10.2

〈映画の見方〉がわかる本 80年代アメリカ映画 カルト・ムービー編『ブレードランナーの未来世紀』です。
自分としては、カルト・ムービーと言ったら、ジョン・ウォーターズだとか、ケネス・アンガー、ハーシェル・ゴードン・ルイス、『アタック・オブ・ザ・キラートマト』とか『ミミズバーガー』とか (笑)、その辺が思い浮かぶのですが、この本であげられている作品のあまりのメジャーぶりに、これらもカルト・ムービーなんですか~? とちと疑問に思ってしまいました。
そんな中、今では映画ファンなら誰もがご存知のクローネンバーグ監督の『ビデオ・ドローム』。これは、この中で最も思い入れの強い作品でもあり、当時は確かにカルトでした。 (レビューUPしてます。)

◆ビデオドローム◆



私はこの映画をきっかけに、見事にクローネンバーグにハマりました。
『ザ・フライ』はロードショー上映時に観に行きましたし。
初期の医学系作品連も、すんごいおもしろくて。そんなクローネンバーグの言葉などを引用です。

「彼らは限界を超えるために、危険を冒し、傷つき、他人を傷つける。それが人間というものだ。科学者に限らない。芸術家や作家も同じことをする。あえて危険を冒すんだ。私もその一人なんだよ」
「人々は "革命が必要だ" と言いながらも、それが愚行に終わるのを恐れている。しかし、革命はつねに殺戮と破壊がつきものなんだ」
「神を信じる人は人間には知ってはいけない領域があると言うが、私は人は何でも知るべきだと思う」
「この世には善も悪もないと考える」
 そう語るクローネンバーグの映画は、悪を憎み、カオスや死を恐れる通常人の理解を超えている。彼自身も「だから私は自分がアウトサイダーだと感じるのだ」と言っている。
「私の映画はどんなジャンルにも属していない。それだけで一つのジャンルなのだ」


なにげにカッコイイ。
映画『ビデオドローム』の中で、ポルノ配給業者のマーシャがマックスに警告するシーンがあります。以下引用。

「ビデオドロームは危険なの。あなたにはないものがあるから。……思想があるのよ」
「イデオロギーや信仰は歴史的に多くの人を殺してきた」とクローネンバーグは言う。


その通りだと思います。
アメリカン・ニューシネマ編のレビューも是非ご覧くださいませ。



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『フリッカー、あるいは映画の魔』その10 2007.10.1

ネタバレになるかもしれませんが、前回言及した、マックス・キャッスルが居たという孤児院が、カタリ派のかなりヤヴァイ宗教団体でして、以下は後半クレアの家に入り浸るアンジェロッティのセリフです。

「きみはジェノサイドというが、彼らは人類の集団解放というだろうよ。カタリ派神学ではそれが当然の帰結なのだ

・・・って。オウムが言ってた「ポア」じゃないっすか。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル!!!!!
それから、こんなセリフも出てきます。

「ずっと以前、ある極秘計画を耳にしたことがある。ある日、聖ヤコブ学園でブラザー・マー・シオンが打ち明けてくれた。それはみだりに性交渉をおこなうと、かならず感染して死にいたらしめるという伝染病に関する工作だった。称して "愛の死" 作戦。

これは言わずと知れた「エイズ」ですが、この発想には、にゃるほど上手い!と思いました。

マックス・キャッスル作品の奇妙なしかけは、この機械で見るとハッキリするとゆー代物が出てきます。このセリフがなかなか洒落ているので、2つほど引用します。
孤児院のドクター・ビクスとの会話です。

「あなたはこれをなにやら珍妙な名前で呼んでいましたね?」
「サリーランド。有名なストリップティーズの踊り子にちなんだのです」
「そうそう……ストリップティーズ。露出するより隠そうとする芸だ」


そして、マックス・キャッスル作品の映像を手がけたジップ・リプスキーとの会話です。この人のキャラがまたまた抜群なのでありました。

「じゃあ、これはどうです?」ぼくは手にするビューワーをかざした。「なんと呼んでましたっけ?」
 老人はすぐに答えず、ぼくの手からそれをもぎとった。「サリーランド。マックスがそう名づけたんだ。名前でぴんとくるはずだぞ。サリー・ランドが何者か知らないのか?」
「名前は聞いたおぼえがあります」ぼくはいった。「たしか踊り子でしたね」
「ストリッパーが正解さ。それでわかるだろう! ストリップする、フィルムを裸にひんむく。すると映画のなかに隠されたものがあらわれるわけだ」


時代は映画館からテレビへと移っていった訳ですが、以下のテレビに関する会話がおもしろかったです。これを引用して終わりにします。

「家で観るときは、明かりを消すんだろう?」
「いいえ、点けたままですよ。のべつ映像に接しながら食事をとり、家事をかたづけ、夫婦喧嘩もすれば、いちゃついたりもする……」
「それはまずいね。孤立感がなくなる。フリッカーには寺院や洞窟のなかにいるような暗闇が必要なのだ。人びとはそこではじめて独りでおのが妄想に浸るのだから」
「テレビジョンの性質はまるでちがいます。映像はテレビジョン内部からじかに観る者に投射される。ブラウン管は観客をのぞきこむ目となり、一種の催眠的視線と化します。おなじ部屋で一緒に観ても人びとは孤立し、影響を受けやすくなるんです」


  

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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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