源氏物語 巻二 其の一 2008.1.31
よくある浮気とは違い、1度でもかかわった女には、後々まで気にかけ、手紙を書いたりするんですね。
そんな中にも、好きの程度の差はありまして、手紙には、とんでもない嘘も結構混じってます。
かえって、ほんの浮気の方が良いんですよ。そんなだから、相手をすご~~く苦しめるんですから。
それから、どうもこの人が好きになれない一因には、常に悪く思われたくないという心理が働いている所です。こう思われたくないから、こう書いておこう、という手紙の多い事!
あまり冷たいとも思われたくないから、こうしておこう、とか。
実に実に始末が悪いです。
おまけに、夫のある身で犯してしまった罪、と言うよりは、犯されてしまった罪なのですが、それに苦しみ、本当は恋しい源氏から離れようとしても、しつこくしつこく、ほんっっっとにしつこく言いよってこられる、その苦しみと来たら!
そうしながらも、あちこち、いろんな女に恋心をよせてるのは許し難いかと・・・。
藤壷への初恋は、エディプスコンプレックス的なものを連想しました。
ソポクレス「オイディプス王」とパゾリーニ映画
その藤壷の苦しみと来たら、そりゃあもう大変なものでして・・・。ここまで人を苦しめる人、私は嫌です。
そんな彼女の、そーだ!よくぞ言った!と思った歌のやりとりを引用です。
逢ふことのかたきを今日に限らずは
今いく世をかなげきつつ経む
「お逢いする難しさが
今日に限らずつづくなら
わたしは幾世でも生れ変わり
この嘆きをくりかえし
あなたを思いつづけよう」
「このわたしの執念が、あなたの来世のお障りになることでしょう」
と、申し上げられますと、中宮はさすがに溜息をおつきになって、
ながき世のうらみを人に残しても
かつは心をあだと知らなむ
「未来永劫に
つきない怨みを
わたしに残されても
それは所詮あなたの
浮気心のせいなのに」
そして、最愛の紫の上にも、こんな事を書かせてしまふ源氏って・・・
浅茅生の露のやどりに君をおきて
四方の嵐ぞ静心なき
「浅茅生の露のように
はかないわが家に
あなたひとりを置いてきて
四方の嵐を聞くにつけ
どうしているかと気にかかる」
などと、情のこもった書きぶりに、紫の上もお泣きになりました。お返事は白い紙に、
風吹けばまづぞみだるる色かはる
浅茅が露にかかるささがに
「色あせ枯れた浅茅の露に
かかっている蜘蛛の糸は
風が吹けばすぐ乱れる
風のように移り気なあなたに
わたしの心も乱される」
とだけ書いてあります。源氏の君は、
「字はほんとうに見る見る上手になられたものだ」
と、ひとりごとをおっしゃって、可愛い人だと微笑んでいらっしゃいます。
をい!と思ってしまいました。(-_-;)
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