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亀山訳『カラマーゾフの兄弟』1巻 その3 2008.4.8

出鱈目ばかり言っているフョードルのセリフの中に、時々こういう鋭い真実が光るんですね。そこがフョードルのおもしろい所です!

「ファクトリーのワインにエリセーエフ兄弟商会の蜂蜜酒ですか、こりゃたいしたもんだ、神父さん! なにしろウグイとはわけがちがうようで。こりゃまた、豪勢にボトルを並べたもんで、はっ、はっ、はっ! だれがこんなもの持ち込んだんですかな? 勤勉なロシアの百姓たちがまめだらけの手で稼いだわずかばかりの金を、家族や国歌の要は二の次にして、こっちに回しているんだ! 神父さん、あなたがただって民衆の生き血を吸っているんだ!」

またまたフョードルでして、あなたもですか!と言いたくなったセリフです。

おれたちみんなほんものの信仰をもてないのは、たんに軽卒だからだが、それはおれたちに暇がないからなんだ。第一に仕事がきつい。第二に神様は少ししか時間をくださらなかった、一日にたった二十四時間しか割りふってくださらなかった、だから懺悔どころか、十分に眠るヒマだってありゃしない。

神様、せめてあと3時間、いや2時間でもいいから1日の時間をくれれば良かったのに!なんて思ってしまいます。
こんな所も、ドストエフスキー小説の、全く古くならない現代小説的な所ですよね。

ちょっと気になってしまったのが、次のスメルジャコフのセリフなんですが・・・

地獄でそんなひどい目にあうことはないです、

「ないです」は正しくは「ありません」ではないでしょうか。(・・・って、そんなに自信あるわけぢゃないんですが、「ないです」って正しいですか?)
ま、自分だって正しくない日本語をしゃべっているしブログにも毎日書いてはいますが、こういう文学作品で目にすると気になってしまいます。揚げ足とるつもりはないんですけど。
とは言え、何もスメルジャコフが正しくしゃべれなきゃいけないって事もないんで、別に良いのかもしれません。

ちょっとおもしろい記事を見つけました~是非読んでみてください。
亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』を検証する

    

  

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亀山訳『カラマーゾフの兄弟』1巻 その2 2008.4.6

とにかくフョードルのセリフがおもしろい1巻でして、付箋を貼った箇所もほとんどソレです。
そんな中で、大変おもしろいゾシマ長老のセリフを引用です。

 自分に嘘をつくものは、他のだれよりも腹を立てやすい。なにしろ、腹を立てるというのは、時としてたいそう愉快なものですからね。そうではありませんか? なにしろ、本人からしてわきまえているのですよ。自分を傷つけたものなどだれもおらず、本人が勝手に傷をこしらえ、体裁をつけるためにほらを吹き、絵としてさまになるように誇張し、他人の言葉尻をつかまえては、針ほどのことをまるで棒のように触れまわっていることを。でも、それでもやはり当人は腹を立てるわけです。胸のつかえが下りるまで、より大きな満足感が得られるまで腹を立てる。まさにそういうことを繰り返しているうちに、ついにほんものの敵意が生まれることになるのです……。

つい比べてみたくなっちゃいまして、これの原卓也訳です。

おのれに嘘をつく者は、腹を立てるのもだれよりも早い。なにしろ、腹を立てるということは、時によると非常に気持ちのよいものですからの、ではありませんか? なぜなら本人は、だれも自分を侮辱した者などなく、自分で勝手に侮辱をこしらえあげ、体裁をととのえるために嘘をついたのだ、一つのシーンを作りだすためにおおげさに誇張して、言葉尻をとらえ、針小棒大に騒ぎたてたのだ、ということを承知しているからです。それを自分で承知しておりながら、やはり真っ先に腹を立てる。腹を立てているうちに、それが楽しみになり、大きな満足感となって、ほかならぬそのことによって、しまいには本当の敵意になってゆくのです……

お次はまたフョードルですが、いやあ、この心理状態のおもしろい事!

以前にいちどこう訊ねられたときのことを、彼は今さらながら思い出した。「あなたはどうして、そうまで人を憎むのですか?」そしてそのとき、道化役者らしい破廉恥な思いにかられて答えたものだった。「つまり、こういう理由なのですよ。たしかに彼はわたしに何も悪いことはしなかった、でもかわりにこちらから、とてつもなく恥知らずな嫌がらせをひとつしてさしあげたのです、で、それをすると、たちまちわたしはそのことで彼が憎らしくなったんです」

原卓也訳も引用です。

いつだったか、もっと以前に一度、「あなたはどうして、だれそれをそんなに憎んでいるんです?」ときかれたときのことを、ふいに思いだした。そのとき彼は、日ごろの破廉恥な道化ぶりの発作にかられて、こう答えたものだった。「つまり、こういうわけでさ。そりゃたしかに、あの男は何もわたしにしませんでしたよ、その代りわたしのほうが恥知らずないやがらせをしてやったんでさ。しかも、やってのけたとたんに、それが原因であの男が憎らしくなったんですよ」

まだ続きます。

    

  

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亀山訳『カラマーゾフの兄弟』1巻 その1 2008.4.5



話題の光文社古典新訳文庫の亀山郁夫の新訳『カラマーゾフの兄弟』。
だいぶ前に図書館で予約したのが漸く回ってきまして、とりあえず1巻読了です。
2巻が先に来ないように、適当に時間差で2巻も予約したものの、もう何週間も前からず~~っと7番目待ちで止まってるんですよ。(○`ε´○)プンプンッ!期限2週間なんですけど~~
図書館のサイトから、何人予約していて何番目か、わかるようになってるんです。

んで、この新訳。ベストセラーにもなっちゃって、びっくらこいてるんですが、とにかく「わかりやすい」という評判ですよね。まあ、わかりやすいにしても、その中身はどうなんだろう、と、読んでみた訳ですが・・・エ~~ッ?!ぜんっっっぜん読みやすくないではないっすかっっ!どうにもこうにもスッと頭に入って来ないんです。
まったく不思議でしょうがないです。私の感覚の方が変? (それは有り得る事だけど)
旧訳を何度も挫折した人が、これなら読めた!ってらしいじゃないっすかっっ。宣伝文句によって思い込めて読めちゃうんだろうか・・・? と実に疑問です。
そんな訳で、私の持っている新潮文庫の原卓也訳と一部比べてみました。

  

父フョードル・カラマーゾフのセリフを引用です。まずは亀山訳。

「ふうん、だがな、おまえがそんなことになるんじゃないかと予感していたぞ。信じられんかもしれんが、おまえは、おれの思った通りのところをめざしていたわけだな。まあいい、おまえには二千ルーブルの財産があるんだから、それを持参金にすればよかろう。おれとしても可愛い息子を見捨てたりはせんし、もしも寺から頼まれれば、すぐにも応分の寄進はするつもりだからな。まあ、向こうから言ってこないなら、何もこちらからむりして出すこともないがな、そうだろう?

どーも固い感じがしてしまうんですが。次が原卓也訳です。

「ふん、お前がいずれはそんなことをやるだろうと、ちゃんと予感はしておったがね。おどろいたか? やっぱりそんなところをねらっておったのか。まあ、それもいいだろうさ、お前だって二千ルーブルも自分の金を持ってるんだろうから、それが持参金てわけだ。それに、お前のことは決して見棄てちゃおかんよ。乞われれば今だって、お前のために応分の寄進はするさ。しかし、頼まれなけりゃ、何も押し売りすることはないけどね、そうだろうが?

なんとなく、こなれているという感じがしないでしょうか? そして、フョードルらしい感じもします。
う~~ん、私にはわからん!今まで挫折した人が、これスラスラ読めましたか?
そりゃ途中からおもしろくなり、ぐいぐいと読めるようになりますが、それは今までの訳でも全く同じことでして、ロシア文学には、ある程度の我慢を強いられる所がありますが、読んでいくうちに、ちょーーおもしろい!というパターンが多いと思うんです。
もういくつか比べて引用します。次回に続きます。

これも興味あるけど・・・
『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する 光文社新書 亀山郁夫

その前にコレを読みたいです。実は随分前に購入済み。
謎とき『カラマーゾフの兄弟』

その前に亀山訳で再読の予定が・・・こりゃいつまで経っても2巻は廻って来なそうだよ。・゚・(ノД`)・゚・

*ドストエフスキー本の感想こちらにUPしてます。

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『ギタリストのための全知識』その4 2008.4.4

こちらから続いてます。
あとはリズムトレーニングとか、フレージング・アイディアなんてのも出ているし、きっと楽しく練習できると思います!
なにより堅苦しくないのが、この本のとっっても良い所ではないかと。
そして嬉しいのは、第8章「アンサンブル」
これからスタジオ入ってバンドで練習! な私としちゃあ、これはとっっても有り難いです。
お金をかけて時間を使ってスタジオに入る訳ですから、なるべく無駄に過ごしたくないっすよね。
ここにも書かれていますが、結構多いのが構成さえ覚えていなかったりする、特にボーカル!
歌メロもそうぢゃないんだけど~~ってな事が結構あったですよ。遊びのセッションなんかで特に。(意図的に変えるのはアリだけど、そーゆーんじゃなくてあきらかに…)
たとえ遊びのセッションだって、そんないいかげんじゃおもしろくないじゃないっすか。
以下引用です。

リハーサルは"みんなが揃わないとできないこと"を最優先するべきで、それ以前の、個人でカバーできるパートはしっかり練習してくる。もうこれは本当に常識。1人でも練習不足の人がいると、みんながそのレベルまで戻らなきゃいけなくなり、不効率極まりないからね。

ハイ、今回は自分も気をつけてがんばらねばであります。
それと、ヘヴィーメタル、ハードロックなどにありがちなのが、オレが主役だぜ、とばかりに、自分の音ばかりやたらとデカくする人達! (ハイ、ゴメンナサイ)
スタジオに入ったら、まずは全体の音量バランスを決めましょう、と書いてあります。
養父さんは、ドラムの音量を基準に設定することが多いとか。ま、生音ですから、当然そうなるでしょう。
これは忘れずにスタジオ入りの際に実行せねば、と思います。

ライブの事なども、実に役に立つ事がいっぱい書かれています!
ギタリスト初心者にも上級者にも絶対オススメです!!
笑えて為になる教則本。まぢ為になりますよ~~
上級者さんは、忘れていた基本を思い出したり出来ると思います。

まあ、読み返しても、使ってみたいスケールなど覚える暇もなく、今はとにかくひたすらバンド再結成に向けて、自分の曲をコピーしなきゃならない訳なんですが。(自分の曲が弾けないんだぜ?をい)
余裕が出来たら、この本とじっくり取り組んでいきたいと思います。

 

        

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『ギタリストのための全知識』その3 2008.4.3

こちらから続きまして、オクターブずらして弾くっつー事を書いたのですが、さらに・・・
「同じフレーズを色々なポジションで弾く」「key を変えても弾けるようにする」
ってな事も教えてくれてます。
それと「代理コードなどを応用する」ってな事も出て来るのですが、コードがこれまた、とんでもなく苦手な訳でして、ううっ、克服すべき課題がおおすぎ~~!
フォークから入った人はコードバッチシですよね。私はクラシックから入ったのでコードわからんのです。あ、言い訳ですね。(汗)

◆スケール◆
スケールなんて3つ覚えりゃ充分だなんて、うれちー事が書かれていますが、上達するにつれて、やはりペンタトニック、マイナースケールではソロもワンパターンになって物足りなくなり、ディミニッシュだとかいろいろ覚える事になると思うのですが、私も昔の自分のソロを聴くと、後につくった曲ほど難しくて弾けにゃいんです。いろいろ工夫がされてたり。ま、ソロなんてアドリブで弾けば良いんですが、あまりに曲にピッタシ合ってると、なかなかそれもし辛くてねー。
例えば「ホテル・カリフォルニア」のソロなんて、変えるの不可能!って感じっすよね。
メジャースケールは、あまり使う事もない気がするんですが・・・7ボジション覚えよう!と7つのポジションが出てまして、コレで覚えたのか忘れましたが、その7ポジションを繋げて弾くって事を自分で開発し、メトロノームに合わせて練習ってな事をやってました。なので今でもメジャースケール7ポジションは弾けます。しかし応用が・・・(汗)

まだ続きます。多分次回で終わりです。

 

        

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『ギタリストのための全知識』その2 2008.4.2

あまりいろいろ書いてしまうと本の売り上げの営業妨害になるので、ほどほどにネタバレです。(^^;)

◆チューニング◆
付箋を貼ったり、線を引っ張ったりしている箇所がいっぱいありまして、へ~~こんなにマジメにやってたのね、私ったら!とびっくり仰天なのですが、ココも付箋を貼って線を引っ張った所です。
チューニングなんて、チューナーで合わせりゃあ・・・って感じでしたが、ってか、ほんと合わないんですよね~~どっかの店で置いてあるギターを拝借して弾いてみても、どーも変、どうやってもチューニングが合わなくて気持ち悪いよ~~ってな経験があるのですが、こんな訳かもしれません。以下引用。

12フレット (以下F) の実音と、その真上で鳴る12Fハーモニクス音のピッチが微妙にズレていないかい? そんな時はブリッジのコマを前後させて弦の長さを変えてやり、ハーモニクスの位置を12Fの真上に来るように調整する。これをやっておかないと、一生かかってもチューニングは合わないのだ。

さらには、チューナーでも正確には合わないし、ハーモニクス・チューニングでも合わないんだって!
詳しくは本買って読んでくださいませ。

◆譜面◆
私、クラシックから入ったくせに譜面が苦手です。(汗)
勝手にタブ踏みたいなのを書き込んだりしてました。
五線紙上ならわかるけど、その下や上に棒が何本かあると、もうわからんです。これはずっと慣れなかったなあ。
しかし読めたり書けたりした方が絶対便利なんすよね~~
拒否反応起こしていたんだと思いますが、もっとがんばって慣れておけば良かったと思います。(今からでもやれば良いんだけど)
って訳で、譜面が読めるといかに便利かって事も、この本には書かれています。
それと、こんな事が!

ギターの場合、譜面に書かれた音を弾くと実際には1オクターブ低い音が出ているのだ。

へ~~!
なのでギタリストは譜面に書かれた音をオクターブ上げたり下げたりしても楽勝で弾けるように練習しておこう。

ですって。にゃるほど、これは練習になるので、いろんなフレーズをやってみたいと思いました。ってかやってみました~~
まだ続きます。


 

        

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Author:吉乃黄櫻
ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
峰不二子、デボラ・ハリー、ウエンディー・O・ウィリアムスが憧れの人!

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