辰濃和男『文章の書き方』その6 2009.8.25
「文章の目的は、うまいことにあるのではなく、『正確』な表現でなければならない。その人の思想、感情を出来るだけ正確に表現するのが文章の役目である」
ここで「うまい文章」といっているのは、美辞麗句をつらねた文章のことでしょう。感動を装っている文章は人の胸に届きません。美辞麗句を上手に使う人を名文家といった時代もありました。美辞麗句には呪文のように人を酔わせる役割があることも認めます。しかし真の名文は、美辞麗句とは関係がありません。永井はさらに書いています。
「うまい文章を書こうと努力するのは、まちがっている。正確な文章を書こうとすることこそ、根本だと私はいう。
それならば、正確な文章を書く秘訣とはなにかということになる。
秘訣は、文章にあるのではなく、表現したい思想なり感情を、しっかりとつかむことにある。表現したいものを、表からも裏からも後からも観察して、しっかり自分の手につかむ。
それから筆をとれば、文章は正確たらざるを得ない」
説得力のある文章です。この本で再三、書いてきたことですが、ここでも「文は心である」ということを強調しておきます。
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