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澁澤龍彦『スクリーンの夢魔』その2 ◆『エクソシスト』あるいは映画憑きと映画祓い◆ 2011.1.19



ぬわんとその1が去年の9月19日でした~~(汗汗汗)
そこから続いてます。(^▽^;)

◆『エクソシスト』あるいは映画憑きと映画祓い◆
澁澤が『エクソシスト』とは、意外じゃあありませんか!!
とりあえず引用します。

悪魔憑きの映画は、かつてポーランドのカワレロウィッチ監督が、十七世紀の実話であるルーダン事件をモデルにして『尼僧ヨアンナ』をつくったが、『エクソシスト』には、これほどの美しさ、あるいは芸術的完成への志向は見られない。精神分裂による悪魔の幻覚を扱った映画としては、ベルイマン監督の名作『鏡の中にあるごとく』を思い出すが、この北欧の映画のように苦悩する魂の美しさが謳いあげられているわけでもない。ヒッチコック監督の『サイコ』やクルーゾー監督の『悪魔のような女』のように、アクロバットに近い高度の技巧が凝らされているわけでもない。要するに『エクソシスト』は、芸術的感銘という点では
印象が薄く、ひたすら娯楽に徹したという点で、あれだけの成功を博し得たのであろうと考えられる。










言及された映画全てを観ている事がうれしく、そして、なんていつもながら的確なのだろう! と思いました。
この人は、ほんっっとに、センスと文章力と確かな眼をそなえた、貴重すぎるほど貴重な方であった! と改めて思いました。
惚れ惚れしつつ読み進みました。
そして、以下のようにも書かれています。

 さりとて、単なるドラキュラ物のような恐怖映画とも明らかに違う。『エクソシスト』のすぐれた独創の1つは、科学の力も歯が立たない完全に中世ふうのミステリアスな事件を、何から何まで現代的な、私たちが住んでいる世界と寸分違わぬ明るい世界のなかに置いたという点であろう。観客の意識の殻をやぶり、映画と現実の垣根をとっぱらうのに、これはきわめて有効な手段であった。明るいアメリカ文明の都市生活が、そのまま暗い悪魔憑き事件の舞台となるのである。

ブニュエルの『ブルジョアジーの秘かな愉しみ』にも言及しているので、これを引用して、この回を終わります。

 私は最近、この『エクソシスト』のほかに、ルイス・ブニュエル監督の『ブルジョアジーの秘かな愉しみ』という映画を見せてもらったが、現実と夢とが交互に流通していて、どちらが真実か分からないという、二重構造の夢魔的現実を巧妙に皮肉に描き出しているという点では、このブニュエルの映画も、いままで述べてきた『エクソシスト』に、一脈通じるものがあるように感じた。もしかしたら、これは最近の一般的傾向なのかもしれない。



この映画はおもしかったです! 私は同監督の『皆殺しの天使』と同じくカフカ的だと思いました。
カフカ作品のレビューはこちらから。

 

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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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