澁澤龍彦『スクリーンの夢魔』その4 ◆『地獄に堕ちた勇者ども』◆ 2011.2.17
◆ナチスをめぐる相反感情 (アンビヴァレンツ) ◆
ヴィスコンティの『地獄に堕ちた勇者ども』に関しての、実におもしろい言及がありました。
まず、トーマス・マン的であるというのには、なるほど! と思ったのでありますが…以下引用です。
この映画を見た大方の批評家は、異口同音に、「トーマス・マンだ!」と叫んでいるようであるが、たしかに私も、『ブッデンブロークス』がワーグナー的であるという意味において、ここにはマンの影が色濃く差しているような気がしたものだ。
それで思い出すが、恐るべき権力意志の陰謀により、エッセンベック一家を滅茶滅茶にしてしまう、親衛隊幹部の冷徹鋼のごときアシェンバッハは、もしかしたら、あの頽廃の水の都ヴェニスで、美少年の面影をむなしく追い求めながら、コレラに侵されて死んでいった作家グスタフ・アシェンバッハ氏の孫ではないだろうか。(この孤独な作家には息子はいないが、娘がひとり、たしかにいたはずなのである。)
ちなみに、映画の方では作家ではなく作曲家になってます。
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マーチンの1シーンは、あきらかにドストエフスキーの『悪霊』のスタヴローギンなのですが、以下の箇所を読むと、おそらく澁澤氏は、これを読んでいないのでしょうかね。
少女の自殺の理由も、よく考えてみれば、私たちには完全に不可解というほかないが、この権力意志の互いに火花を散らしてぶつかり合う映画のなかで、そんな子供の心理をいちいち忖度していてもはじまらない、という気がしないでもない。謎は謎として残しておいても、一向に差支えないので、その点では演出家はうまくやったと思う。
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トーマス・マンも、いくつか書いてます。こちらから是非~~!
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それで思い出すが、恐るべき権力意志の陰謀により、エッセンベック一家を滅茶滅茶にしてしまう、親衛隊幹部の冷徹鋼のごときアシェンバッハは、もしかしたら、あの頽廃の水の都ヴェニスで、美少年の面影をむなしく追い求めながら、コレラに侵されて死んでいった作家グスタフ・アシェンバッハ氏の孫ではないだろうか。(この孤独な作家には息子はいないが、娘がひとり、たしかにいたはずなのである。)
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マーチンの1シーンは、あきらかにドストエフスキーの『悪霊』のスタヴローギンなのですが、以下の箇所を読むと、おそらく澁澤氏は、これを読んでいないのでしょうかね。
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