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加賀乙彦『宣告』その4 2005.12.5

◆法螺吹き◆

私は、今迄何人かの典型的嘘つきと接してきましたが、その中には本当に嫌でしょうがないやつと、憎めないし嫌いになれないし、ある種の才能を持ったやつもいました。
クレッチマーによれば「ヒステリー型性格」に当てはまると思うのですが、次の文は大変興味深いです。

 一八九一年、ドイツの精神医学者デルブルュックは、五例の奇妙な法螺吹きを学会で報告した。彼らは一見世間によくある法螺吹きであるが、自分のついた嘘をいつのまにか真実と信じてしまう点が常と変っていた。嘘と真実が彼らの意識では分離したり融合したりし、ある場合には嘘をついていることを知っているけれども、別な機会にはそれが真実あったことだと固く信じている。デルブリュックはこの五例の法螺吹きに空想虚言の名を与えた。つまり彼らは自分で勝手な空想をたのしむ空想者と他人を欺く虚言者との丁度中間にいる人間であると。
 役二十年後、フランスの医師デュプレはデルブルュックとは無関係に、一種の自己暗示から自分の作り出した物語を現実にあったことと思いこんでしまう詐欺師を記述した。デュプレはこの型の人を神話狂と名付けた。神話狂は、自分が創造した御伽話をたえず豊かな想像力によって脹らまし、御伽話の世界が広がった分だけ現実の世界が狭くなっていく。
 空想虚言にしても神話狂にしても、元来は小心で弱々しく、なまなましい現実を真正面から受けとめたり、それに対応して生きていったりすることが出来ない。彼らは嘘を作り出して現実を変え、空想をひろげることで現実を押しのけていき、そうすることでどうにかこの世に生きていける。つまり嘘と空想なしには生きていけぬ弱者なのだ。彼らのうちの或る者は全く現実離れをした夢想者となり、文筆の才のある者は詩人や小説家になり、金儲けを目指す者は詐欺師になる。


  

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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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