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加賀乙彦『フランドルの冬』その3 2005.12.26

◆落下体験◆

もしかして、落下の体験が加賀氏にあったのでしょうか? おそらくそうだと思うのですが、『宣告』に度々出てくる、落下体験による墜落の感覚が、『フランドルの冬』のコバヤシの体験として出てきます。
幼い頃に、崖から足をすべらせ、十数メートル下の沼に落ちて気を失った事件が、恐怖に満ちた経験として、時折り彼におもいだされます。
以下の文は、実に『宣告』と類似しています。

 しかし、今、彼が驚きとともに思いだしたのは、落下していくあいだの情景である。黒く罅割れた樅の幹、石と腐植土の配置、木洩れの黄色い散乱光、目に染む青空と白い峯々、葡萄色の沼のさざ波、それら世界すべてと自分との関係を幼い彼は明敏に知覚したのであった。真近な確実な死は、意外にも、平穏で柔和なものだった。彼が恐怖を覚えなかったといったら嘘になろう。彼は怖かった。が、あがいてもどうにもならぬと自覚したとき、彼は圧倒的な権力者である死に屈服し身をゆだねたのである。彼は <<死の側から>> 自分を見た。自分の肉体が一個の落下物として完全に受動的な滑稽な状態にあることを理解した。その一秒か二秒の間に、幼い彼は、人間の日常的な空間をとびこえ、明るい単純な事物の世界に入ったといえよう。



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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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