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『黒死館殺人事件』番外編 小栗虫太郎という人 2004.11.3

無名の新人、小栗虫太郎が最初に注目を浴びたのが『完全犯罪』だったんですが、実はこれ、タナボタ式だったんですね。
<新青年>で予定されていた横溝正史が結核のため倒れた穴埋めとして急遽登用されたのが虫太郎の『完全犯罪』なのでした。



私、これを小栗作品では最初に読みましたが、これが新人なんて信じられないくらいの出来です! (とは言え、この時すでに32歳になってるのですが。年譜によれば小説を書きはじめたのが21歳。26歳の時に『ある検事の遺書』が<探偵趣味>に発表された、とあります。)
好きな小栗作品として『黒死館殺人事件』と共に、私はこの完全犯罪』をあげます。
見事にかっこいくキマってます。

そして『黒死館殺人事件』は、ココにも書いてあるように、これまたタナボタ式に、『悪霊』を連載中の江戸川乱歩が突如書けなくなり、中断になってしまった連載の代役として白羽の矢が立ったのでした。

これらは小栗虫太郎にとってだけではなく、私達読者にとっても大変な幸運だと言えるでしょう。

『日本探偵小説全集6 小栗虫太郎集』をお持ちの方は、(おそらく読んでいると思いますが) 巻末の付録、虫太郎の息子の小栗宣治さんによる『小伝・小栗虫太郎』を是非読んでいただきたい。
これだけの人間離れした超人的小説を書く人だから、やはり人間そのものも風変わりと言うか…おもろいっす!
この本の最初に出ている写真を見ると、私は小津のサイレント時代の映画にいちばん良く出てきた斎藤達雄ぽいな~と思いました。ま、この白黒の1枚だけじゃ判りませんが。これがなかなか作品とマッチした風貌なんですよ。

小伝によると、小学生の頃の虫太郎は、やはり学業は一頭地を抜いていたそうです。なかでも数学は自慢の種だったとか。このころ読書僻はもう大人の域に達していたそうです。
その後、ぐうたらな青年時代を過ごしたり、早くに結婚したり (19才!) といろいろありますが省きまして・・・

<<父は自分の爪をきれない人間であるし、髭も剃れなかった。もしも、小説で世に出られなかったら、完全な生活不能者であった。>>

とあるのを読むと、やはり天才ゆえにか、と思いますね。
かなりの貧乏で大変だったらしいっす。

『黒死館殺人事件』が連載されたのは昭和九年、33歳の時でした。
<<虫太郎はこの一作の為に生まれてきたといっても過言ではない。>>
とありますが、まさにその通りだと思います。
そして45歳という若さで、『悪霊』随筆中、脳溢血で死亡するのであります。
どうも私は、人間の領域を超えてしまって寿命を縮めた気がしてならないです。たとえ300年生きても、このような作品は誰にも書けないのではないでしょうか。

『黒死館殺人事件』の著者の序に

<<本編が「新青年」に連載中は、褒められるにも、誹られるにも、悉く最大級の用語を以ってせられた。--中略-- 恐らく、日本に探偵小説が出現して以来、かくも私ほど、敵視された作家も、例しなかったこであろう。が、また一面には、狂熱的に支持してくれる、読者も数多くあって、殊に、平素探偵小説など、見向きもせぬと思われるような純文学方面から、霰々たる激励の声を聴いたのもこの時であった。>>

と虫太郎自身が書いてますが、ミステリ、探偵物は苦手だからと手にとらずに一生を終えてしまうのは、あまりにももったいない一冊だと思います。

この虫太郎、昭和19年には文筆を離れ、ぬわんと、菊芋から果糖を採る仕事にとりかかるんです。虫太郎43歳の時でした。そうして戦後の食糧難に備えたのです。
これがまた、小説と同じように雄大な計画があった、と言うのはおもしろいです。ここでも天才的能力を発揮してます。

以下引用。
<< 菊芋--長野県小諸地方に多産する高さ二メートルになる多年生草木で、黄色い花が咲くが、根の塊茎が食用となるのである。その塊茎つまり芋に含む炭水化物イヌリンから果糖を採ることに着目したのであった。この菊芋よりする果糖製造は、その頃、理研、森永、陸軍第六航空技術研究所等が失敗した。それを虫太郎が成功させてしまった。>>

いやはや。(^^;)
天才的な、あまりに天才的な、小栗虫太郎なのであった。

---閉幕(カーテン・フォール)。


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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
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