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エウリーピデース『ヒッポリュトス』その3 2006.5.13

●パイドラーとヒッポリュトス (ラシーヌとの比較) ●つづき

解説によれば、このエウリーピデースの『ヒッポリュトス』は、改作であり、第一作でのパイドラーは、野性的で能動的な激しい気質の女性であり、王妃パイドラーは、たまたまアテーナイに立寄った継子のヒッポリュトスを見染め、夫テーセウスが不在であることを幸い、あらゆる手段と口説を尽して彼に言い寄るのである。もちろんヒッポリュトスがこれを容れるはずはなく、誇りを傷つけられたパイドラーは帰国したテーセウスに、ヒッポリュトスが自分を犯そうとしたと讒訴する。という話だったそうであり、これがアテナの市民に不評を買った事もあって、改作したらしいです。
ラシーヌの『フェードル』は、第一作に近いんじゃないか、と思います。まあ、このくらいハッキリした女なら、私は好感持てちゃうんですが…中途半端で偽善者ぽいんだよなあ…ラシーヌは。

おもしろいのは、パイドラーの性格の変容によって、乳母の重要性も変化している所です。
ラシーヌは、ヒッポリュトスを夫に讒訴するような賎むべき行為は、パイドラーのごとき高貴な魂には相応しくないと感じて、『フェードル』においては、その罪を乳母に負わせた訳ですが、なんだか差別的な気がしてしまいます。どーもラシーヌは好きになれん所が…

そして、解説にはむしろ観客や読者の多くは、内気な王妃をこのような復讐に駆りたてた責任の一部を、ヒッポリュトスの冷酷ともいうべき過度の潔癖さに帰したい欲望を禁じがたいのではあるまいか。とありまして、実に同感であります。
前回引用した、パイドラーの恐ろしいセリフも、だから同情的に見られるのです。
あのセリフの前提には、ヒッポリュトスの、思いやりのかけらもない、人の気持ちがわからぬ屈辱的な発言がある訳なので、ラシーヌの場合と比べて、ずっとこちらの方が納得できるのです。
以下、解説より引用。

色恋に染まぬ清純な王子が、淫乱な継母から邪な恋をしかけられ、実の父親の呪いをうけて悲惨な最期を遂げる、という第一作の物語は、ヒッポリュトスを典型的な悲劇の主人公に仕立てている。ところが改作においては、パイドラーの性格が一変したために、劇の前半、すなわちパイドラーの自害にいたるまでの部分では、アクションは明らかにパイドラーを中心として展開してゆくのであり、われわれの関心と同情もまたヒッポリュトスよりも、パイドラーにより多く向けられることを否定できない。

その4、最終回へとつづきます。

  

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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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