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『阿部定事件』~愛と性の果てに~その6 2006.6.15

前回書いた、「阿部定に殺意はなかった」との見方には、びっくり仰天ですが、さらにお定に対してすっっごく同情的な意見。
何でもかんでも「社会が悪い」と言われたって、それは違うだろ、と。以下引用。

 置かれた環境によっては、彼女は学問の道へ進んでいたかも知れないし、幸福な結婚生活をいとなむこともできたであろう。
 何が彼女の生活を狂わせてしまっかのか?
 彼女にとって、人生の岐路は、娼妓の世界へ足を踏み入れたことではなかったかと思う。
---中略---
 前借金などに縛られず、自由な世界に生きていれば、もっと別の人生を歩んでいたにちがいない。少なくとも、あのような犯行に走らずに済んでいたのではないかと思う。
 彼女の一生は悲惨であったとしか言い様がない。宿命という言葉では片付けられない世間の非情がそこにはある。嫌な時代に生まれあわせたといえばそれまでだが、時世に翻弄されたその数奇な流転の人生、幸せ薄い一生は何とも哀れに思えて仕方がない。


その4から読んでくださった方は、矛盾点にお気付きかと思いますが、「判決は誤審であり、定には殺意はなかった」と書いているにもかかわらず、上の引用は、定が殺人を犯したと言う前提でしか成り立たないではないですか。
性の遊びから、つい度が過ぎて過ちを犯してしまったと書いているのに、あのような犯行に走らずに済んでいたのではないかと思う。って、なんか矛盾してるんでねーか?と思うのですが。

それに、娼妓の前借金制度と言うのは、お定に限った事ではなく、大勢の女性がそれに縛られた訳です。それがこういう犯罪を犯す原因だというなら、あの頃にこのような事件が頻繁に起こっていないと不思議ではないですか。
娼妓の世界に入った事と、この殺害は、それ程関係があるようには思えませんでした。
やはり、独占力が強く、欲しいものは手に入れなければ気が済まないと言う、幼い頃からの定の性格による所が大きいのではないか、と私には思えました。
家の金を勝手に持ち出して遊ぶ金に使ったり、定の少女時代はかなり素行が悪かったようです。そんな事がきっかけになって、娼妓の道に入っていったのです。
そして、心底愛しあった男を殺害した事で遂に自分のものにし、常に欲望に忠実に思う通りに生きてきた定の一生は、決して「幸せ薄い一生」とは私には思えません。
また、古川薫と言う人が、「解説」で以下のように書いています。

 チャタレー夫人の恋を語るには、あの「悲劇の時代」に触れなければならなかったように、阿部定事件を理解するには、事件が起きた昭和十一年という特異な、暗い時代背景に目を向ける必要がある。
 もし、別の時代であったなら、事件はあのようにセンセーショナルな報道にはならなかっただろうし、新聞がいくら派手に騒ぎ立てても、世人もそう乗りはしなかっただろう。


これも違うと思うのですよ。まあ、後に読んだ正伝を読むと、その過熱ぶりが凄まじい事がわかり、わからなくもない気もしましたが。
この事件が今現在起こったとしても、世間は絶対大騒ぎすると思うのですよ。それほどの事件だから、70年経った今でも語られるのではないでしょうか。
あの流連から殺害、「定吉二人キリ」、逮捕時の微笑、何度辿っても、その完璧な芸術性に唸らされます。読めば読むほど、もっと知りたくなってしまうのが、この事件なのです。

最後に、実に印象に残った1文を紹介します。

 公判廷で石田のアルコールづけの陰茎が示されたとき、定は「非常に懐かしく思っています」と、裁判長に答えたという

*って訳で、現在阿部定関連本4冊目読んでまっせ。もう終わりの所。最初は2冊ぐらい読めばいいやと思っていたのに…まだ物足りなくて、図書館で他のを借りてこようかとオモてる私に愛の1クリックを~~~。
定の魔力ですかねえ…
*石井輝男監督の『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』には、モノホンの阿部定が出ていますっっ。

 



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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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