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清水正『阿部定を読む』その3 2006.7.5

◆阿部定という人◆

今迄読んできた本と全然違い、清水正さんは、実に冷静に正しく定の事を判断していると思います。以下の文など。

 <独占> を願いながら、阿部定が手に入れたのは <無> である。阿部定の <殺し> の行為の底には、完全に独占できないのであれば完全に <無> にしてしまおうという、デモーニッシュな悪意が潜んでいる。自分も吉蔵に触れることができないが、<外の女> も吉蔵に触れることはできないというわけである。もしかしたら、阿部定は吉蔵に対する <愛> よりも、<外の女> に対する復讐心のほうが強かったのかもしれない。

まさにそうだと思うんですよ。定の吉蔵に対する気持ちは、勿論愛も強いのだとは思いますが、独占欲がかなり占めているのではないかと。
定は、小さい頃から、欲しいと思ったら何が何でも手に入れなければ気がすまない少女でした。
そして、以下、2つほど引用しますが、定という女の性質を、実にうまく捉えていると思います。

 ここに特徴的なのは、阿部定は盗られた側の人間の気持ちをほとんど全く考慮していないことである。金が欲しい、だから盗んだ。美しい着物や指輪で着飾って遊びに行きたくなった、だから無断借用した。ただそれだけのことである。そういうことをしたら警察沙汰になって親兄弟はもちろん、様々なひとたちに迷惑がかかるなどということは考えない。実に行き当たりばったりに、その時の欲望に素直に従っている。無邪気と言えば無邪気、バカと言えばこれほどの単細胞のバカもいない。しかし、これほどあっけらかんと自分の快楽原則に忠実に生きられてしまうと、そのこと自体が感動的である。

 阿部定が大宮五郎のことを思い、大宮五郎の家族のことを思うなら、逮捕後彼について何一つ供述しないという態度を貫くこともできたであろう。が、すでに見てのとおり、阿部定は訊問者に訊かれもしないことまで微に入り細を穿って供述している。阿部定は自分と関わった人間に対して少しの容赦もしていない。正直に供述するということはそういうことを意味する。

そうそう、そうなんだよーーとハゲしく同意 ! !

最初は2册ぐらい阿部定事件についての本を読んでみたいと思った程度だったのですが、読んでいるうちに、納得できない部分も多々ある事もあり、また次々と読む程のめり込んでいく自分が不思議なのですが、阿部定という人には、利己的で激しく女性的な、小説のヒロインにもなり得る不思議な魅力があるのかもしれません。
ここまで欲望に忠実だと、あまりに潔くて嫌う気にもなれないのです。身近にいたら嫌いかもしんないけど…

清水正
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60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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