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ジャン・ジュネ『薔薇の奇蹟』 2005.1.6

ふう。やっと読み終わったです。
堀口大學の訳がとにかく読みにくいのなんのって。早く読んじゃいたいのに進まず・・・どーも意識があちこち飛んでしまいまして。洋物よく読む自分にとっては、訳ってほんと重要なんですよ。「ですます」調が嫌だし、会話での一人称が「おいら」と「わし」。違和感ありありでした。(^^;)

そんな中でも、ジュネ独特の美学、リアルで生々しい迫力は伝わってきます。なんせ刑務所で書かれたノンフィクションですからね。私達の知らない世界が、常に死と隣り合わせの世界が、生々しく描かれていると思います。
バタイユが<霊的交通>と言っている読者との交流。(こちらを御覧くださいませ。) そんなもの、私にはどうでもよく思えます。
ジュネ作品を読んで、どんなに恵まれた生温い平和な世界で生きているかを存分に思い知ればいいと思うんです。
とは言え、この『薔薇の奇蹟』はわりに読者に向けて書かれていると思える部分が多々ありました。例えば次の様な描写です。

<<いつかわたしがそれをつかまえたら、そのときはじめてメトレが何であったかあなたがたにわかっていただけるでしょうか。でもわたしにそれを翻訳することは、あなたがたの内部へわたしの口臭がわたしにとって何であるかをわからせるとおなじほど困難だと思えるのです。>>

こんな風にジュネは私達と会話してるんです。

12才の少女、看守と、2度の殺人を犯すアルカモーヌは、ジュネにとって神格化された存在となります。少女殺害シーンは、ドストエフスキーの『悪霊』のスタヴローギンを連想しちゃいました。
(ドスト『悪霊』を読んだら、ヴィスコンティーの『地獄に堕ちた勇者ども』を観てみると、おおっ! と思いますよん)

 



このアルカモーヌの、ハッとする程美しい姿のシーンがあったので、引用。

<<正午、鈍重で毛深い脚の、真鍮と革の鞍を置いた、尻の大きい駑馬の背に横座りになって、馬腹の左側に両脚をそろえて垂れ、アルカモーヌが、耕地か運搬作業の帰りと見え、大花壇を横切ったものです。横っちょにかむった略帽のへり、耳のわきのところに、左眼を隠すほどに垂れた紫色の眼帯を大胆につけていましたが、なんとこれが、二つの大きなリラの花房でした。>>

花を眼帯にするなんて、とても思い付かないっすよね。

そして、ジュネの負の美学は、ここまで徹底しています。

<<昔、戦争はそれが流血とともに光栄を咲かせるがゆえに美しかったのでした。今日、戦争は苦痛を惨劇を絶望を作り出すがゆえに、よりいっそう美しいのです。戦争はすすり泣く未亡人を、征服者の腕のなかで泣いたり慰められたりする未亡人を作り出します。わたしは自分の最も美しい友人たちを奪った戦争を愛します。>>

『泥棒日記』の感想も、合わせて御覧くださいませ。



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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
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