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コレット『牝猫』 2007.11.4

今まで持っているのに未読だったこの小説、河合隼雄の『猫だましい』を読んでから、読んでみたくてたまらなくなってしまいました。
若い夫婦と牝猫の三角関係といった感じのお話です。

カミイユの心理状態が、うだうだと語られる事なく、その表情、声、微妙な動き、セリフ等で見事に表現されている所がスゴイです。
序盤から、私はカミイユに同情的に思いました。作者さえも、彼女の描き方がいじわるな気がしてしまいます。
そして、彼女のやってしまった事は、必然であったのでは、とさえ思ってしまいます。
最も罪多き人は、相手のアランでしょう。

彼は一度もカミイユを愛した事もなく、外見の美しさのみに惹かれ安易に結婚し、残酷この上ない生活を強いたのです。
僕にとっては労働でさえあるあれのあとで、なんて、ちと許せない気が・・・。日本人男性にも、こういう人多いようですが・・・気に障ったらすみません。

ついにカミイユが泣きながらこう言うシーンがあります。
「……だってあんたは……あんたはあたしを愛してくれないんですもの?」

これに対して、「そうか、またサハに嫉妬してそう言うんだね?」と言う、どこまでも自分のことがわかっていない鈍感男アラン。(「サハ」は牝猫の名前です)
最後になってもわからぬ鈍感さには呆れ返ります。

猫がカミイユに投げ飛ばされた事を知ったアランはこう思います。
《もし僕がほんとうに深くカミイユを愛しているなら、どんなに激怒したことだろう……》

アランの母親は、カミイユ、猫、それらの状況を、よく理解していたように思います。

見事な心理小説に、コレットという女流作家に興味津々な私なのですが、あとがきの次の文が、コレットの凄さを的確に表現していると思います。

彼女は人物の心理を表現する場合、普通の心理小説においてみられるような概念や意識を通じて表わさず、生態を通じて表現する。例えば、手や腕や脚の動かし方、頭の曲げ具合、頤と肩との関連、眼の動き、更には唇や仕草など身体のあらゆる部分が人物の心理を表現しているのである。

そして、コレットに関しては、以下のように書かれています。

彼女の小説は殆んど悲劇的内容をもっている。結婚や家庭の幸福に恵まれなかった彼女の生活の反映が作品の上にその影を投げているのであろうか? そしてこの悲劇の原因が殆んど男女間の愛にその源を発している。

コレットは幸福について、こんな事を述べています。これを引用して終わりにします。

「人生がもたらすものを身にすけ、壊れた幸福の破片を拾いあつめ、もう一つの幸福をつくるように、それをつぎはぎする。そして、我慢のならないものは力強く押しのけるか、その埋合わせをするように心がける。感情を外に出すことも、無分別も、気をつかいすぎることも、あんまりあくせくするのも、みんな禁物です。何事につけても控え目にすることです。幸福というものは静けさの中によりも、或る不安の形の中に、場合によると困難さの中にあるような気がします」

『牝猫』も紹介されているこの本、おもしろそうです。






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ジャンル : 小説・文学

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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
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