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【本】パゾリーニ『アッカットーネ』その2 2005.2.13

昨日セリフのリアルさについて書きましたが、今日はパゾリーニは詩人だなあ、と思った箇所がいくつか。実に美しい描写です。
『狂った夜』より引用。特に <<<明日> はもう>>以下の所。

 宏壮なホール。そこで大勢の人が夜通しでその夜一夜を、生きる歓びの---そして人生そのままの---夜とすることによって愉しんだ、また少くとも愉しんだと信じたのだが、今では完全に虚ろである。 <明日> はもう、午前八時の光とともに、そこにやって来ている---事務所がひらき、太陽が歓びも苦しみも、あるいはどんな意味もなく、冷淡に語りかける時刻。

今度は『アッカットーネ』より引用です。

 彼らは車に乗り、すべての人びとのものであり、まただれのものでもない、あの美しい太陽のもとを出かけていった。

私、1968年について繰り返し書いてきているのですが…
(こちらから飛んでみてくださいませ。)
この本の <訳者あとがき> にも、1968年がポイントになった出来事が書かれていたので、ちょいと長い引用をしたいと思います。

 恐らく、「狂った夜」や「アッカットーネ」の理解とも関連して、明記しておかなければならないことに、現代における暴力とテロリズムの蔓延にたいするパゾリーニの強硬な反対という事実がある。とりわけ、意味深くまた重要と思われるのは、一九六八年三月、ローマで学生のデモが警官隊と激しく衝突して、市街戦さながらの情況をもたらしたとき、学生たちを「ブルジョアの脛っかじり」と非難し、警官を「民衆の子」として庇おうとする発言を行なったことである。このためパゾリーニは左翼各派全陣営からの批判を浴びて、完全な孤立のなかに沈黙を余儀なくされたのだった。しかし、それから十年を経て、<赤い旅団> によるモーロ前首相の誘拐・殺害事件が起きたとき、まだ記憶もなまなましいパゾリーニ自身の悲惨な死と思い合わせて、六八年のあの「支離滅裂」な発言を、最初の警鐘として思い起こした人は少なくなかったはずである。
 それだけではない。七〇年代に入り、左右両極の暴力行為が頻発するなかで、パゾリーニは、ファシスト系新聞の再三にわたる誹謗に答えながら、友人に加えられた襲撃の卑劣さについて語っている。しかし、一九七五年夏、とりわけて残酷で嗜虐的な陵辱殺人事件の犯人の数名の <ブルジョアの子弟> が逮捕され、そのいずれもがファシスト分子であると知れたとき、パゾリーニは新聞報道の紋切り型に抗議して、同様な残忍な暴力事件はもはや <ブルジョア> のみに留まらず、 <民衆> の世界にも見出されること、パゾリーニ自身が <民衆> の街で何度となく危険な経験に遭遇していることを訴えている。事実、彼はその直後にも市中の繁華街で、それも白昼公然と、ファシストと目されるグループの襲撃を受けて負傷したが、もはや彼は事件を告発しようともしなかった。悲鳴にも近い叫びの彼の発言を文字どおりに、率直、真剣に受けとめようとするものはほとんどいなかったからだ。それから数週間を経た十一月二日、パゾリーニの無惨な死のニュースが世界を驚かせたのだった。
 遺作となった映画『サロ---ソドムの百二十日』 (邦題『ソドムの市』) は、権力の強制のもとに腐敗してゆく青春を描き、全篇に作者の嫌悪と絶望をみなぎらせている。また死の直前に執筆された『生の三部作』 (『デカメロン』、『カンタベリー物語』、『アラビアン・ナイト』三篇のシナリオ集) への序文では、性 (セックス) の歓びを肯定したこれらの作品の <廃嫡> を宣言している。


 

読んでくださった方、お疲れさまです。(^^;)
最後に、同じく <訳者あとがき> の次の引用で終りにしたいと思います。

パゾリーニの思想も人柄も、けっして単純なものとは言いきれず、その芸術としばしば唐突と思われる変貌を見せさえする。しかし、言葉やまた映像の美しく鮮明な表現の背後にあって、しばしば見落されがちなものに、 <愛> と <憐れみ (ピエタ) > があることを最後に指摘しておこう。



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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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