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コクトー『大胯びらき』 2005.2.18

*若干のネタバレあり。

私、ジャン・コクトーの映像センスがすっっごく好きなのにもかかわらず、ちょっとだけまがい物っぽい感じが自分の中では漂っていたんです。ごめんなさいっ!
その一因として、絵がとてもピカソに似過ぎ! てのが、ずっと思ってた事なんですが。


そして、この『大胯びらき』。
どことなくモラヴィア風の乾燥した感じが漂い、プルーストの『失われた時をもとめて』の類似もかなり見られるし・・・と思って疑い深く読み進んでいったのですが・・・いやはや、途中からおもしろくてぐいぐい読んだですよ!
やっぱスゴイです、この人は。
比喩など、なんて鋭く適格で美しく粋な表現をするんでしょ!
例えばこんな風に。

ジェルメェヌの返事はジャックの姿そのものの反映であった。それはあたかも、さえぎる物がなければ一条の白い光の束に過ぎない映画が、スクリーンにぶつかって映像を生むようなものであった。

 パリの街で、ことにも一番有害な技術は、魔法の染点 (しみ) 抜きである。それは染点を洗うのではなく、反対に濃くするのである。こうして悪評も人気さえあれば、好い評判と同じくらい有利になる。悪い評判だからといって、あだおろそかにすることはできない。

そして、コクトーは、何歳になっても子供の気持ちを忘れない人だったのではないか、と思います。
まず序盤にこんな一文が出てきます。

 彼の母は、イタリア巡りのおかげで多少放心しているとはいえ、同じ自分の息子を連れて帰って来たものと信じていた。ところが彼女は、違う息子を連れて帰って来たのであった。そしてこの脱皮が行われたのは、まさしく、ヴェニスにおいてである。---中略--- 実際、彼はひからびたある種の皮を、大運河の水に浮かべて棄てて来たのであった。蛇が野薔薇の花に引っかける、口と眼のところに孔のあいた、泡のように軽い、あの脱殻の一種を。

そして中盤、またこのような一文が出てくる所がおもしろいです。

 サーカスで、軽率な母親は、その子供を、支那人の魔術師の実験に提供する。子供は箱の中に入れられる。箱の蓋が開くと、空っぽである。再び箱が閉ざされる。開かれる。すると子供はあらわれ、もとの場所に戻っている。ところで、二度目にあらわれた子供はもう、もとの子供ではない。しかし誰もそれには気がつかない。

全部読んで、やはり『失われた時を求めて』を意識してるんじゃないかな、との感想は変わらず。悪い意味でなく。
ジェルメェヌはアルベルチーヌとかぶります。
女性とからまり寝ている場面を見て、恋人で主人公のジャックがショックを受ける場面には「やっぱり!! 」と思いましたもんね。
そして、終盤に序盤の所が蘇るあたりなど、まさに『失われた…』です!

私が読んだのは、福武文庫の澁澤龍彦・訳です。
解説で出口裕弘さんが、この訳をベタ褒めしているように、私が引用した部分を見て頂いても解ると思いますが、まさに訳が実に実に見事なんです!
しかも、この『大胯びらき』、澁澤がはじめてこの世に送り出した本なんだそうです。この時仏文科の学生で、25歳だったって!! 驚きです。
澁澤龍彦については、是非こちらも御覧くださいませ。



コクトー

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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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No title

うあぁ!懐かしいです~。コクトーは高校生の頃に
のめり込みましたが、この「大股びらき」はなかなか
見つけることが出来ず、大人になってから読みました。
近所に住んでいたフランス文学のセンセーが「コクトー
って言ったら『大股びらき』だ!」とおっしゃっていたのを
懐かしく思い出されます。
そうそう、澁澤さん25歳の時に訳しているのですよね。
実は25歳の時にこの本を読んだんですよ~。
当時、ものすごく愕然としたことも今ではいい思い出です。

えびさんへ

>フランス文学のセンセーが「コクトー
って言ったら『大股びらき』だ!」とおっしゃっていたのを

お~~! 良い先生だ!
今昔の投稿のコピペ作業ちうですが、こうしてコメントいただけて話題が出来たりすると、また再読したくなっちゃいますね~

ところで、FCブログよくわからずです(;_;)
認証しなくて良い設定にしたと思うのだけど、認証しないと表示されなくなってたり~ウワァァァァァァン!!! ヽ(`Д´)ノ

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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
峰不二子、デボラ・ハリー、ウエンディー・O・ウィリアムスが憧れの人!

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