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ドストエフスキー『地下室の手記』その1 2008.7.20

 
地下室の手記改版

◆深い深い孤独の底に陥っている人は読むべし!◆

ドストエフスキー小説の特徴として、過剰さ、ユーモア、独り言等があると思いますが、そういう特徴が非常にわかりやすく表現されているのが、この『地下室の手記』だと思います。
その独り言たるや!独り言の小説と言っても良いでしょう!
最初に読んだ時には、大変共感したわけでして、特に「道を通る時に人とぶつかりそうになると自分からよけてしまう」所は多大な共感でした。世の中には、常によける人と絶対よけない人と2種類いる気がするんですが。以下引用です。

〈どうしておまえのほうがよけて、彼のほうはそうしないのだ? 何もこんなことに規則があるわけもなし、法律できまっているわけでもないだろう? ひとつ対等に、つまり礼儀正しい人間同士が出合ったときのように、ふつうにやればいいじゃないか。向うが半分譲ったら、こっちも半分譲って、おたがい敬意をはらいあってすれちがえばいいじゃないか〉しかし、そうはならなかった。道をよけるのはあいかわらずぼくで、彼のほうは、ぼくが道を譲っていることにも気づかぬふうだった。

実に癪に触るのですが、しかし、実際は小さなことではないっすか。こういう小さな事が、「よけない」事を実行する為に服装の心配までしたり、夜も眠れなくなる程の大事に発展する所が、この小説のおもしろい所です。
それから、ここなど。

彼は四十年間もぶっつづけに、自分の受けた辱めを、その最も微細な、恥ずかしい点にいたるまで思いだしつづけ、しかも思いだすたびに、いっそう屈辱的なデテールを自分から勝手につけたしては、おのれの空想で意地悪く自分を愚弄し、いらだたせる。自分で自分の空想を恥じる結果になるのが目に見えているのに、それでもいっさいを思いだし、こねくりまわし、可能性としてはこんなことだって起りえたはずだなどという口実で、つぎからつぎへと途方もないそらごとをひねくりだしては、何ひとつ容赦しようとしない。

美輪明宏河合隼雄の本に、よく、不幸の数を数え上げて自ら不幸になっている、みたいな事が書かれていたと思うのですが、それともちょっと似てるかも。もっと自虐的でマゾヒスティックに徹底していますよね。
そこまで自分を痛めつけずにいられないのが、地下室人でありまして。この先の文がまた好きです。

なるほど、復讐もはじめないわけではないが、そのやり方がいかにもこせこせと首尾一貫しない、いわば犬の遠ぼえ、匿名投書式のもので、いったい自分の復讐の権利を自覚しているのか、成功の見込みを持っているのか、それさえおぼつかない有様なのだ。というより、意趣返しなんぞに血道をあげたところで、結局は、復讐の相手より当の自分が百倍も苦しむだけの話で、相手は、おそらく、痛くもかゆくもないだろうことを、あらかじめ承知しているふうなのである。

ここなんぞも、若い頃の自分は共感でした。

まだ十六歳の少年だったくせに、もうぼくは気むずかしい目で彼らをながめては、内心、呆れかえっていた。すでに当時から、彼らの考え方の浅薄さが、彼らの勉強や、遊びや、会話のばかばかしさが、ぼくには不思議でならなかった。―中略― ぼくは知らず知らず、自分より一段下の人間と見るようになった。―中略― また、お願いだから、もう胸がむかつくくらい聞きあきた紋切型の反論をぼくに並べたてることもよしてほしい。

次回へ続きます。
ちなみに新潮文庫 江川卓訳での再読でした。 光文社古典新訳文庫が気になります。この表紙はほんと嫌い~~



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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
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