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清水正『手塚治虫版『罪と罰』を読む』その1 2009.7.5



手塚治虫映画『メトロポリス』『「実験アニメーション」全14話 』もご覧いただきたいのですが、まずは引用です。

 手塚治虫が日本の漫画界に与えた影響はたいへんなもので、そのことに関して異論をさしはさむ者はおそらく一人もいないだろう。しかし手塚治虫が天才だという説に関しては、わたしはいつも「そうかな」という思いをぬぐいきれないでいる。

それから、以下のようにも書かれています。

 わたしがつげ義春の「ガロ」時代の作品を評価するのは、それらの作品が読者に対して媚びていないことである。つげ義春「ガロ」時代の漫画作品によって自己表現の立場を貫いている。貸し本屋時代のつげ義春は生活費を稼ぐためにせっせと漫画を描いたが、もちろんその当時の作品は <読者> を想定してのものである。読者を想定しない漫画家はいないだろうが、その想定された <読者>の質が貸し本屋時代と「ガロ」時代ではまったく異なっている。後者において <読者> は限りなく作者本人と化している。何よりもまず優先されるのは表現者としての自分自身の満足度である。作品を完成させるにあたって、売れ行きの心配とか、編集者や発行者の顔が浮かんでくるようでは駄目だということである。

まあ売れなきゃ連載も終わっちゃって仕事もなくなるので、どうなんだろって部分もありますが、つげ義春が媚びてないという所は同感です。
ねじ式
紅い花

手塚治虫に戻りまして、母が以前「お利口さんが頭で考えてつくってる」と言ったのにも、全く同感でして、好きな作品もあるし、ブラックジャックとか医者系のものは、流石に上手いと思うんですが、赤塚不二夫のような天才性はないんじゃないか、と思います。(コレも母の発言に同意したものなんですが)
そして今回、清水さんのこの本を読んでいる途中で、手塚版『罪と罰』も再読しました。
この本で紹介されている部分も、ほとんどそうだったんですが、思ったのは、何故こうも寒いギャグを連発してるんだ、という事でして、清水さん曰くどんな深刻な場面でも、その場面全体をおちょくらずにはおれない、いわば <絶対> を不断に相対化せずにはおれない傾向で、ふざけるべきでない場面でことごとくふざけているという指摘は大変おもしろく、そして、そのギャグがなんだかことごとくつまらなかったんです。
単に自分の感覚と合わないのかなあ…笑える方おられます?
例えば、以下引用です。

 金時計を手に入れ有頂天になって喜んでいるニコライのセリフは「ニコニコ」「ありがたし、かたじけない」「これを売れば、たくあんいりのカレーライスがたべられる」「待てよ、あにきが」「おれにもわけまえをよこせというに決まってら」「といったら、おらァ、おこって、このやろう、おらんだいっ……」「オランダっ、ドイツっ、ベルギーっ」である。

おもしろいですか?コレ。子供向けに書いたっつーことなんで、子供が読めば、おもしろいんでしょうか?
次回へつづきます。

「映画化関連原作特集」特集
「手塚治虫」特集
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ハードロックギタリストで作詞作曲家(まだアマチュアだけどな)吉乃黄櫻の読書ブログ。
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。
西武ライオンズファン。
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